坂の上の雲(1ー2)    司馬 遼太郎

文春文庫


物語の主人公である正岡子規、秋山好古、秋山真之の3人の幼少時代の話が中心。
明治初期伊予松山をでた好古は、成績優秀。
やがて、教師等を経て、学費のかからぬ、士官学校騎兵課を卒業。
メッケルからその後の日本陸軍の考え方の基礎となるプロシアの戦術をまなび、フランス留学を経て、陸軍で騎兵隊を率いるようになる。
真之は兄の薦めに従い、海軍兵学校に進む。
子規は成績優秀とはいかなかったが、やがて俳句の世界にのめり込み、ほととぎすを主催するようになる。

・日露戦争までの日本というのは諸藩の秀才競争社会であったともいえる・・。(p118)
・乗馬部隊の特質はまず機動性・・・欠点もある。脆さである。・・・「騎兵の襲撃が成功した例は、西洋でもまれといっていい。」・・・一の谷の合戦、桶狭間の合戦(132p)
・モルトケ戦術の新しさは、主力殲滅主義にあるだろう。(220p)
・メッケルは、その講義で言う。「戦いは、出鼻で勝たねばならぬ。」(225p)
・試験は戦いと同様のものであり、戦いには戦術がいる。戦術は道徳から開放されたものであり、卑怯も何もない。(325p)
・トルコの特質(328p)


国家としての意識が低かった日本は、日清、日露両戦争を通じて急速にまとまって行く。
日清戦争をなぜ起こしたか、という視点が全編を通じて読みとれる。
日本は豊島沖、黄海、威海衛の海戦を、後の日本海海戦で用いられる、攻撃に主眼をおいた単縦列方式で、勝ち取るのだが、時の日本と中国の海軍力を比較すれば、それは奇跡に近い勝利だった。
そして遼東半島に関する三国干渉とロシアの理不尽な措置等。
また真之は米国にまなび、米西戦争を体験、世界で初めての老朽船沈没による閉息作業を体験する。

・日清戦争とは何か。・・・善でも悪でもなく、人類の歴史の仲における日本という国家の成長の度合いの問題としてこの事を考えてゆかねばならない。(27p)
・日清戦争当時の中国(40p)
・切実というのは朝鮮への思いである。朝鮮を領有しようということより、朝鮮を他の強国に取られた場合、日本の防衛は成立しないということであった。(46p)
・プロシアでは国家が軍隊を持っているのではなく、軍隊が国家を持っている。(51p)
・ベルナッツによれば・・・源義経、加藤清正、織田信長、豊富秀吉、徳川家康・・・ブラック太子、クロムウエル、ウエリントンと質において変わりがないとし・・・(69p)
・キューバの独立問題・・・・世界史に類のない「善意」に基づいている。(232p)
・世界最初の閉塞作業の体験(233p)
・つまり世界の大半がつかみ取りのような段階であったとき、スペイン人の持っている熱血性、熱狂性、向こう見ずといった風な気質や気力が、その条件にぴったりだったといえるかもしれない。(238p)

・小村寿太郎・・・日本のいわゆる政党なるもの私利私欲のために集まった徒党である。(263p)


・英国のやり方・・・日本をイロコワ族として使おうと考えている。(272p)


・遼東半島問題とウイッテの意見(352p)