新潮文庫
少年文学等を中心に10作を納めている。やはり、蜘蛛の糸が抜群に素晴らしい。
蜘蛛の糸
極楽の蓮池のふちを歩いていたお釈迦様の真下は地獄。蜘蛛を助けた事のあるカンダタを救ってやろうと蜘蛛の糸を垂れる。カンダタは登り始めるが、下を見ると細い糸を頼りに無数の罪人ともが登ってくる・・・・・。
犬と笛
葛城山の麓の髪長彦と言う木こりの笛の音に感心した神たちは、どんな遠いところの匂いもかぎ出す犬、どこへでも空を飛んで行く犬、どんな恐ろしい鬼神も噛み殺す犬を与える。三匹の犬を使ってきこりは土蜘蛛たちにさらわれたお姫様を助け出す。
蜜柑
列車で乗り合わせた汚らしい女の子は袋を持っていた。その子はトンネルを抜けた踏切で待っていた男の子たちに袋の蜜柑を投げてやった。女の子は奉公に出るところで、男の子たちが見送りに来たのだった。
杜子春
洛陽の西の門の下でぼんやりしていた杜子春は、仙人に教えられ、2度まで大金持ちになるが、財を失い最後は仙人になることを望む。厳しい修行に耐えおおせたかに見えたが、最後に父母の苦しむ様を見て心を動かされ、諦める。
アグニの神
上海でアグニの神を信じ、その魔力を使う、おばあさんに誘拐された財閥の娘を、書生の遠藤が救う。
トロッコ
良平少年はトロッコに乗るのが面白かった。しかし、ある時工事人に誘われて、トロッコに乗り遠くまで連れて行かれる。そこから徒歩でやっとわが家に帰り着くのだがその恐怖談。
猿蟹合戦
猿蟹合戦後日談。蟹は死刑になった。最後の言葉が皮肉「とにかく猿と戦ったが最後、蟹は必ず天下のために殺されることだけは事実である。・・・・君たちも大抵蟹なんですよ。」
白
親友の黒犬が犬殺しに捕まるのを置き去りにして逃げ出した白は、いつの間にか真っ黒になっていた。
人間からいじめられ、仲間からの蔑みに苦しみながら、善行を繰り返し、最後には白に戻りご主人様に抱かれる。