講談社(コミック)
私は不動高校2年演劇部の七瀬美雪。おちこぼれの金田一君がなんとなく気になる。
全体は金田一少年が探偵役、七瀬がワトソン役、ほかに警視庁警視が憎まれ役で登場。
私たちは、全国高校演劇コンクールで「オペラ座の怪人」を演じることになり、演劇部9人は、孤島にある明治時代の資産家の別荘オペラ座館での合宿に出かける。しかし劇に使う仮面をつけて仲間を威す者があらわれるなど、最初から不気味なムードがただよう。それも無理ない。つい最近同じ部員の月島冬子が誤って理科室で硫酸をあび、屋上から飛び降り自殺したのだ。
食事になったが、日高織江が出てこない。みんなでさがしたが見つからない。突然、劇場で開幕ベルの音。あわてて、駆けつけると、織江が鉄の照明機材の下敷きになって死んでいた。そして機材をつってあったワイアは、刃物で切ったような切り口を見せていた。
しかし全員が織江を捜していたから、アリバイはある。支配人の話では前日顔を包帯でぐるぐる巻にした歌月となのる人物が宿泊したという。その男の部屋に駆けつけると部屋は荒らされ、もぬけの殻。そして窓には「地獄の業火に焼かれよ」の落書き。
桐生春美は「月島冬子の幻影にとりつかれただれかの仕業。」という。そしてその春美は、翌日庭の木に吊されていた。自室から木に春美の足跡。金田一少年は、春美が自室で殺され、ここまで運ばれたのだという。さらに緒方先生が、自室の浴槽で死んでいた。彼女は鈍器で頭を殴られ、殺されたらしい。「オペラ座の殺人」にのっとった連続殺人との見方に、金田一少年は、つけ爪などから証拠を握られたため、犯人が自己防衛のために犯したアクシデント、浴室の死は偽装と解釈する。
早乙女涼子の口から、月島冬子事件の真相が、語られる。彼女と日高、桐生の三人はねたみから月島を理科室に呼び出し、硫酸で威したが、誤って全身に浴びせてしまったのだという。それなら歌月なる男の三人を狙った犯行、残った早乙女が危ない!突然、仮面姿の歌月があらわれ、皆で両方から追いかけるが、忽然と消えてしまう。
金田一少年は「そもそも歌月の存在がトリック」と喝破。さらに織江は追いかけているときに緞帳のかげに呼び出され殺された、擬音トリックを緒方先生が見破ったと解説、犯人は一同のなかにいると断定。そして早乙女を見張りながら、罠を張っていると・・・・。
孤島殺人はクリステイの「そして誰もいなくなった」風。窓から首を出したところを、上からつりあげて殺す手口は「ムーンクレセントの奇跡」風、人間消失は「黄色い部屋の秘密」風、ボーガンの利用や、被害者だけの足跡、緞帳で音が聞こえなくなる特性の利用などもどこか他の作品で見た気がする。そして全体は「オペラ座の怪人」何か古今の代表作の寄せ集めみたいな感じがしないでないが、プロットや会話はしっかりしており、大変楽しめる。ただ事件の動機が余りにも早く分かりすぎる、と言うところが一寸気になった。
コミックというものを文章にするとどうなるか、と考え一寸書いてみた。随分長くなるものだ。
(出だしスクリプト例)
はじめは授業が始まってから、窓から入ってきた。みんなははじめをおちこぼれと言う。でも、音楽担当で演劇部顧問の緒方先生は、はじめは何かを持っているっていうの。
1週間後、全国高校演劇コンクールをひかえた私たち演劇部のメンバー9名はクラブ合宿に向かう列車の中にいた。
やろうとしている劇は、あのガストン・ルルーの「オペラ座の怪人」。はじめは台本もろくに読んでないみたい。
「金田一君、だめよ。台本くらい読んでくれないと・・・。はじめ君には音響係をやってもらうんだから、劇の大筋くらい頭に入ってくれないと困るのよ」
「うるせえ・・・。どーしても来てくれって言うから来て身りゃあ、朝っぱらから大荷物つきあわされてよ・・・・。」
「だってコンクール前に三人も辞められて困っていたのよ。」
「ま、辞めた奴らの気持ちもわからんでもないよ。同じ部員の女の子があんな死に方しちゃあ、誰だって・・・。」
「はじめちゃん!そのことは絶対口にしないって言ったでしょ。」
そのとき後ろから声が聞こえた。
「みんな普通に振る舞っているんだけど、本当はまだ気にしているんだから。月島冬子さんのこと・・・。」
ぎょっとしてふりむくとファントム・・・・。
「きゃあ!」と叫ぶとファントムは仮面を取った。
「あっははは、オレだよ、オレ。」
なあんだ。布施先輩が劇で使う仮面をつけていたのだ。意地悪!
「ねえ、美雪ちゃん。トランプ一緒にやりに来ない?」
それから布施先輩は私がなんであんな駄目男のはじめちゃんを連れてきたんだって聞くのよ。
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