彼女は、なぜ人を殺したのか 福島 章
金がなくなり、愛人にそそのかされて、山川陽子は強盗殺人を犯した。
26歳、OL、彼女のそれまでの人柄と残忍な行動は非常なミスマッチに私には見えた。
私は精神鑑定を行ったが、精神病や精神遅滞等の兆候は認められない。
ただ男の子の出産を願う両親の元で生まれ、弟が出来てから両親の愛がそちらに移り、さらにその弟が事故で死んでしまうと言う経験を持っていた。
そしてわずかな脳障害を発見する。
「被告は幼児期の若干の脳障害により、男性化が進んだ部分がみられ、攻撃衝動や性衝動が強い。
時にその強い衝動に支配されて、理性的な統御を失った結果おこした犯罪である。
矯正教育や心理治療により人格を変えることが出来る」と考えた。
鑑定する側の心理を書きたかったとしているが、その面ではこの作品は失敗と思う。
しかし心理学的知識が実態に即して伝えられており、女の子の心理を理解する上には非常に有用であると思った。
・第一の系統 中央の長い廊下と左右の法廷、書記官室、裁判官室
第二の系統 勾留中の被告と付き添いの看守が通る道
第三の系統 裁判官、書記官など職員専用の通路(30p)
・知能指数の言語性と動作性(72p)
・殺人者が血を見て興奮し、攻撃性が止めどなく亢進する現象・・・血の酩酊(106p)・利欲殺人から隠蔽殺人へ(109p)
・犯罪心理学的説明。・・・女性犯罪における受動性、・・・重大な女性犯罪の動機には「生殖と愛情」(149p)
・幻想の中の反復脅迫(150p)
・子供が重大犯罪を犯してしまった場合の家族の反応・・・・破綻と否認(162p)
・大学生の自慰経験率・・・男性92%、女性35% マスターベーションをする人は、女性的と言うよりは、むしろ男性的な生理や衝動を伴っている。(170p)
・1960ー70年代 流産予防法として合成黄体ホルモン・・・副作用として女の子が男の子のような外見の性器を持つ偽性半陰陽の子供が大勢生まれた。(180p)
・男か女かという心理的な役割意識や性同一性・・・・「性の署名」(190p)
・逆転移(150p)(196p)
・眼底所見から、脳動脈硬化や脳腫瘍などであることが目に見える(205p)
・中心気質・・・外向的、活動的、社交的で、世間の常識や社会規範に余り捕らわれず、自分の欲求と衝動のおもむくままに行動する傾向が強い人柄です(214p)
・爆発性・攻撃性と言うものは一般に、若い時代に非常に強く、歳を取るに従ってだんだんそのエネルギーが低下して行くものなのです。(221p)