外科室・海上発電
外科室・海上発電 泉 鏡花
岩波文庫
初期の代表作集。義血侠血は「滝の白糸」の原作。
義血侠血
場面をくるくる転換させながら、メリハリつけて物語をすすめて行く作者の小説構成能力に驚いた。
越中高岡と石動間の馬丁をしていた村越は、ひょんなことで水芸人「滝の白糸」を知る。
彼女の援助で彼は東京に出て検事になる。一方がんばってきた「滝の白糸」は最期に暴漢に大金を盗まれ、その金を埋めようと商人宅に押し入り、夫婦を惨殺。
裁判では検事席に村越、被告席に「滝の白糸」という設定。
夜行巡査
巡査の八田とお香は結婚したかったが、お香の養い親の伯父が許さない。
伯父は実はお香の両親に恨みを持つ実にいやらしい意地の悪い人物。
お香が自殺しようとすると、伯父が止めにかかる、巡査が駆けつける、水に落ちた伯父をみて巡査は職務第一で、お香の止めるのも聞かず、川に飛び込み死亡する。
外科室
一度目をかわしただけで恋に落ちた学生と少女が、何年か経って手術室の中で再会。
人妻となった少女は、寝言で医者が好きな事を口走り、夫に露見することをおそれて、麻酔剤を使わない手術を主張する。
琵琶伝
相本を愛しながら、気にそまぬ陸軍尉官近藤と結婚したお通。
その反抗的態度に近藤はお通を一生離すまいと決心し、訪ねてきた相本を営巣脱走と下男惨殺の件で銃殺。
最期にお通をも殺そうとするが、お通は最期の反撃。
実際には起こり得ない極端な話しだが、愛のない結婚の行き着く先の寓話と考えるとそれなりにすごみがある。
海城発電
海城というところから、英国人記者が、日清戦争における日本軍内部でおこった事件を打電している。
「日本軍には赤十字の義務を全うして、敵より感謝状を贈られた国賊がいる。一方で敵愾心のために清国の病婦を捕らえて、犯し辱める愛国の軍夫がいる。」これは打電が実際はどのようにして起こったのかを、伝える物語。