講談社 ブルーバックシリーズ
「なぜ、こんな悲惨な事件が起こるのか。」と首を傾げるような異常犯罪が増加している。
そして、このようなとき問題になるのが精神鑑定である。
心神喪失と認められれば罰することが出来ないし(1992年で3人)、心身耗弱となっても刑を軽減される(同77人)。
これを理不起訴処分、あるいは起訴猶予処分になった物はこの10倍にのぼる。そのため依頼件数は非常に大きい。
木の絵から分裂症を判断したりする冒頭は非常に興味深い。
また核磁気共鳴やCTスキャンにより頭蓋骨を突き破って出た蜘蛛膜嚢腫が分かるというところなどは現代医学の進歩に驚いた。
関係者に面接し、個人史を作ることによって初めて精神鑑定が可能となるあたりもなるほどと思う。
後半に心理テストのやり方と効果が出ている。
・知能指数、
・言語性知能検査と動作性知能検査、
・クレペリン精神作業検査、
・図形をその通りに描かせる視覚運動ゲシュタルト・テスト、
・はい、いいえで答えさせ平均型、おっとり型、管理者型などに分類するYG検査、
・文章完成法、HTP描画法、ロールシャッハなどの投影テスト
が表面的ながら解説されている。そしてこれらが受ける人の態度で決まるところも注目点だ。
最後は脳波テスト、これは脳波の棘についての解説が面白い。
・微細な脳障害を持った人が、いわゆる正常人より高い犯罪率を示すというデータはない。(43P)
・どんな家にも、家には家それぞれの雰囲気とか匂いとか言ったものがある。(77P)
・精神鑑定は科学的な基礎の上に立脚した一種のアートと言うべきであろう。(229P)