光文社時代小説文庫
血みどろ砂絵にもまして、推理小説的に面白い作品が多く感心した。
不動坊火焔・・・・いんちき祈祷の正体
自分が息子に祈り殺されようとしている、と聞いた山城屋仁兵衛は同じ祈祷師に余計に金を払って懲らしめてもらおうとする。息子をこらしめようとしていたセンセーたちは、先回りして祈祷師がはなった怪物イブクロを捕らえる。腹の中でくった物を腐らせて吐き出す事が出来る。一方山城屋の方は殺されてしまった。これは息子から金を巻き上げようとしていた博打の胴元の犯行。センセーたちの手品めいた術も面白い。
天狗起し・・・・死体が人を殺す。
葬式のさなか棺を覗いた大工の留吉が殺され、幸右衛門の死体が消失し、やがてそれは屋根の上で発見された、という派手な事件。実は幸右衛門がキリシタンで坊主の説教を好まなかったため、空の棺で経を唱えていたが、途中留吉が棺を覗いてしまった。キリシタンであることがばれると大変と小僧が殺したものだった。
やれ突けそれ突け・・・・ヌード女性のふくらはぎに殺人予告
やれ突けそれ突けを演じていた女太夫がすそをまくると内股に「きちさんしぬ」の文字。隣の小屋で綱渡り演技をしていた蝶吉(女性)が、綱から落ちて死ぬ。実は二つの事件で、最初の者は宣伝。後の事件は座の内部争いで鏡に移った太陽光が一瞬術者の目をくらませた。
南蛮大魔術・・・・眠り薬、阿片、媚薬で桃源郷体験
山崎屋宗右衛門の音頭で、奇術師天竺胡蝶斉なる手妻師を招いて大パーテイ。余興で月へ連れて行ってもらうことに相成り、招かれたセンセー達はいい気分。ところが気がつくと月の女王こと胡蝶斉が太刀を持った娘に早変わり、「目的は背中に傷のある父の敵を捜すこと、それは山崎屋だった。」と敵討ち。ところが月から戻ると山崎屋はピンピン。実は胡蝶斉と出来た山崎屋は身代わり死体をたてて、夜逃げをしたかった。
雪もよい明神下・・・・死体が天から降ってくる
火の見櫓で鐘を突く音、そして上から男が飛び降りたが、その背中にはあいくちが深々と刺さっていた。備前屋のお家騒動話で、二人は鐘の音で世間を混乱させ、その隙に親父を殺そうとしたが、親父を殺す役が方針変更、火の見櫓から飛び降りた男を殺すことにした。しかし返り討ちにあって・・・・。
春狂言役者づくし・・・・予告殺人、捜査混乱殺人、隠し場所、六つのナポレオン
豪華な役者絵の羽子板が壊して捨てられ、羽子板の役者が次々に殺される。センセーは最後に羽子板を製作した職人湖満堂に目をつける。湖満堂と、その弟子はもと泥棒仲間、湖満堂は隠した金の隠し場所を書いた紙切れを役者絵の芯に隠した・・・・。弟子はそれを取り返そうと・・・・。
地口行燈・・・・死人が強盗に入る、金は仕掛け行燈に
あと三日で初午と言う晩、質屋の金魚伊勢屋に二人組の押し込み強盗、百両奪われた。翌朝犯人らしき二人が往来で刺されて死んでいる、強盗の仲間割れと思われた。ところが強盗以前に二人の死体を見た者が現れた。豆腐屋の女将に飾職人喜三郎。そしてその喜三郎が殺された。センセーの見立ては金魚伊勢屋に手引きする者がいて、喜三郎と殺された一人が押し込み強盗にはいる、喜三郎が別の死体を見つけてきて二つを往来に放置、ところがこれを知っている奴が、喜三郎を殺して金を奪い隠した。その隠し場所は仕掛け行燈の中・・・・。