歴史を騒がせた「悪女」たち    山崎 洋子


講談社文庫

短い評伝のなかで書かれている人物の本質を描き出すのは相当に難しいと思う。なぜならその人物に対して世間一般でない作者独自の見識がなければならないからだ。この作品は以下の人物について書かれているが、私がこのような点から見て面白いと感じた物についてコメントしてみる。
西太后
マリー・アントワネット

シュテファン・ツヴァイク描くマリー・アントワネットと異なる部分を求めたがこの項には現れていなかった様に思う。結局はごく普通の女性であったが、フランス革命という時代の波に押しつぶされた、と言うことか。
クリステイン・キーラー
ジャクリーン・オナシス

この項で一番気になるのはジャックリーンの実家の様子だ。洗練された貴族とあるから裕福ではあったのだろうが、夫婦仲は悪かったのではないだとうか。それをみてジャックリーンは女は賢く振る舞うことが大切、と骨身にしみて感じたのではないか。世間的に見て理想の男ケネデイと結婚した。ケネデイの女あさりにはもともと世間的を重視した結婚だったからそれほど嫉妬しなかった。ケネデイが暗殺され、オナシスと結婚した。これなど年齢差を考えればジャックリーンの打算以外の何者でもない。しかしオナシスはジャックリーンの本質を見抜いていた。
淀君
ボニー・バーカー

この女性はクライドと一緒でなければ論じられない。ごく普通の跳ね返りだが、たまたま悪い男と一緒になって、明日のことは考えずに禁酒法時代を駆け抜けた、というだけのことだと思う。
ゼルダ
川島芳子
ジョルジュ・サンド
和泉式部
エカテリーナ2世

女という物はひとたび性を越えると、自己実現に向かって全力を傾ける事がある。私は彼女にエリザベス1世を重ねあわせた。
楊貴妃
ぽっちゃり型の玄宗好みの美人であった。梅妃といるところへ押し掛け、激しい嫉妬で玄宗皇帝を責め立て追い出させた。彼女は玄宗という男の心の奥底を凝視し、隠されている物を探り当てた。安心させ、自信をつけさせ、適当に甘え、音楽好きの皇帝を喜ばせるため歌舞音曲の練習に励んだ。ライバルを宮廷から追い払い、皇帝の臣下を自分の身内で固めたりして、着々と地位を揺るぎないものにしていったのだから、悪巧みも相当たけていた、といえる。
桂昌院
パトリシア・ハースト
ラナ・ターナー
ルクレツイア・ボルジア

彼女は兄のチェーザレ・ボルジアを深く愛し、その野心に従って行動してきた。兄が失脚し亡くなってしまうと後は、兄の世話してくれた夫に従い、静かな余生を送ったという。そこには兄に対して権利を主張すると言う態度は微塵も見られない。
イサベル・ペロン
ルー・サロメ
ブリジッド・バルドー

何一つ不自由のない家庭で育てられ、わがままを通した芸能界入りだったが、大スターにすぐなれ、しかも自分に傅いてくれるすてきな男も次から次へと簡単に見つかった。「ウーマンリブの闘志」などと言われたこともあったがその実わがままをとおしたかっただけ。こういう人物は好き勝手を尽くすが、一つかなわないのは老い。わがままがばれ、男が去ったとき残るのは寂しさだけ。
クレオパトラ7世

010822