文春文庫
チェンマイから来た男
チェンマイで十一人のタイ人妻を持つ男が地元で逮捕されたが、彼はいづれも結納金を払い、結婚後も相手の親に送金するなど親切だったので地元の評判は良かった。しかし強制国外退去の後、韓国経由で麻薬を輸入していた行為が問われて、日本の警察に捕まり、有罪となった。その結婚観と日本の警察の見方の比較が興味深い。
黒装束、恨みの角栄節
田中角栄の私設秘書とのふれこみで、坂井房子は瀬戸市の会社社長と関係した上、「政治献金」を受け取り続けた。角栄事務所ではそんな秘書はいない、と言っても、ウラの秘書だから公式に言う訳がない、などとたくみに言い抜け。それでも最終的にインチキと判断し、空手師範を使って取り立てにかかったが、別口で同じ様な詐欺。なにしろ直筆のお墨付き(偽物)やら、直接電話(声帯模写)がかかってきたりするのだから信用せざるを得ない。結局逮捕されたが、だまされた方も欲に目がくらんでいた、と案外軽い判決・・・。
わたしとあなたの偽金庫
夜間金庫の偽物を銀行の普段使わない出口にセットしたもの。六十九件目で金庫が一杯になり、しかも下の方は重みで膨らんできたから気づかれてしまった。犯人はあがらず。
華麗なる贋作
「チ三十七号事件」。アート紙を使った写真製版による凹凸印刷で非常に精巧に出来ていたため、三百四十三枚も出たにもかかわらず、犯人逮捕にいたらず、一九七三年時候が成立した。一時は北朝鮮謀略説まで飛び出した。
人間模様アラカルト
町の事件集(1)まじめな紳士が、会社の金で中州の高級クラブにおぼれた話。(2)万引きを種に女を自分の物にし、強請っていた防犯係の話・・・「左手に告げよ」(3)飽きてきた愛人が夫に爆発する電気カミソリを送った。・・・・カミソリのモーターを抜き、タバコより細い四センチほどの長さの六号瞬時電気雷管二本をしかけた。(191P)(4)息子が四十八の女性を強姦した、と疑われた父はスパイを送って犯人探し。
理想のタイプの女性たち
結婚しましょう、北海道の両親に会いに行きましょうを餌に女から何度も金を引き出した男の話・・・・「結婚詐欺」
特攻隊員ポール
拳銃、爆薬、変装用具等完全な準備をし、東京福岡便をハイジャックした男はキューバ亡命と二百万ドルを要求。しかしボーイング727では飛べず、DC8に乗り換えねばならず、羽田に戻ったのが運の尽き。犯人の獄中でのオオボラが実にユニークで面白い。
・(僕の理論は)世界の思想界、科学界、哲学界に今後大影響を及ぼす大理論なのですが、少なくとも僕しかできないし、社会でおそらく五カ年十年かかるのです。・・・・やはり一日も早く、社会に復帰して研究に没頭し、偉大なる理論を確立することが、急務なのであります。(275P)
三億円のダイビング
山口虎美は交通事故を装い保険金をだまし取ろうとし、母子家庭を物色。未亡人荒木玉子と正式に結婚。その一ヶ月後、妻子に多額の保険金をかけた後、ドライブに連れ出し、フェリー岸壁で、自分で運転していた車を海中に転落させ、妻子三人を水死させた。逮捕され、模擬実験まで行われるが「自分は助手席にいた、被害者だ。」と一貫して主張。現在係争中である。
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