日本人としてこれだけは知っておきたいこと   中西輝政


第一章なぜ日本人は戦前を否定するのか。
日米戦争はドイツ人との戦争と異なり、アメリカ人をして「心胆寒からしめるもの」だった。戦場で日本人や日本兵が示した自己犠牲精神をおそれた、これを突き崩さなければならないと考え、天皇制を残す一方で神道を「神道指令」により否定し、これに付随して歴史教育を否定した。それでもアメリカに日本が追随したのは「確かに原爆を落とした憎い国ではあったけれども、ソ連に比べればまだまし」だったからだ。しかしその間に日本人の間に埋め込まれた「ゆがんだ歴史像」の修正は先送りにされた。
一方でこのゆがんだ歴史像をすすんで受け入れようとする日本人も多く、彼らによって多くの嘘がつかれた。「終戦」という嘘・・・・終戦ではなく、敗戦だ。進駐軍ではなくアメリカは占領軍だ。「自主憲法」と言う嘘・・・・・これはまさしくアメリカ人が作ったものである。アメリカ人の中でもフランクフルト派と呼ばれる極左グループが作ったものである。「憲法第九条が平和を守った」と言う嘘・・・・・米ソ両国が核兵器をもってにらみ合う事態が続いたからにすぎない。積極的には日米安保が日本の平和を支えた。「戦後の民主化が高度成長を促した」という嘘。・・・・・平等社会を実現しなくても成長する国はある。日本が西側陣営に属して、非ヨーロッパ圏で先端を行き、有利な立場を得た。これを優れた技術力と経営力が生かした。「国際化」という嘘。・・・・・国際化が進めば、国境がなくなり、世界は一つになる、という嘘。国境をなくすことなど何処の国も考えていない!

第二章あの戦争をどう見るか。
大東亜戦争について4つの見方を提示する。「悲惨な戦争」・・・これは全くそのとおりである。「邪悪な戦争」・・・・確信犯的左翼の言説だが、あんなに悲惨な戦争になったのは、日本が侵略戦争をしたせいだ、とする。」戦争はすべて、避けるべき悪であるけれども、それが直ちにあの戦争が「邪悪な戦争」と言うことにはならない、とする。「愚かな戦争」日独伊三国同盟を結んだことは「驚くべき愚行」。これによってアメリカを怒らせ、アメリカの経済制裁を招き、日本は巧妙に追い込まれていった。その点で「戦略的な愚かさ」があったことは認めざるを得ない。4つ目の見方は「栄光の戦争」。確かに指導者は愚かであったけれども国民は崇高で、健気な自己犠牲精神を発揮し、一致団結して英雄的に戦った、日本人の心が「もっとも輝いた瞬間」と言ってもいいとする見方である。
著者は「悲惨な戦争」ではあったけれども、「邪悪な戦争」であったわけではない。ドイツの戦争と違って「正しい戦争」であったが、「愚かな戦略」のゆえに悲惨な結果を招いた、しかしそのとき多数の日本人が示した偉大な精神的エネルギーは、後世必ず「民族的叙事詩」として賞賛されるべきものだ。

第三章日本人にとっての天皇
人口3000万を越える君主国は世界に4カ国しかなく、しかも共和制を経験したことのない国は日本だけである。日本人のイメージに合う王室といえばイギリスくらいしかないがそれとても歴史的には浅い。日本の皇室は神話を起原とし、王権奪取型や議会契約型ではなく日本独自のもので、日本人の間で愛され伝承され続けてきた。天皇は万世一系であり、そのものが神話的存在であった。
GHQは日本国憲法を作るにあたり立憲君主国とすること、武力を放棄すること、華族制度を全廃することとし、天皇制は維持するもののその立ち枯れを志向したが失敗した。特にスターリンは日本の左翼を通じてその画策をおこなった。ここまでし守り抜いてきた物をすてることはない。
天皇制が民主主義と両立しない、と言うのは嘘、王をいただく国でこれほどまで「国民主権」を唄っている国はない。戦前でも「統治権の総攬者」ではあったが、親裁は避けていた。考えてみると日本では天皇がキリスト教国の聖書やロシア正教会の大主教と同じ役割を果たし、総理大臣は天皇に任命されて始めて「聖なる者」に結びつく事ができる。逆に言えば最高権力者にも「人事を越えるもの」「人間の次元を超える者」として歯止めをかける事ができる。
最後に開かれた皇室論があるが、皇室財産が全て国のものとなる一方、宮中祭祀のかなりの部分が神道色が強いとして私的生活費にあたる内廷費から出費されていることなどからかなり経済的に苦しいこと、国民の側に理解が不足していることなどを考えるとかなり難しい、と言える。

第4章日本文明とは何か
「菊と刀」はアメリカが気心の知れない日本人に、戦後占領政策を確実に実行させるために書かれたもので、そこには「理想の西洋人」「ちぐはぐな日本人」という考えが支配している。素直に色眼鏡をはずして「生身の日本人」を語る事が必要だ。日本人は神道に由来する美意識をもち、利己的な個人主義が少なく、一家のこと天皇と国家のことを思う心を維持してきた。日本人の場合、国を愛することは日本文明そのものを愛することに繋がる。これは世界にも類のない文明である。
日本文明はこの後もいろいろな困難に遭遇するであろうが、本来の和魂(心の美意識)さえ堅持すれば、限りない可能性が秘められていると信じる。

070404