黒死蝶殺人事件


講談社(コミックス)

「絶滅種の蝶を甦らせた男」斑目紫紋の写真の後ろに控えているのは、なんとあの悲恋湖殺人事件で爆死あいたはずの、ジェイスンこと遠野英治次。金田一は、いつきと斑目を尋ねることにする。屋敷には、無数の蝶と紫紋、その妻緑、長女の舘羽、婚約者の小野寺、次女の揚羽、そして三女のるり。母と三人の姉妹は左目が緑で、人目を引く。
さっそく人間の骸骨を思わせる紋様をもち、あらわれると人が死ぬという黒死蝶の出現。黒死蝶は、又の名を夜光蝶ともいい、死肉にむらがり夜光る。絶滅したと思われていたが、斑目氏が、立山の山頂付近にある万年雪の古い層から、仮死状態にあったサナギを見つけ孵化に成功したのだという。
不安を的中させて、るりの死体が、巨大な蝶の標本さながらに地面を埋め尽くす木の葉をしとねに貼り付けられていた。使用人によれば、朝の7時には木の葉の山ばかりだったが8時に死体が発見された、という。従って犯行時刻は7時から8時になるがアリバイが怪しいのは遠野に似た深山くらい。
次に温室の蜘蛛の巣状にひび割れたガラスに貼り付けられた舘羽の死体。無数の夜光蝶が群がり、さながら巨大な光る蝶の趣であった。そして揚羽も、毒蜘蛛におそわれ危機一髪。
仕上げは、斑目紫紋が片腕を切り落とされ、黒死蝶に覆われて磔になった。
地元の猪川警部は深山を犯人とするが金田一は否定する。血液型のチェック、黒死蝶を寄せ付けない特殊フェロモン、麻酔で甦る蝶、須賀のコンタクトレンズの謎を発見し、金田一は次第に真実にせまって行く。
るりの場合、麻酔をかけられた木の葉蝶が死体を覆い、時間になると麻酔がさめて蝶が飛び立ち、死体があらわれたのだ。しかもあの特殊フェロモンの匂いが残っていたから黒死蝶はよりつかなかった、という。科学的には「そんな、馬鹿な・・・。」という感じがするが、非常に面白い。
25年前蝶の研究で有名な八重島大学、須賀実と緑は、将来を約束した中。しかも須賀は仮死状態にあった黒死蝶のサナギを見つけ孵化に成功した。ところがこれを聞いた金満家の斑目が、須賀をおそいこれを横取り、自分のものとして発表した。犯人は緑の子で裏切った者たちへの復讐。しかし緑も決して須賀を裏切った訳ではなかった。人工授精という手が残されていた。