金田一少年の殺人


講談社(コミックス)

 書けば必ず売れる、というノンフィクション作家橘五柳。無類の女好きという。今回の作品についても、版権を希望する者は後をたたない。ついに先生は、自分の豪華な別荘で暗号文の問題を出し、正解を出した者に版権を与えると言い出した。金田一少年と美雪は音羽出版の鴨下に頼まれてでかける。

 暗号文は「裏川辺奇奇なる藻を」。秋がいかになるのと同じという。ローマ字で書いてひっくり返して読めば大村に聞けば分かる、と解いた金田一少年はのんびり。美雪に色目を使うはげの橘をからかったりしていた。ところがその橘を自室に尋ねると、殴り殺されており、現場に向かう足跡は金田一の一つだけ、金田一が死体を発見した後、橘から電話を受けたおばあさんまであらわれて、金田一少年は、殺害の容疑をかけられてしまう。

 金田一少年は、このままでは弁解の余地が与えられない、と列車で護送中、トイレから逃げ出す。あの暗号文にあった大村を訪ねるが、また殺されていた。直前に「時任にきけ」の伝言。そして早くも警察の手が・・・。そうだ!犯人は通報し、金田一少年に罪を着せようとしているのだ!

 金田一少年の友人で作家のいつきが、別荘に集まった人たちに、金田一少年が犯人でないと説得し、協力を呼びかけたことから次々に情報が寄せられる。橘は「医学界」の情報や「密輸」の情報を集めていたという。今度の出版に関係があるのだろうか。

 時任の死。時任が漏らした「桂に聞け。」の情報。そこでたずねると今度は桂の死。遺言は今度は「野中に聞け。」こうして金田一は追っている警察と共に野中のとまっている柚の沢ホテルへ。しかしここでも遅く野中は殺されてしまった。しかし今度の伝言は「私で終わりよ。」

 金田一少年は、ついに警察に捕まるが、犯人が金田一少年につきまとって関係者を次々に殺し、原稿を独占しようとしたと推理。被害者の姓をならべて「大時計の中」と読み下し、原稿の隠し場所を探し当てる。金田一少年が待ち伏せる中、真犯人が大時計に近づく・・・。

 犯行動機が面白い。犯人の娘は重度の腎臓障害、自分の腎臓を与えても直し得なかった犯人は腎臓の密輸入を計画、ところがこれに橘が目をつけノンフィクションとして書いてしまった。あれが出版されれば破滅だ!と考えての犯行だったのだ。
暗号文解きにしては一寸子供っぽいがまあよしとするか。しかし最後の重度腎臓障害児のストーリーで全体が盛り上がっている。

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