文芸春秋ハードカバー
父と娘というのは、近いようでいて時としてひどく遠い存在なのだと思う。娘は著者の指摘にあるように、母親の言うなりに育つケースが多いから、フィルターをかけて父を認識する。一方仕事に打ち込む父には娘とつきあう暇が概して少なく、仮にあったとしても恋を囁くわけにも行かず、命令するわけにも行かず、他人行儀に振る舞えばおかしく見えると言う具合で、つきあいにくい存在である。
この書は多くのアンケートと著者自体の経験を元に、娘たちは父をどう考えているかを捉えようとしたものである。
前半は「娘は父親を語れない」「父親の未熟と混乱」と題して、アンケートの答えた娘の約半分はお父さんのことが嫌いだ、と述べている。ここのところは何だかなぜ父親のアンケートをとらないのか、と言う気がした。何だか欠席裁判みたいだ。
後半になって「父についての悩みを打ち明けるって、娘が母にするんではなくて、母が娘にするんだというのです。(185P)」と驚き、「娘の感情の出所は母親であるという事です。ですから娘が父を嫌うその方向付けをしたのも多分、母親だと思います。(193P)」というごく平凡な事実に到達している。
・教師としての特性の一つには、社会人ではない、学校以外の世界を知らない、非常に狭い世界の中で生きている人たちであるという事があげられます。(148P)
・(教師は)ただの公務員であり、安定した生活と、波乱のない人生を望んで教師という職に就いた人たちなのです。幾ばくかの袖の下と、コネ採用を経て、安月給と、自己保身と、人の頭を下げない何十年化の生活を続けた末に、安らかな老後を送りたいと願う人たちなのです。(150P)
・最近では「男のマザコン」は社会問題として認知された感がありますが、そのうち今まで問題無しとされてきた「女のマザコン」が取り上げられるようになる日が来るでしょう。(196P)
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