大江戸えねるぎー事情    石川 英輔

講談社文庫

かって世界一を誇った頃の江戸は、実は現代からみると驚くほどの省エネルギー都市であった。冒頭にガラス容器を使ったミクロコスモスの実験を提示し循環型社会への考え方を示している。ついで各項目ごとに江戸時代のやりかたをのべ、現代と比較し、それぞれの方法で単位当たりどの程度のエネルギーを飛翔しているかを石油換算で示している。
比較している綱目は
あかり、水、米、魚、野菜、着物、住まい、涼む、暖まる、湯、旅、紙、本、薬、医者酒、塩、鉄、遊山、流す、捨てる、生きる
たとえば米は八十八度の手間がかかるとさえ言われていた。代掻きに始まり、苗作りから田に水を張る作業、田植え、草取り、刈り取り、乾燥、脱穀、籾すり、さらには俵詰めから運搬まである。江戸時代は牛や馬はつかえたものの、これらはほとんどが手作業である。人件費のかかる現代ではそんなことはやってられず、多くの作業が機械化されている。しかしそのおかげで、米1キログラムを作るために要するエネルギーは江戸時代は225キロカロリー、現代(昭和55年資料で計算)では2260キロカロリーかかっている。
着物に使うエネルギーは、江戸時代の人はせいぜい1年間に石油二リットルであった。現代では百リットルくらいになっている。江戸時代は作る着物も少なく、それに要するエネルギーも少なかったが、古着屋が当たり前であった、等々
その上で著者は
「国際化しようがしまいが、われわれはいくらか大ぶりのガラス容器に過ぎない地球の中で、自給自足の生活するよりほかない存在であることをはっきりと自覚するべきである。…・・国際化した今のような時代こそ、ますます江戸時代のような考え方で生きなくてはならなくなってきたのではあるまいか。…・と言っても、再び江戸時代のような生活に戻れるはずがないし…・・」とした上で、見習うべきなのは、社会制度の形式ではなく、自然と人の関わり方の発想である、としている。
リサイクル型社会が叫ばれているおり、非常に参考になる書である。
011107