日本占領(1 1945-46)    児島 襄

文春文庫

 「天皇」に続いて、太平洋戦争直後の日本を考えてみようと、この本を読むことにした。手元に毎日新聞社の「昭和史全記録」という厚手の本があり、「天皇」に引き続いて参考にしている。月単位で当該月に起こった事象を新聞の切り抜きという形でまとめてあり、視覚的理解の助けになる。
 日本がポツダム宣言を受諾してマッカーサーがやってくるが、彼らにも、日本国民にも初めての経験。その戸惑いと戸惑いながら戦後の民主化日本の骨子を作り上げて行く、振り返って見ればユーモラスですらある歴史をアイケルバーガー中将の日記をもとに描き出している。あれだけ徹底抗戦した日本人が一夜開ければ占領軍を感謝する従順な羊の群に変わった、という事実も興味深い。天皇がマッカーサーを訪問したときの写真が面白かった。
 日本人の特質を見た感じがし、併せて日本は敗戦したとはいえ、まだ余力が十分に残っていたことに驚く。また間に合わせのようにばたばたと作った憲法が、戦後50年を経てもまだ日本を支配していることに驚く。

・RAA=性の防波堤(40P)
・占領担当者たちの平均的日本観・・・「自由のかけらもない封建的専制国家」(58P)
・日本軍にとっては、占領軍が直接軍政によるものではないかという危惧が強かった。日本国民の自由意志に基づく政府の樹立・・・・実はそういう形で共和政体を強要するのではないか。奴隷にはしないと言うが、実質的に日本を属国化する措置が執られるのではないか。 (62P)
・ドイツは崩壊して降伏したので軍事占領も当然だが、日本の場合は日本政府に向かって発せられたポツダム宣言を日本政府が受諾して降伏した、占領に伴う各種の連合国側の要求も日本政府が履行する、と考えていた。(74P)
・指令は、マッカーサー元帥にほぼフリーハンドの裁量権を与えると共に、間接統治方式もポツダム宣言も、米国の必要と政策の変更があれば無視できる旨を規定している。(80P)

・占領は明らかに成功です。奇妙なことだが日本人は占領を歓迎しているようです。(243p)
・第一次大戦までは、敗戦すれば賠償金の支払いと領土の割譲を余儀なくされたが、それだけでもあった。だが、第二次大戦では少なくとも敗戦国が再び戦争を仕掛けないようにすることが世界平和のために友好だとの考え方が採用され、政治体制の改造の必要が強調された。(249p)
・天皇の人間宣言(269p)
・憲法・・・マッカーサー三原則。国民投票はむろんのこと、憲法議会が制定する手続きもとられていない。各種出典のよせあつめ。天皇は元首、君主という言葉がなく、国民の総意にもとづく、日本国の象徴。義務は教育の義務、勤労の義務、納税の義務くらい、法令遵守、社会公共福祉の尊重、国家への忠誠、憲法擁護などがない。

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