講談社文庫
デビュー作で、話自体は作者の青春時代の思い出のような感じ。しかしはしはしに表れた表現がどきっとさせられ、私自身も教えられた。
1970年の夏、海辺の街に帰省したぼくは友人の鼠とビールを飲み、介抱した女の子と親しくなって退屈な時を送る。彼女との愛はおぼつかない軌跡をたどり、やがて僕の前をほろ苦く過ぎ去ってゆく。そんな様子を感性豊かな文章で描いている。
1)「あらゆるものから何かを学び取ろうとする姿勢を持ち続けるかぎり、年老いることはそれほどの苦痛ではない。」(7P)
2)「文章を書くという作業は、とりもなおさず自分と自分を取り巻く事物との距離を確認することである。必要なものは感性でなくものさしだ。」(ハートフィールド)(10P)
3)文明とは伝達である。表現し、伝達すべき事がなくなった時文明は終る。(31P)
4)「私は貧弱な真実より華麗な虚偽を愛する」(ロジェ・ヴァデイム)(65P)
5)「僕が三番目に寝た女の子は、僕のペニスのことを「あなたの存在理由(レーゾン・デートウル)」と呼んだ」(93P)
(参考)
風の歌を聴け(1979,30歳) 群像新人文学賞
1973年のピンボール(1980,31歳)
羊をめぐる冒険(1982、33歳) 野間文芸新人賞
カンガルー日和(1983,34歳)
村上朝日堂(1984、35歳) /安西水丸と共著
村上朝日堂の逆襲(1985,36歳) /安西水丸と共著
回転木馬のデッド・ヒート(1985,36歳)
ノルウエイの森(1987,38歳)
ダンス・ダンス・ダンス(1988、39歳)
(1991-1993:アメリカのニュージャージー州プリンストンなどに住む)
ねじまき島クロニクル(1995,46歳)
やがて哀しき外国語(1997,48歳)
辺境・近境(1998,49歳)
スプートニクの恋人(1999、50歳)