男と女のテクニック       塩田 丸男


集英社文庫

「男と女は、本質的にお互いに食うか食われるかしかない競争関係に立つ存在だ。たとえ恋愛中でも、新婚ほやほやでも、円熟した夫婦生活でも…。
そこで男と女の双方に、相手に食われてしまわない、逆に相手をどうやればくっちまうことが出きるか、という実践的ワルヂエを授けよう。」
この前説で始まる本作品は、男と女のようようのテーマについて(数えてみたら48もあった)その駆け引きの実例をおもしろおかしく解説したエッセイ集である。全体つながっているわけではないから、気の向いたときに二つ三つ読んでにやにやしていればよろしい。
全体読んでみて作者はまずテーマあるいはタイトルを最初に決めた、あとはそれにあったエピソードを探し出し当てはめたに違いない、と思った。いくつか面白いものをあげて要点を記すと
愛情の告白…・愛の告白は男性が行う。「アイシテル」なんて。しかし女は男に告白させたがっていることを忘れてはならない。しかも一旦告白させると女は後々まで覚えているからご用心!「あなたは私にプロポーズしたときになんと言ったかもう忘れたの、コレコレシカジカと言って、私の両手をとり、膝まず田じゃないの」
フリをする…・ムスメ時代は。もうすでに知っているかのごときフリをして大人を惑わす。男に捨てられ、非処女になると、今度は逆にムスメのフリをして、結婚相手を今度こそガッチリキャッチしようとする。何と言ったって、フリに関しては女が上手、プロである。
理解妻…・お好きなお酒ですもの、やめて下さいとはいいませんわ、とホームバーセットを買い込む女。家で古女房の管理下で飲んだってうまくないことは分かっているでしょう。
何しろ沢山あるから、後は読んでのお楽しみ。それに捨ても良く資料を集めたものと感心する。それからこの本が書かれたのが約15年前、男と女の関係はずいぶん変わったものと驚く。もはや女には結婚は絶対的なものでなく、自由に羽ばたきだし、それを止めるものもいない。逆に男は理解があるようになったと言えば聞こえは良いが、どうも弱く、女性的になった気がする。この本の作者みたいに毎夜銀座を歩き回り、関係した女は数知れず、とは参らぬようだ。
011010