声に出して読みたい日本語   斎藤 孝


草思社

暗誦、もしくは朗誦する事をねらいとして、歌舞伎、狂言、古典文学、浪曲、詩吟、小説、唄、漢詩などから、集めたもので以下のようなものを取り上げている。
著者によれば
「日本の伝統的な文化の柱として、<腰肚文化>と<息の文化>がある。かっては腰を据えて肚を決めた力強さが、日本の生活や文化の隅々まで行き渡っていた。腰や肚を中心として、自分の存在感を感じる身体文化が存在していた。この腰肚文化は、息の文化と長く結びついている。深く息を吸い、朗々と声を出す息の文化が、身体の中心の息の道を作る。腰肚を据えるということも、横隔膜を下げて深く呼吸すること抜きには意味をなさない。身体全体に息を通し、美しい響きを持った日本語を身体全体で味わうことは、ひとつの重要な身体文化のはしらであった。」
そのために共通のテキストをもつことは、世代間の信頼を高める効果があるとして編んだということである。
採録されているものは、
「明治生まれの作者によって作られたものを基準としている。風説に耐えてきた実績を重んじるとともに、明治までの日本人が持っていた完成や危害や美意識を直接感じやすくするというねらいからである。」
選び方は作者の好みがあり、ほかのものでもよいものがあるように見えるが、多くは私たちが子供のころから慣れ親しんできたものである。ここは素直にまず声を出して読み上げてみることが大切なのだと思う。
1  腹から声を出す…・白浪五人男、平家物語、般若波羅密多心経など
2  あこがれに浮き立つ…・島崎藤村「初恋」、菅原孝標女「更級日記」など
3  リズム・テンポに乗る…・驚き桃の木山椒の木など付け足し言葉、式亭三馬「浮世風呂」など
4  しみじみ味わう…・李白の漢詩「静夜思」、鴨長明「方丈記」など
5  季節・情景を肌で味わう…・三好達治「雪」、百人一首など
6  芯が通る・腰はらを据える…・世阿弥「風姿花伝」、宮本武蔵「五輪書」など
7  身体に覚え込ませる・座右の銘…・福沢諭吉「ひびのおしへ」、いろはかるたなど
8  物語の世界に浸る…・紫式部「源氏物語」、古事記など
011218