著者は絵本・童話を執筆する傍ら、コミック原作、舞台脚本、テレビ幼児番組の構成などマルチな活動を展開。代表作に「あらしのよる」シリーズ、「おおかみゴンノスケ」シリーズ、「オオカミのごちそう」などとある。35歳から40歳くらいの人だろうか。
見開きを開くと
「この本を読めば、明日からすぐ童話作家になれる。そして世界であなたしか書けない一冊の本を書くことができる。」
などとさっそくそそる。こんなエッセイなんか書かないでまず何か作品を書くほうが先?
「まず書いてみよう」「子どものために書いてはいけない」「日常の中の「本質」をさがそう」・・・・・これらは感じないことではない指摘されるとなるほどと思う。
心構えを説いた上で絶対に書ける方法を提示する。
「起・承・承・承・承・転・桔」は、そうだ!と思った。大抵の小説も映画も考えてみればこのやり方をとっている。たとえばアパートという小説を書くとしよう。何かの話が主人公の周辺で始まる。それに関連した話、エピソード等が次から次ぎに出てくる。最後に思い出したかのように最初の話の続きをやり、解決してやる。これで出来上がりだ!著者はこの承・承・承がおいしいところであり、繰り返しなのだ、という。
伏線、禁じ手・・・・これは伏線ナシでいきなり事件が起こるもの。ギャップ・・・悲しいことの後にものすごく嬉しい事が起こって感動させる、なども同様に重要。
「坊」と「屋」と「虫」に、名作プロットを組み合わせるという発想も面白い。
作者の「坊」「屋」「虫」リストには暴れん坊、食いしん坊、慌てん坊、がんばり屋、さみしがり屋、泣き虫、弱虫、(いじめっ子)、(うそつき)などが並ぶ。名作プロットには赤頭巾ちゃん、桃太郎、シンデレラ、白雪姫、一寸法師などがならぶ。もちろんこれは非常用の方法だが、いざとなれば何かはかけるそうだ。
「おーかみなんてだーいすき」という話ではうさぎとオオカミが出会い、仲良くなる話をかいた。著者はこの本を友人におくるとき次のような付箋をつけた。
「この本は別名を「男をものにする方法」といいます。その一、相手をおだてる、その二、泣き落としでせまる、その三、ちょっと無視してみせる、その四、自分のペースに載せてしまう、そこで殺し文句一発。・・・・いろいろな方にお勧めします。是非一度お試し下さい。たたし、肝心のおおかみがちっとも食べに来てくれないという方。その場合残念ながら、作者にも責任は負いかねますのでご了承下さい。」
書店に行き、「あらしのよる」シリーズを見つけ、立ち読みしてきた。あらしのよるにやぎが森の中の小屋に避難する。するともう一方のドアが開き、何かが自分と同じように避難してくる。真っ暗な中、あいてが何者ともわからぬまま会話が始まる。嵐がやみ翌日再開を期して分かれる。すると相手はオオカミ。本来は食う者と食われる者の奇妙な交流が始まる・・・・・そんな筋書きである。名作赤頭巾ちゃんやシンデレラのような華やかさはないが、ドキドキハラハラは結構ありそうな作品であった。なるほど・・・・。
この本を読むと何となく童話が書けそうになる、書きたくなる、ことは請け合いである。ただあなたがホンモノになるには才能ももちろん大切だが、なれると信じて長い愛あだ努力し続ける事がポイントであることは間違いない。
060814