異人館ホテル殺人事件


講談社(コミックス)

 青森の俵田刑事から函館の古いホテルで行われる「ミステリーナイト」なるイベントで人が殺される、との報が流れている、調べてほしいとの依頼を受け、おれ(金田一少年)は美雪と共に出かける。「ミステリーナイト」は劇団「アフロデイア」が「ナルシスの魔鏡」なる殺人劇の前半を演じ、参加者が犯人を推定、最後の日に解決編が演じられるという趣向。
 おれは、都合で三階の真っ赤な「赤髭のサンタクロース」なる男が10年契約で借りているという気持ち悪い部屋をあてがわれる。そして開演。主演の老女優万代が「この中の誰かが死ぬというのかしら。今夜ほどおあつらえ向きの夜はないわ。」と乾杯の杯を上げる。ところが本当に青酸カリ中毒で死んでしまった!
 劇団員の誰もが老女優万代をうとましく思っていたらしく、北海道警察から来たという女性キャリアの不破警視は内部犯行説を確信しているらしい。また赤髭のサンタクロースは、実は麻薬の売人で道警がおっていたが1年前に死んだらしいことが明され、次第に事件の背景が見えてくる。しかし脚本家虹川幸夫が、証拠をつかんだらしい佐木竜太が次々と殺され、さらには金田一少年まで襲われ、現場には「赤髭のサンタクロース」の署名がおどる。
 不破警視は左木が殺害された部屋があの赤い部屋で密室になっていたことからおれが、犯人と断定。おれは逮捕されてしまう。ところが突然の釈放。戻ってみると今度は万代の弟子で劇では最後に万代を殺すことになっていた女優文月花蓮が青酸カリを飲んで死んでいた。そして犯行を認める遺書。密室の抜け道が暴露され、左木の爪に付着していた犯人の皮膚から検出された血液型とDNAは文月のものと一致し、これで一件落着か?。
 しかし文月の無実を信じるおれはあの劇の解決編の上演を決意。犯人はそこで自らの正体をあばくに違いない。そして最後の場面、文月の代役美雪が剣を振りかざして、万代の代役不破に襲いかかると不破は思わず剣をたたき落とした。「台本と違うじゃないか。!」

 この作品は今までの作品に比べ新味が多い。万代になぜ毒の入っていたグラスを選ばせる事ができたのか、リハーサルで使われる予定だった剣が光っていたのはなぜか、もう一つ赤い部屋をどうやって作ることができたのか、等々の謎も面白い。しかし最大の物は最後に犯人と文月が一卵性双生児であったため、DNA鑑定が一致したと分かる点であると思う。もっともこのトリックは志賀貢の「DNA鑑定殺人事件」などで使われてはいる。