夜叉ヶ池・天守物語
夜叉ヶ池・天守物語 泉 鏡花
岩波文庫
鏡花の代表的な戯曲2編を納めてある。
夜叉が池
その昔、龍神が封じ込められたと言う夜叉ヶ池。言い伝えを守り、萩原晃は愛する妻の百合と共に、1日に3回、鐘をつく。
夜叉ヶ池には白雪姫が住んでおり、姫が去れば龍神があばれ、麓の村は洪水に沈んでしまう。
しかし姫は昔人間どもと、日に3度鐘がつかれ続く限り、池を去らぬ、と約束した。
旧友の山沢学円に夜叉ヶ池を見せるため、晃は百合をおいて夜道を池に向かう。
麓の里は日照りで、雨が一日も早く欲しい。
とうとう百合を捕らえて龍神に奉ろうと押し掛ける。
一方池の白雪姫は白山剣ヶ峰、千蛇ヶ池の若君が恋しくてならぬ。
この池を離れたい。百合が捕らえられて鐘がつかれぬ。
白雪姫がさる。
大洪水、村が飲み込まれて行く・・・・もう間に合わぬ。
何となく、人間の愚かしさを皮肉っているような作品。
しかし、珍奇な妖怪が次々登場し、浮き世離れしており、会話も絶妙で大変面白い。
天守物語
播州白鷺城の天守閣に住む妖怪天守夫人富姫のもとに、岩代国猪苗代の亀の城の亀姫が雲に乗って訪ねて来る。
おみやげは人間の生首。この妖怪、時々悪さをし、雨を降らせて殿様を急ぎ城に戻らせ、あまつさえ、その鷹をかすめ取ってしまう。
姫川図書之助が捜索にやってくるが、なんと彼に富姫が恋してしまう。
ところが戻った図書之助は、鷹を逃がした罪でおわれることになった。
天守に逃げ戻った図書之助は、富姫と獅子の影に隠れるが、目が見えなくなり・・・・。
生首を愛でたり、鷹をかすめ取ったり、さんざん悪さをする富姫が人間の男を恋するところが何とも言えず面白い。
バックの女童の歌う「とおりゃんせ」の唄もムードを盛り上げる。