天皇(5 帝国の終焉)        児島 襄

 タラワの玉砕に続き、「七面鳥射ち」の名の通り、マリワナ沖の開戦で大打撃を受けた日本は、ついにサイパンを放棄する。19年東条内閣が辞職し、小磯内閣の登場となる。栗田艦隊がレイテ沖決戦で大敗し、連合艦隊はその主力をうしない、ルソン島では山下将軍があてなき戦いをした後、敗れ去る。
 B29による空襲が盛んになる一方、国民は勝利の偽報道ばかりを聞かされる。神風特攻隊などの活躍で米軍にも大きな損害を与えるが、やがて、硫黄島、沖縄をうしない、インパールからは撤退する。
 米軍は日本にいかに無条件降伏をさせるかを模索する。本土上陸も視野に入れるが、沖縄の例を見ると被害は非常に大きい。
 日本はソ連を通じて和解策を模索するが、密かに参戦をねらっていたスターリンははっきりした返事をよこさず、最後には宣戦布告。ポツダム宣言は最初は無視されるが、広島、長崎に新型爆弾が投下され、ついに聖断によって受け入れが決定される。

タラワの戦い  米軍にも大きな被害
サイパン陥落  玉砕するのだが、日本人の最後の姿が米国兵を驚かす。
沖縄  米国も予想外の被害。まさに異文化のぶつかりあいであった。この経験が米国に本土決戦を躊躇させ、天皇なるものの日本国民にとっての大切さを印象づけた。
ポツダム宣言受諾   負けていない、と叫ぶ支那方面軍などの意見を押さえて、日本国民の意思なるものをまとめ、受け入れにもってゆく苦労がわかる。
敗戦   まだ日本には残存兵力が豊富だった状況での決定がクーデター、近衛兵の反乱、自決など多くの問題をはらんでいたことは事実だ。
戦後  なぜ天皇が憎まれなかったのか、米国に反乱は起こらなかったのか、などは国民性に由来するものなのだろうが、大きな謎である。

・取り分けて重視すべきは、一般国民の海軍への信頼である(76p)
・米軍の上陸作戦には定型がある。事前の空襲、ついで艦砲射撃、そして上陸部隊の出現という順序である。(81p)
・原子爆弾について(265p)
・天皇  たとえ連合国が天皇統治を認めてきても、人民が離反したのではしようがない。人民の自由意志によって決め手もらって、少しも差し支えないと思う。(305p)
・先方のやり方に全幅の信頼を置きがたいのは当然であるが、日本が全くなくなるという結果に比べて、少しでも種子が残りさえすれば、さらにまた復興と言うことも考えられる。(319p)
・それにしても、占領軍の指令に対する日本側の対応は従順であった。・・・日本人がその屈辱に耐えきれずに反乱を起こすことは、十分に考えられる・・・(346p)
・戦後の天皇を迎える国民の態度  むしろ、自然で「皇室との隔たりが急にせばまった感じ」さえ受け、木戸内大臣は安堵した。(353p)

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