近現代史をどう見るか

近現代史をどう見るか・・・司馬史観を問う

     中村 政則     岩波ブックレット

司馬遼太郎のいくつかの作品を読んだ後、是非読んでみたいパンフレット。
ノート風にポイントだけをあげる。

1 なぜ司馬史観を問うのか
・司馬史観の発想の特徴
(1)健康なナショナリズム(2)リアリズム(3)イデオロギーからの自由(4)官僚主義への批判・・・・・藤岡
・司馬史観の問題点  「明るい明治」と「暗い昭和」という単純な2項対立史観
・・・・2項対立的な把握で捕らえられるほど日本の近代史は簡単ではない。・・・大正昭和は明治を母胎として作られた物であって、明治と昭和の間にそれほど大きな非連続や断続をおくことはあまりにも単純であるし・・・
2 明治維新の世界史的位置
・維新の3つの側面・・・・復古、革命(権力の移動)、改革(上からの改革)・・・英仏型の近代化の道でなく半周辺型の近代化の道
・東アジアにおける明治維新の位置・・・国際関係と幕藩体制(鎖国制、石高制、兵農分離制)・・・これを前提に明治初年から最初の10年間に基礎ができた。
・廃藩置県と「一滴も血を流さず・・・」の間違い
3 日清・日露戦争をどうみるか
・岐路としての日清戦争・・・負ければフィリピンと同じ。永世中立化の道
・台湾植民地化戦争をどう見るか。
・義和団事件・・・・支那駐屯軍・・・36年後に日中戦争
・結果として・・・アジア蔑視感がいっそう強まった。天皇イデオロギーが浸透。
・日露戦争・・・ロシア脅威論の真実
   ・・・アジア人に勇気と希望、しかし朝鮮完全植民地化への道・・・外交権(1905)、軍事権(1907)の剥奪・・・アジアに失望
・・・軍部の自己肥大化
4 大正デモクラシーの歴史的意義
・それまでの日本の器量ではやらなかった愚挙・・・対華21箇条要求、シベリア出兵
・「動かない民衆」が「動く民衆」に変わった時代
・司馬遼太郎氏の史観は天才主義である。・・・民衆が演じた役割、経済的要因の欠如
・関東大震災と朝鮮人虐殺・・・神戸地震との対比
5 大東亜戦争とアジア太平洋戦争
・侵略問題はどの部分で生じるか。・・・アジア諸国、米英ではない。
・目的は石油の獲得だけ。
6 司馬遼太郎の明治憲法・天皇観
・司馬・・・最終責任は天皇にまでおよばない。悪の根元は統帥部にあって天皇にいっさいの責任はない。・・・しかし全ての情報を独占的に掌握しているのは天皇だけであり、それがまた、天皇の実際的な政治力を支えていたことを意味。
・バブル経済期の地価高騰・・・ボトム・アップ形式の国家意思決定の仕組みの欠陥。