法王庁殺人事件       塩野 七生

新潮社 ハードカバー

フィレンツエを去ったマルコは、オリンピアと共にローマにやってきた。
ローマは遺跡の都、エンツオ老人の手助け、ミケランジェロとの交遊、マルクス・アウレリウス帝像のカピトリーノの丘上設置作業等を通して、マルコは、次第にヴェニスを捨て、こちらでここでオリンピアと共に過ごそうかと考えるようになる。 オリンピアのパトロンは、ローマで絶大な権力を振るうピエール・ルイジ・ファルナーゼ公爵だった。彼は、オリンピアのマルコへの愛を打ち明けられたとき、結婚するなら分かれることもやむを得ないと考える。
しかし、ヴェニス、スペイン、法王の連合海軍はトルコとプレヴェサの戦いで敗れ、イタリア沿岸の各国は存亡の危機に立たされた。ヴェニスは、早急に政体の再編を迫られ、秘密警察C.D.X.のメンバーとしてマルコは呼び戻されることになった。もちろん、そうなればオリンピアとは結婚できない。
マルコは密かにオリンピアを連れだそうとするが、ファルナーゼ公爵に見つかってしまう。・・・・・・


・ローマという都市はこのように、古代からずっと同胞と異胞を差別しないでできた都市なのである。(27p)
・(アッピア街道は)都市がちかずくに連れて、両側には墓が並ぶように代わってくる。古代の死者は、地下に追いやられないで地上に残り、陽光を浴び涼風に吹かれながら、生者と共に住むことができたのだ。(118p)
・ヴェネツイア共和国が・・・・動脈硬化状態に陥るのを防げたのは、社会の多くの面に敗者復活戦のシステムを活用したからである。(121p)
・宗教改革とは、所詮、北ヨーロッパの民族のローマによる支配からの離反の運動なのだし、現在頭をもたげ始めている反動宗教改革も、スペインに起こったことからしても、同じくローマによる支配からの分離運動にすぎない。(158p)
・君の人生を幸せにすることはできる。 君が、君にとって正しい道を見いだすことができ、一つの指針にそって、判断も行動も律することができるならば。(190p)

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