中央公論事業出版
著者はある業界誌から「楽しい話」の連載をたのまれた。そこで以下の方針で書くことを引き受けた。
(1) きまじめな方が多い業界誌に、ゆとりのある「遊び心」や感性豊かな「瑞々しい心」が与えてくれる、ひと味ちがった世界を知ってもらうことを目的とする。
(2) 作文の内容は「この程度なら自分でも書ける」と読者が自信を持つ水準とする。
(3) 「文を書くことは恥をかくこと」を覚悟して、幅広い分野の諸事百般に挑戦してみる
その作文を中心にまとめて自費出版したものである。
全体的になかなか良く書けていて著者の才気を感じる。方針1,3は成功しているが、2は、おれでも書けると豪語出来る人はそうはいない気がする。
1章のこの本のタイトルになっている「インコの日記」。あるとき著者は、インコの鳥かごに入っている小さな手帳を発見する。何とそれはインコ語で書かれたインコのピー助の日記ではないか。ピー助の籠に入ってきたピー子へのサエズリ、ハイ・タッチ、ホメホメ、お食事の4技術を駆使した求愛作戦は果たして成功するか。少し短くまとめすぎているようにも思う。もう少し、海山夫婦の観察をするどく書けば「吾輩は猫である」も真っ青の作品になるかもしれない。
2章 私の生活・人生観、3章 遊び心の散歩道、4章 ささやかな提言には、著者本来の姿が現れている感じのものが多く面白く読める。以下代表的なものとその勝手なコメント
我が家は女帝制…・良く書けているが、嘘っぽい所が気になる。「海山をめぐる7人の女性」の中からメバルさんを選んだなどと、書いているが、実態はピー助よろしく海山氏が泣いて拝んでメバルさんに来てもらったのではないか、と疑っている。
お花見…・「ふつつかな倅にやさし桜紙」このふつつかなの意味がいろいろ解釈出来る。著者の本心を聞きたい。
我が闘争…・・これは良く書けている。自分の病気に著者が本当に苦しみ、打開策を模索したところからこの作品は生まれたものと思う。よくこれだけ客観的に書けた、と感心すると同時に参考になった。
偉人の虚像と実像…・・実は私も尊敬する人は誰ですか、と問われると詰まってしまう。私はインチキはあってもメンデルも野口英世もすごいと思う。私の場合、そのすごいところだけを寄せ集めて自分の参考にし、尊敬の対象にしている。
E10orE100…・・めずらしくこの章だけは著者の専門的知識が披瀝されている。確かにアルコールの利用法としてE10という方式は未来がありそうに見える。
結婚披露宴の挨拶…・文句なし、素晴らしい。披露宴で挨拶をする人は言うに及ばず何か話す機会のある人は是非読んでおくと良い。
単身赴任と人事…・人間のトラーライオン分類法が面白い。しかしトラ型人間は孤独には耐えるかも知れないが、単身赴任になるとそれをいやすべく浮気の道に走らないだろうか?
左利きと三大革命…・・「人間社会の歴史を利き手という視点から見ると…・「右利人(民族)による左利人(民族)に対する迫害の歴史」なのである。」という下りは、著者のウイットと才気を感じさせ良いと思った。
実を言うとこの本は、著者が私に学生時代同期と言うことで贈ってくれた物である。大体この種の本はツンドクになることが多いが、これは正直言って面白く読めた。特に物事を工学的に割り切って分析し、考えているところが素晴らしいと思った。
020113