魔神遺跡殺人事件


講談社コミックス

 金のない金田一少年が、美人の宗像先輩に好条件のアルバイトと誘われてやってきたのは、彼女の故郷島根県魔陣村の遺跡調査。なぜか五月や美雪も同行。魔神村は、凶鳥が飛び交い、宝玉の館、七鏡の館、矛の館の3戸しかない不気味な村。
 発掘調査は、国守教授を中心に凶鳥の命に捧げられた四つの魔神具を発見すること。魔神具は富と繁栄をもたらすが、誤った行いをすると不幸をもたらすという、それを恐れて先輩の曾祖父がどこかに埋めてしまった。今残るのはレプリカだけ。銅鐸、銅鏡、宝玉、矛。見つかれば考古学的価値は計り知れない。
 最初の犠牲者は、宝玉の館の住人「大和猛」だった。二重鍵で閉じられた発掘現場で腐ったカラスの死骸と宝玉のレプリカを手に、絞殺されていた。宝玉の館主人港屋寛一が、金田一少年の目の前で落ちてきた山の上の無人の古寺の釣り鐘にしかれて絶命した。さらに廊下に幾つもかかる鏡が叩き割られ、矛の館の住人曾我が、2月末の日めくりカレンダーを握ったまま死んでいた。そして最後は顔をベールでおおった先輩の母親の死。
 凶鳥の命のたたりか、などと噂が流れる中、金田一少年は、家の周囲をおおうおどろおどろしい人形、割れた鏡、発掘現場の換気口等から謎を解くことに成功する。目的は母親と女中二役の解消、復讐の達成、それを凶鳥の命のたたりに見せ掛けて行った犯罪。

 トリックはなかなか面白い。トンネル一つで外界とつながる村、密室にプロパンガスをながす、匂いに気がついた被害者が逃げまどって換気口から首を出す、そこを釣り竿のような締め具をつかってしめる犯行プロセス、玄関から入ると無数の鏡が見え、その反射を追って行くと秘宝にたどりつくというトリック、日めくりカレンダーが実は残されたカレンダーに残った文字がダイイングメッセージだったという話、それに一人二役話・・・・いづれも現実性はうすく、どこかで見たトリックに近いが面白いことも事実。
 ただ釣り鐘落下の犯行方法の説明、解釈、母親の死に際しての死体処理(代わりの死体がいると思うのだが)、なぜ当該人物を限定して殺さなければならなかったのか、などの説明が弱いような気がした。

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