IT革命のカラクリ        田原総一郎・月尾嘉男


アスキー

田原総一郎と東大月尾教授のIT革命の本質などに関する対話集である。あまりしつこい解説はないから、章タイトルを読むと大体書かれている内容が推察できる。以下に章タイトルとその章の本質をついている場合が多い月尾教授語録を掲げる。
「アメリカにあって日本にないもの、それは国益という概念だ。」という語録が非常に印象に残った。考えるに日本は一昔前まで、この観点のみを中心に政治が動かされていた気がする。明治維新、太平洋戦争に至るまでのいくつかの戦争、戦後の復興、そこには間違いはあっても国益、お国のためにという概念が強く働いていた。それが現在の政治ではどうも希薄になってきているような気がしてならない。さりとて政権スタッフが天下り先企業の利益のみを考え、事に当たり、それが国益優先に見えるアメリカのやりかたも問題ではある。

序章 田原・月尾流「IT革命」入門
IT、それは政治、経済、生活すべてを革命的に変える手段だ。

月尾01  IT革命は、一万年前の農業革命、18世紀以降の産業革命に匹敵する人類史上の大革命だ。
ITによる政治変革で直接民主主義が可能になる
月尾02 ITは直接民主主義を可能にするが、何を決めるにも自分で考え、事故責任を負うことになる。

第1章 これがアメリカ「IT戦略」の真相だ!
92年、アメリカは世界に向けてIT国家戦略を発動した

月尾03 日本の脅威がアメリカIT戦略発動の第一の背景だ。
月尾04 ゴア副大統領が提唱した全米情報通信基盤(NII)は、1990年のNTTの構想の焼き直しだ。
日本はけしからん。しかし見習え、そして叩け!
月尾05 おとり捜査でやられたIBM産業スパイ事件は、アメリカのプロパテント戦略の流れで起こった。
月尾06 アメリカは戦略的と言えば聞こえはいいが、言うこととやることが違う国だ。
アメリカは独善的な特許政策で世界制圧をもくろんだ。
月尾07 弁護士はアメリカの癌細胞。はびこることによって産業は大きな被害を受けている。
月尾08 ビジネスモデル特許は、アメリカの情報戦略の一環で、日本はこれから相当苦しめられる。
月尾09 アメリカにあって日本にないもの、それは国益という概念だ。
IT草命の時代にば通信主権・通信の安全保障を重視すべきだ。
月尾10  NTTの接続料問題は、アメリカに言われる筋合いなどない、理不尽な内政干渉だ。
月尾11 日本の通信分野における規制緩和は十分だ。IT時代には通信主権の安全保障が必要だ。
インターネツトは核の脅威から生まれた通信網だ。
インターネットの全用語は英語、盗聴も可能。そこに着目した。

月尾12 インターネットのすべての回線がアメリカに集まるという仕組みで、情報は盗聴され、筒抜けだ。

第2章 戦略なき目本に未来はない
冷戦崩壊を背景に、米ソは,軍事から環境ヘシフトした。
戦略なき目本はアメリカの謀略に翻弄されっばなしだ。
暗号AESでアメリカば世界の貿易情報管理を狙つた。

月尾13 暗号AESによって、アメリカだけが世界経済のオールマイテイの立場に立つ可能性がある。
日本の閣議決定システムが戦略の立案を阻害する元凶だ。
月尾14 IT分野では決断の遅れが致命傷になる。首相公選で強い総理大臣を作ることも考えるべきだ。

第3章 IT革命で社会はこう変わる!
ITブームは生き残りの厳しい「選別の時代」に入った。

月尾15 IT企業は各分野1社しか勝ち残れない。しかも勝者がすべてを獲得する。
中間はすべてだめになる。それがIT革命の衝撃だ。
月尾16 小売り、卸、商社、代理店…・中間でマージンを取る業者は、存在そのものが危うくなっていく。
労働市場は一時的に混乱。しかし経済のパイは大きくなる。
月尾17 贅肉の部分には失業や倒産が起こるが、新しいビジネスが次々に出てきて、新しい筋肉がつく。
企業主体から消費主体へ、パラダイム転換が始まった。
月尾18 産業革命以降の大量生産から、消費者主体の一品注文生産構造への転換。これがIT革命の本質だ。

第4章 都市と地方はこう変わる!
大都市の「自民党NO!」は、都市住民の不安のあらわれだ。

月尾19 都市に人が集まる理由は(1)規模の経済(2)情報の入手(3)無名の特権、この三つだ。
月尾20 情報には「情」感情とか気持ちとか、フェイス・トウ・フェイスの付き合いという部分が不可欠。
IT革命で本当の「地方の時代」がやってくる。
都市、そして東京を再生する方策はこれだ。

月尾21 都市住宅地を容積率1000%50階だてにすれば、8割の土地が空く。これを公共的空間に利用すべきだ。
本当の生きがいとは何か?それを考えるべきときが来た。
月尾22 IT革命で日本の産業も政治も変わりつつある。その方向に社会を早く動かすような教育をすべきだ。

第5章 IT時代をこう生き抜け!
日本はセキュリテイが甘い。ITの安全性には要注意だ

月尾23 セキュリテイの確保には。物理的、制度的、精神的な、3つのレベルでのプロテクトが必要だ。
IT化を阻むハードルは「官民規制」より「民民規制」だ。
月尾24 eコマースの神髄は世界から情報を集め一番安いものを買うこと。日本は系列取引を電子化しただけ。
IT時代に守るべき、日本固有のものがあるはずだ。
月尾25 グローバル・スタンダードがすすむなかで「和魂」を失ったら、日本は文化の植民地になる。
月尾26 世界がアメリカ化して行く中で大切なのは多様性。その多様性を豊かに持っているのが日本だ。
これがIT時代に勝ち残る仕事術だ!
月尾27 永久就職の時代は終わった。次の会社に行って使いものになる知識や技術を磨くことが大切だ。
IT時代は過酷な能力主義の社会なのだ。
月尾28 これからのエリート教育は、数学でも、社会でも、理科でも、違う事で能力を発揮する人を作る教育だ。
月尾29 日本を再生するキーワードは「いかに捨てるか」だ。
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