映画化されているので、その感想と一緒に記す。
映画は1994年公開のフランス映画である。監督はパトリス・シェロー。
16世紀末、フランスはヴァロワ朝支配の時代である。イタリーメデイチ家から莫大な持参金と共に輿入れしたカトリーヌ・ド・メデイシス(ヴィルナ・リージ)は、夫アンリ2世の死後、病弱の長男シャルル9世(ジャン・ユーグ・アングラード)の後見役として、絶大な権力を振るっていた。
しかしこのころヴァロア家やギーズ候を中心とする旧教徒に対し、新教徒の勢力は無視できないほど大きくなってきていた。カトリーヌは、両者の和解をはかると称し、1572年8月新教徒の指導者的存在であるナヴァール候アンリ・ド・ブルボン(ダニエル・オートウイユ)に、娘のマルゴを嫁がせると発表、二人はルーブル宮で結婚式をあげることになった。パリにはこれを祝って数千人の新教徒が集まった。
しかし結婚初夜から、マルゴは夫の来訪を拒否し、恋人ギーズ候を求め、それがかなわぬと街に出て、行きずりに新教の美青年ラ・モール伯爵(ヴァンサン・ペレーズ)と荒々しいセックスをかわす、一方アンリは愛人ソーヴ男爵夫人の下に赴くなど滅茶苦茶。それでも新夫の要請でマルゴはアンリを守ることを誓う。
パリに集まった新教徒は、指導者コリニー提督負傷を機に不穏な動きを見せ始める。するとカトリーヌは、殺し屋モールヴェルとココナス伯爵に老若男女を問わず集まった新教徒をすべて虐殺することを命じたのだ。史上「聖バルテルミーの虐殺」と呼ばれるもので後にカトリーヌが「6000人も殺したというのに・・・。」というくだりがあり、そのものすごさが分かる。
新夫アンリも捕らえられ、カトリックに改宗するものの幽閉状態が続いた。マルゴは再びラ・モール伯爵と出会い、逢引を重ねるようになる。
しかしカトリーヌは、占いで将来ヴァロア家が絶え、アンリがフランス国王になると告げられると、いのしし狩りの晩、再度、彼をモールヴェルに命じ暗殺しようとはかる。しかしいのししに襲われ危機一髪を助けられたシャルル9世が邪魔する。次に毒を塗ったアンリの好きな狩猟の本をその寝室に置くが、シャルル9世が読んでしまった。
シャルル9世は、本の毒がまわり、衰弱し、自分を毒殺しようとした犯人探しを始める。アンリはパリを脱出し、スペインとの国境近くの小国で出身のナヴァールに迎えられ、再び新教に改宗する。彼はマルゴをナヴァールに呼ぼうと、ラ・モールとココナスを向かわせる。しかし二人は捉えられ、しかも国王を毒殺しようとした、とシャルル9世に疑われる。マルゴは、必死にシャルル9世に二人の助命を懇願し、彼も最後に母の仕業と気づき釈放しようとするが、時すでに遅く処刑されてしまった。
マルゴはラ・モールの切られた首を膝に乗せ、夫で今はナヴァール王となったアンリのもとに向かう。やがてシャルル9世が崩御し、ポーランドにいた次男アンジュー公が戻り、アンリ3世としてフランス国王に即位する。
絢爛豪華な作品で、愛欲シーンもさることながら、バルテルミーの虐殺の様子など非常に迫力がある。ただ登場人物の多さなどもあって、誰と誰がどうなって、誰が裏切ったのかなどわかりにくい。作品が原作に引っ張られている感じがする。しかし私は3度見、あわせて原作も河出書房版を読んだせいか、非常に奥の深い作品であると感じた。同時にこの作品はフランス人には分かりやすいのかも知れぬ、と考えた。信長や家康の話はフランス人が見ればなかなか分からない。
また話全体はデユマの創作で、史実によれば、この後マルゴは、カトリックとプロテスタントの争いに巻き込まれ長い監禁生活を強いられる。ナヴァール王となったアンリは1598年にフランスを統一し、宗教戦争に終止符を打った。しかしこの人にとっては旧教でも新教でも都合に合わせて、という風に見える。彼はフランス王アンリ4世となった後、再び旧教に改宗している。彼が創始のブルボン王朝は17世紀中葉になって、ルイ14世を輩出し、「朕は国家なり」と言わしめ、発展のピークを迎える。