(織田信長推理帳)五つの首       井沢 元彦


講談社文庫

将軍足利義昭は、京に上る意志のない朝倉義景のもとをさって、信長の元に行くことにする。

美濃で滅ぼされた斎藤龍興の命をうけ、信長暗殺を狙う俊玄坊。キリシタンで足利義昭暗殺を狙う仙之助。そして朝倉の命を受け、同じく義昭暗殺を狙う宗兵衛。三人がそれぞれに行動を開始する。
尾張では、信長の元に五人の殺人を予告する首無し人形が届き、一人、二人、三人と殺され、首無し死体が次々に発見される。一方将軍を迎えるための御所を、前触れで来た一色藤明が、連れてきた大工の手で造営すると主張、受け入れられて工事は着々と進んで行く。
将軍を襲った仙之助、宗兵衛は次々に俊玄に倒された。将軍を迎えに行った一色藤明が、山寺で襲われ、首無し死体となって転がった。果たして俊玄の意図は何なのか、なぜ首狩人は首を持って行くのか。将軍を迎える日になっても信長の推理は続いた。
実は尾張に来ていた一色藤明は偽物、手のものとカラクリ御所を建て、最後に首無し死体となって消え失せる予定だったのだ・・・・・。しかし最後に信長が謎解きに成功、かろうじて将軍と信長にそれぞれの影武者を使って対面式を行わせた。途端に新築の御所は崩壊し、皆死んでしまった。しかし難を逃れた信長は、翌日俊玄坊一味を倒すことが出来た。
首無し死体の使い方、からくり御所の話等が非常におもしろく、楽しめる作品になっている。
また、この作品の文章の書き方は非常に特徴的だ。情景描写など余分なことを書かぬ、事実だけを並べるような短く切った書き方で、不必要な会話もない。戦国物としては、このような書き方も、緊張感があって良いと思った。