海神別荘
海神別荘 泉 鏡花
岩波文庫
3つの戯曲を収めているが、いずれも耽美的で当時としてはずいぶん斬新であったと思う。
海神別荘
海底の御殿、海の公子が、種々の贈り物と交換に陸の美しい娘を花嫁にもらうことになった。花嫁がかわいそうかという話に、博士が八百屋お七の話をすると、公子が「人に惜しまれ、哀れがられて、自若として火に焼かれた。なぜそれが刑罰か。」と独特の判断を下すところが面白い。宝を贈られて娘が、故郷へかえりたくはないといいながら「人に(宝を)知られないで生きているのは、生きているんじゃないんですもの。」というくだりも特色がある。娘は現実に見た故郷に絶望し、最後に公子と結ばれる。
山吹
修善寺温泉の裏路にある茶屋脇。小糸川子爵夫人はつらい婚家のしうちに逃げ出してきた。そこに昔の恋人で画家の島村。人形遣い辺栗藤次。藤次は自暴自棄の子爵夫人に折檻をたのむ・・・この辺、マゾ趣味。行く先なき子爵夫人は自分の愛が島村に受け入れられないとみるや、藤次と暮らそうと決心し、去ってゆく。島村は追おうとも思うが、いや、芸術が大事と思いとどまる。
多神教
美濃三河の国境、山中の社。お沢は善良そうに見えるが、実は恋の恨みか、ある若い俳優を呪い殺そうと、わら人形に五寸釘を打ち祈願、今日が満願の日。それを神職、禰宜等が見つけ出し、裸にして懲罰を加えようとする。この辺サデイステイック。そこに白寮権現媛神が登場、神職等とは反対にお沢援護にまわってしまう