カルメン           メリメ

新潮社  CARMEN 堀口 大学 訳

1830年のはじめ、「スペイン戦記」で言うシーザーが共和国の勇士たちと戦った場所を求めて、旅していた私は大盗賊ホセ・ナヴァロと宿を共にする。コルドヴァ近くでふたたびジプシー女カルメン・シタと一緒のホセにあった。そして2、3ヶ月後、コルドヴァに戻った時、ホセは捕らえられ、処刑される所だった。
ホセは私にカルメンとのいきさつを最後の告白という形で語り始めた。ホセはバスク人で、生まれながらのキリスト教徒だった。アルマザの連隊に入隊し、伍長になったが、煙草工場で衛兵勤務をするうち、女工のカルメンが仲間を殺す現場を押さえる。
監獄に連れて行くが、その魅力に負け、女を逃がしてしまう。
今度は自分が営倉行き。パンの中にいれられた鑢を利用することもなく、釈放されるが、守衛という屈辱的な業務。ついにカルメンたちの密輸グループを手助けする。そしてカルメンとのカンジレホ街での激しい恋。そのうちに誘われて密輸業者に身を落とす。
しかしカルメンはジブラルタルなどに飛び、仲間の手引きに余念がない。密輸部隊はやがて追い込まれ、盗賊団になって行き、殺人と略奪を繰り返す。しかもカルメンには根っからのジプシーのガルシアという夫がいたことが判明する。騎兵に追跡された時、死んだ仲間を見捨てて逃げるような悪漢だった。ついにホセはガルシアと決闘し彼を倒す。
しかしカルメンの浮気癖はやまず、今度は仕事のためと称し、近ずいた若い闘牛士リュカスに恋。ホセはアメリカに渡り、新天地で暮らそうと提案するが受け入れられない。最後に嫉妬に狂ったホセはカルメンを刺す事に・・・・。
実直な男と奔放な女の恋物語と言うパターンである。芥川龍之助の「偸盗」はこれをモデルにしたとも言われている。

・私たち二人のあいだでは、すべてがもう終わってしまったのよ。あんたは私のロムだから、自分のロミを殺す権利があるわ。 だけどカルメンはいつだって自由な女よ。 カリとして生まれたカルメンは、カリとして死んで行きたいのよ。(90p)