久生十蘭集
*顎十郎捕物帳
最初にあっと驚かせて、それから実はと手の内を解いて見せる作品。それに従ってコメントして見よう。
紙凧
あっ。 金座からでた金、3万2千両が神田川を登る途中、石船にとられる。
実は。 この犯罪はおとり作戦。戻し金を凧合戦を利用して金座からもちだした一味がその犯罪をかくそうとしたもの。
都鳥
あっ。 馬の尻尾をきりまくった下手人が辞世の句をのこして割腹自殺。
実は。 本来は羊と駱駝の毛を用いてつくる呉絽を、娘を誘拐してその黒髪と馬の尻尾の毛でつくらせた呉服問屋の犯罪。
遠島船
あっ。 遠島船の23人が全員消え、あとには人ののらぬ船がゆらり、ゆらり。
実は。 船頭と囚人がぐるになって逃げ出した事件。最初から船には人がのっていなかった。
日高川
あっ。 山かがしを殺した娘に蛇が取り付く。
実は。 お年という女が坊主と下男をひきこんでたてたお家乗っとり作戦。『写し絵』の技術にたけた下男が蛇の亡霊を出して見せる。
三人目
あっ。 清元の師匠が独酌をしているうちにぽっくり。乳房のしたに小さな傷が。
実は。 杉の市と言うあんまはりがさした、いや結城問屋の三男坊がさした、いや、その前に死んでいた、芸者の小竜が濡れ紙で口をふさいだ、いや、本当は炭火の中毒でした。
両国の大鯨
あっ。 みせものの大鯨がちょっとのすきに消失。
実は。 鯨の中に逃げ込んだ盗賊の親分を子分がすくいだそうと切り刻んで持ち出した。
いもり
あっ。 阿波屋の6人が2か月のあいだに次々死亡。屋根裏でしんでいたいもりのたたりか?
実は 居候浪人の仕業かとも思ったが実は油つぼにまぎれこんだ蝮の仕業。いもりはやもりで単なる娘の恋の願かけ。
*平賀源内捕物帳
長崎物語
あっ。 江戸、大阪、長崎3か所で同時に起こった同一犯人による殺人。
実は。 幻燈の種板とレンズを用いて同一の男を見せ、にげるところを後ろからばっさり。