あなたも推理小説が書ける!

推理小説のアイデアを「あなたも推理小説がかける!」と称し、クイズ形式でまとめて見ました。



1)パパの銀行の口座番号

私は八千草さやか。芳紀まさに二十二歳。見ごろ、食べごろ、お歳ごろ!この三月、S女子大英文学科を卒業する。卒業旅行はヨーロッパとしゃれ込むことにしたの。
ボーイフレンドのツトム君はT大学の推理小説研究会に属している。一回私の家に来たことがあって、パパとママにあったけど、今度彼と一緒に行くことは内緒。
一人で行くことになっていて、ツトム君とは偶然に成田エクスプレスで隣り合わせの席に座ることになっており、偶然に!同じツアーに参加することになっている。お友達は成田でまたまた偶然に!都合が悪くなって中国に行くことになっている。
一応娘だから仕方なく、パパに「おともだちと卒業旅行でヨーロッパに行きます。」って言ったらパパは「ふうん。」だって。「お餞別をあげようか。」って言わないの。ケチ!
ところがパパは、ママと何を打ち合わせたのか、出かける朝ににこにこして言った。
「困ったときにはこの封筒を開けなさい。だけど、本当に困ったときだけだよ。じゃあ、気をつけて行っておいで」
「心配しない、心配しない。」
るんるん気分で出かけた私だけれど、ローマでひどい目にあっちゃった。サンピエトロ寺院の近くで、ジプシーらしい子供たちがわっと押し寄せてきてお財布を取られちゃった。本当に素早いっったらない。大きな男の子が近づいて来たのでそっちを見ていたら5つかそこらの小さな子が私のバッグをひったくって行っちゃった。警察に行ったのだけれど、あんまり熱心じゃないの。どうしたらいいかしら。
ツトム君に頼めば良いのだけれど、ツトム君も沢山お金があるようじゃなさそうだし・・・・。それで例の封筒を開いたの。そしたら銀行のカードが一枚と紙切れ・・・。紙切れにはこう書いてあったの。
「黒の報告書
MY CLEVER DAUGHTER!
MY CODE NUMBER FOR THE BANK ACCOUNTS IS WRITTEN IN THIS PAPER. PAPA」
ところがその肝心の番号が書いてないのよ。パパ、書き忘れたのかしら。そそっかしい!
仕方がないから、ツトム君に相談したの。
「あぶり出しじゃないの。」
それで、ホテルで電熱器を借りてきて、二人で暖めて見たの。何にも出て来ないのよ。
ところがさすがにツトム君って推理研ね。
「分かった。その番号は・・・・。」
翌日銀行に行ったのだけれど、パパもしっかりしているわ。ちょうど帰りの交通費の分くらいしか入っていなかった・・・・!
でもツトム君はどうしてその番号が分かったのかしら。それから番号は?



「答え」
アラビヤ数字ではMは千、Dは五百、Cは百、Lは五十、Xは十、Vは五、Iは一を表します。この文章の該当数字を抜き出すと
M:3回、D:2回、C:4回、L:1回、X:0回、V:1回、I:4回
全部を足すと4459になります。これがパパの口座番号!
こう言うのをクロノグラムと言います。タイトルが「黒の(クロノ)報告書」なんてふざけていますね。



2)雪の足跡


陶芸家篠田等湖は、長い教員生活を終えた後、妻に死に別れて、秩父の山奥で半ば隠退生活を送っていた。3年前、秩父市のバー「おそめ」に働いていたさやかを後妻にもらった。等湖七十二歳、さやか二十五歳、等湖は地味、さやかは派手好き、あれで本当にうまく行くのだろうかと周囲は気をもんでいた。
しかし、それが彼の作品に反映する様になったと噂されている。女の体の一部を想像させたりするなど、その作品はなんとなくなまめかしくなってきたとの評判なのである。
三月のある寒い朝、さやかから所轄署に電話があった。
「内の人が、頭から血を流して、離れで倒れているんです。すぐ来て下さい。」
篠田家はXX川沿いに、谷沿いの山道を少し行った右側にあり、正面が本屋、右手奥に離れがあった。奥の離れは、簡単なキッチン用品、バス・トイレのある三畳ほどの板の間の前室と、その奥襖越の十五畳ほどの洋室から出来ている。洋室は書籍、ベッド、窓際に机が置かれ、普段等湖は書き物をするとき、ここに閉じこもるという。
「そう言う時は一切を自分で行い、私を寄せ付けないのです。」
とさやかの話である。
等湖は、その部屋で床の上にうつぶせに倒れていた。頭から血を流し、そばには血の付いた六十センチ程の松の太い薪が放置されている。裏の窯場から持ってきたものであろう。机には書きかけの原稿、雨戸は閉められており、ガスストーブががんがん燃えていた。さやかは「現場はそのままにしておいた方が良いと思いました。」と言う。
捜査に当たったのは竹下警部だった。彼は、部屋の様子の外に一つ変わったことに気がついた。前夜、気象庁で確認したところによると六時から九時の間に雪が降った。そのため、辺り一面うっすらと白く覆われているのだが、母屋から離れにかけてついている足跡は、さやかのものだけなのだ。
死体の硬直具合から、死亡推定時刻は前夜九時から十二時の間、さやかは「昨日は、里に行きました。夕方六時頃ここを出ました。今朝、八時半頃お食事にしようと呼びに行って異変に気がつきました。」とのことである。つまり夜は彼女はいなかった訳だ。
その後の調べで、前日、等湖を甥の松崎芳男三十五歳が訪問していることが分かった。彼は最近さやかと妙に親しかったようだ。
彼は前日五時頃来て、さやかも交えて面談し、さやかが里に出た後も、母屋で等湖と話し込んでいたという。事業がうまく行かず、借金を申し込んだが断られた、と言う。
さやかが六時頃家を出たらしいことは、里の家族が証言した。松崎は七時頃帰ったと主張するがこれも、松崎の友人たちの証言によってウラが取れた。
すると雪が止んだ後、等湖のいる離れに近づいたものはいないことになる。
しかし竹下は「離れの等湖のいた部屋の指紋を採取するように・・・・。」と指示した。
そしてその結果を見て犯人を確信した。犯人は誰か?。また犯行プロセスは?



「答え」
「松崎芳男、篠田等湖殺しで逮捕する!」
「どうして・・・。私は殺害時に現場にいなかった!」
「君は七時に母屋を去り、しばらくしてから離れの等湖を再度尋ね、借金を申し込んだが、断られたため、かっとなって、等湖を撲殺してしまった。」
「そんな・・・。」
「篠田さやか、あなたを共犯として逮捕する。あなたは今朝母屋から離れにいたる松崎の足跡を見つけ、彼の犯行に気がついた。前の晩に連絡が有ったのかも知れない。そこでその足跡を踏んで、離れに行った。離れはストーブが消えて寒々としていたはずだ。あなたはストーブをつけ、雨戸を閉めて警察を呼んだ。そのために我々鑑識は死亡時刻を九時から十二時とした。本当はもっと前に殺されていたのだ。」
「証拠は・・・・。」
「ストーブと雨戸からあなたの指紋が発見されました。」
さやかの告白・・・・
「私は等湖を愛してはいなかったのです。お客さんとしてつきあっている内にこうなってしまったのです。松崎さんは学校の先輩なので前から親しかったのです。」



3 サラ金に追われて


「私も昭和五十年に十戸のアパートを建てて、まあ、大した事故もなく平穏にやってきたんですがね。半年ほど前に困ったことがそれも二件続けて起きたんですよ。」
湖南が、三年前正丸峠を歩いていて知り合った平野老人は調布市に住んでいるという。その後、賀状を交換していたが、珍しく会う機会を得た。
「不動産屋に勤めている男がやはり、夜中に心臓麻痺で死んだのですよ。カミサンの話では「酔っぱらって夜遅く家に帰ってきた。どうも様子がおかしいので一一九番した。やはり心臓麻痺で、病院に運ばれたときにはすでに亡くなっていた。」と言うことなのです。近くの斎場で葬式を行ったのですが、訪れる人も少なく寂しい葬儀でした。」
「親類縁者の方が来なかったのですか。」
「いなかったようですね。連絡しなかったのかも知れません」
「でも、特に問題ないじゃないですか。」
「ところがあるんですよ。彼にはかなりの保険金がかかっていたらしいのです。それで後から保険会社やら、警察やらがいろいろ聞きに来ましてね。」
「保険は下りたのですか。」
「ええ、おりたようです。奥さんは、しばらくオーストラリアで暮らしたい、とかでアパートを出て行かれましたよ。」
「まあ、良かったですね。もう一つの事件は何ですか。」
「サラ金で追いつめられた男が夜逃げしたんですよ。」
「よくある話ですな。アパートは後処理が大変だったでしょう。」
「いや、大変でしたよ。その男が、サラ金で苦しんでいるというのは知っていましたけれどね。どうも夜逃げしたらしいと分かったのは、さっきの不動産屋の葬儀をだして一ヶ月くらいしかたっていない時でしたよ。」
「どうして分かったんです?」
「家賃がたまっているし、電話も通じない。それでアパートの管理を頼んでいる不動産屋と一緒に訪ねてみたのです。そしたら、部屋のドアにサラ金の紙がべたべた貼ってあるんです。中にはいるとテーブルの上にワープロで「お世話になりました。・・・・」と打った紙が置いてあったのです。それで警察と保証人に連絡したんですが、何処にどう消えたやら・・・・。警察では行方不明として処理したようです。」
「その男は何歳くらいでどんな様子でいたか。」
「六十近いですかね。やせ形の貧相な男ですがね。加藤と言い、栃木の出身のようです。」
「そうですか・・・・ところで心臓麻痺で死んだ男は何歳でしたか。」
「五十三のはずです。」
「平野さん、それは警察にもう一度届けた方がいいですよ。」
さて、湖南はなぜ、そう言ったのだろうか。



「答え」
この場合、加藤は不動産屋の亭主の変わりに殺された可能性が高いからだ。
まず、死因は心臓麻痺、病院に着いたときには死んでいた、と言うが、何らかの形で窒息死させられた可能性が高い。
次に親類縁者を呼ばなかったというのは、死に顔を他人に見せたくなかったと解釈することが出来る。
加藤の遺書らしいものは、ワープロだから、誰でも作ることが出来る。
また加藤は、不動産業者の死後一ヶ月位していなくなったことが確認されたが、蒸発したのはまさに不動産屋が死んだ時だったかもしれない。
・・・・・
その後、湖南の助言で平野氏が警察に報告し、捜査が再会された。そしてオーストラリアで加藤と名乗っていた不動産屋とその妻が逮捕された。



4)ある人気作家の死


二月の寒い夜、有名放送作家影井一郎の妻里子から一一九番が入った。
「三階の夫の書斎が火事になりました。すぐに来て下さい。」
消防車が駆けつけると、もう書斎は火の海だったが、懸命の消火活動の結果、火事はほぼ書斎だけでくい止めることが出来た。
ところが書斎から影井一郎の黒こげ死体が見つかった。
影井一郎は、とかく話題の多い作家である。十年ほど前、放送デイレクターから転身し、作家になったが、その辛口批判は有名で何度か物議を醸した。
数年前、新興宗教「よろこびの科学」会員になった。そしてその会員勧誘方法が問題があると当局から手入れを受けたとき、美人女優の大川朋子とともに「信仰の自由を守れ!」と街頭デモを含む派手な運動を展開した。
妻の俊子もまた活発で、生活協同組合を中心とする市民運動のリーダーでもあり、数册の著書も出していた。
夫婦の間に子供はいない。お手伝いが1週間に2度ほど来るようだが当日は来ていなかった。
その俊子の証言
「昨日、大川さんがお見えになって、八時過ぎまで二階の応接室で打ち合わせておりました。大川さんがお帰りになった後、私と「飲み直そう。」と水割りを二、三杯飲みました。それから夫は書斎に行きました。夫は夜型ですから、私は多分書き物の続きをするのだろうと思っておりました。私はテレビを楽しんだ後、十一時頃、二階和室で床につきました。十二時頃でしょうか、ふと物が焼けるような匂いがするので飛び起きました。火元を探しますと、三階の夫の部屋から煙がもうもうと出ておりました。ドアをあけようと階段下まで行ったのですが、それ以上煙が強くて進めませんでした。そこであわてて一一九番をしたのです。煙草ですか。ええ、夫はチェイン・スモーカーに近いほど良く吸います。」
書斎は最近建て増した物で、階段を登った突き当たりにあった。八畳ほどの洋間でほとんど見る影もなく焼けてしまっていたが、書棚とベッドが焼けこげ、電気ストーブと加湿器の残骸が東に面した窓際に転がっていた。煙草の火の不始末だろう、まわりにはおそらく原稿用紙などいろいろ燃える物があったのだろうから、と言う意見が大勢をしめた。
しかし捜査の結果次のようなことが分かった。
(1)三件ほどおいたマンションのテラスから、発火当時の様子をSという女性が見ていた。「最初気がつかなかったのですが、突然ぼっと明るくなったのでびっくりしました。」
(2)ストーブと加湿器がカーテンのかかった窓の下にあるのだが、加湿器がストーブの方を向いており不自然
(3)死体から微量の睡眠薬が検出された。
意見を求められた湖南は
「まず90%他殺でしょうな。おそらく夫婦の間に問題があったのでは無いですか。それから一郎に保険がかけられていませんでしたか。殺害の方法ですか。それは・・・・。」
さて湖南が考えられると言った殺害の方法は、どういう物だろうか。



「答え」
「おそらく俊子は加湿器に水の変わりに、灯油を入れておいたのでしょう。犯行はまず俊子が一郎に睡眠薬入りウイスキーを飲ませたのです。彼は書斎に行ってストーブと加湿器をつけ、これから仕事と考えたのでしょうが、そのまま眠ってしまった。やがて加湿器から出た灯油の蒸気が部屋に充満してきます。灯油蒸気が電気ストーブの火で爆発発火し、突然明るくなりました。待っていた俊子はあわてた様子で一一九番した、こんな所じゃないですか。」
俊子は逮捕された。彼女は犯行を否認したが
「ご主人は机の下に崩れ落ちるようにして、焼け死んでおられました。睡眠薬をご自分で飲んだという事なら、ベッドの上で死んでいるべきでは無いですか。」
この指摘が彼女を自供に追い込むこととなった。



5)老婦人の告発・・・・動機の問題


犯罪捜査は明らかな証拠が見つかった、めでたく犯人逮捕となれば理想的なのだけれどそうは行かないケースがほとんど、そこであの手この手で攻め込む事になる。動機を探るための環境調査もまた大切・・・・
竹下刑事の話・・・・
埼玉県の村田という農家のおばあさんから夜遅く電話が入った。
「ウイスキーの水割りを飲んだところ、変な臭いがしました。私は吐き出したのですが女中はそのまま飲んだところ、急にお腹を押さえて痛い、痛いと言い出し、台所に「水、水!」と飛んでゆきましたが、飲むまもなくそのままぐったり倒れてしまいました。」
その家は下に二人の娘、二階におばあさんが住む二世帯住宅、警察が駆けつけると、その二階の台所でお手伝いの千鶴子が玉のような汗を流して絶命していた。
この事件についてその後の調査で次のような事が分かった。
(1)毒物は農薬のパラチオンでウイスキー瓶に混入されていた。パラチオン自体は裏の物置に昔使っていたものが瓶に残されており、物置に鍵はかかっていなかった。
(2)ウイスキーは数日前、俊子が近所の寿酒店で買った物でニッカの角瓶。
(3)当日村田家では、素封家に婿に行った一郎がやってきたため、おばあさん、女中、階下に住んでいる娘夫婦と次女の六人で夕食を取った。
その六人について
おばあさん(タキ)=村田家に、十一年前、五十五歳で後妻としてやってきたが、夫はその六年後になくなった。元々が素封家の娘で、山林など多くの不動産を持っている。
沢田俊子と直樹=階下に住んでいる夫婦。俊子は先妻の子で、タキとはうまく行っていなかったが、いづれはくるであろうタキの膨大な遺産をなんとか受けたい物と願っていたようだ。
小百合=タキの連れ子で四十過ぎながらまだ独身、タキに言わせると控えめな娘という事だ。しかし、別の方面から調べるとやくざのキュースケと親しかったことが分かった。ただしキョースケは事件当夜、村田家に近づいた様子はない。
村田穣治=亡父の子で俊子の兄にあたる。素封家の娘をよめにもらった為、比較的ゆとりがある。当日、夕食を取った後、八時ころ帰って行った。
千鶴子=秋田から出てきた村田家の遠縁の娘。二十五歳
ところが、しばらく経って
(1)沢田俊子と直樹はタキが嫁入りしてくる前から一階に住んでいたが、村田家を出て町のアパートに移り住んだ。
(2)二人は小さな町工場を経営していたが思わしくなく借金をしていた上、村田家の家屋自体抵当に入れていた。
(3)タキの持つ山林の一部が俊子名義にいつのまにか切り替えられていた。
(4)タキは糖尿病であと半年と医者に言われていた。
「こんな所なんですがね。」
さて、相談を受けた湖南は何と言っただろうか。



「答え」
「俊子夫婦は調べたのですか。」
「ええ、何といっても動機が強いので調べたのですが、証拠がありません。それに考えてみれば、土地の名義をすでに書き換えたのですから、殺さなくても良いような気もします。」
「小百合のアリバイはどうですか。」
「不明です。しかし小百合は土地の名義変更について知らなかったようです。」
「それならおばあさんをあたってみたらどうですか。おそらく沢田夫婦が金に困っておばさんの財産を乗っ取ろうとしたのですよ。そしてその手引きを千鶴子がしたのですよ。
おばあさんがそれに気がつき、千鶴子を殺したのでしょうが、沢田夫婦はなんとなくそれに気がついた、そこで家を出たのですよ。おばあさんとすれば、当然自分の娘に財産を譲りたかったのでしょう」
その後、まもなく、おばあさんが倒れた。小百合から俊子夫婦に対して、土地の名義を勝手に書き換えたとの訴えがなされた。



6)初夜は死人と


もうろうとした中でミカは眼を覚ます。
昨日はほんとによく飲んだわ。もう、朝なのかしら・・・・。
ベッドの上で、寝返りをうとうと下になった左手に力を入れる。
あら、何かしら、ねばねばするものを指先に感じる。
そっと、手を引きぬき・・・・・あら、赤い。
血、これ、血じゃない・・・・・!
背中に何か冷たいものがあたっている。
首を回す・・・・いや、誰、この人、男の人じゃない。
起き上がる、きゃー!上条さん!
私は気を失った。
・・・・・・
「昨夜は課の忘年会だったんです。新橋の飲み屋で三次会を終えて、それから上条さんと車で帰った事を覚えています。彼は私のボーイフレンドの一人です。実を言うとこの前プロポーズされました。上条さんが私の部屋にですか・・・・一緒に入った事は入ったような気がします。側に落ちていたカッターナイフですか、ええ、多分私の物だとは思いますが・・・。でも、私、彼を殺したりしません。信じてください!」
しかし、警察では彼女の話をまともには信じていない。彼女が上条と特別に親しかったと言う話はウラが取れなかったし、ましてプロポーズされたなどとは。
・・・・・・・
関係者についてその後の調べて、前日三次会まで一緒に行ったのはミカ、ゆかり、上条、佐川だった、課長は二次会で帰ってしまった、タクシーでミカを上条が、ゆかりは佐川が送ってかえった、などと判明した。
課長:僕は直接家に戻ったから、何も知りません。
・・・・しかし彼は家にはきれいなカミサンと娘がいるくせに、密かにミカと通じていたらしい。アリバイについては、帰ったときもう家人が寝込んでいた為、そっと入ったので、ないという。
佐川:ゆかりさんを送って、もう一件家の近くへ飲みに行きました。そこのオカミサンがアリバイなら証明してくれますよ。
・・・・調べによると、彼は大変な競馬好き。ミカに少し借金があったようだ。
ゆかり:三次会が終わった後、なんだかずいぶん眠く感じたのを覚えています。私は気がついたらベッドの上でした。お酒はそんなに弱い方じゃないんですけれどね。ええ、私は会社で彼女と席が近くですから、あのカッターナイフは知っています。
・・・・彼女は上条の元恋人。別れ話をどちらがいいだしたかは定かでない。
一体、どういうことになっているのだろう。



「答え」
実は女の子二人はわずかに睡眠薬を飲まされていた。
それでゆかりもミカも記憶が定かでないのだ。殺したのは佐川。注意深く拭き取ったつもりだったらしいが、洗面所から佐川の指紋が検出され、動かぬ証拠となった。
佐川は会社の帳簿をごまかし、競馬につぎ込んでいたが、それを上条に指摘され、窮地に陥っていた。
彼は、上条があの酔いぶりならミカを自宅まで送ってゆくと読んでいた。ゆかりを送った後、先回りしてミカのマンションで待っていた。二人でミカをベッドに寝かせた後、すきをみて襲い掛かり、殺害し、罪をミカにおしつけようとしたもの。



7)新・交換殺人


ある同窓会で酒の入ったMとN・・・・
M:もう、後三年で還暦か、せいぜい生きて後三十年か、おまえ、さっきから、一人で飲んでばかりいるけれど、何か面白くない事でもあるのかい。
N:ああ、おれの人生は失敗さ。
M:何を言っているんだい、一流会社の課長じゃないか。
N:いや、倒産して首になったよ。
M:それは知らなかった。大変だなあ。でも、もう資産もあるんだから余生を楽しめばいいじゃないか。
N:いや、それがね。単身赴任だったせいか、カミサンはおれをぬれ落ち葉扱いさ。その上暴力までふるうんだ。でていけばいいのだろうけれど、財産はほとんどあいつのものだからね。あいつを消す方法はないものかなあ。
M:おや、おれと同じじゃないか。おれもカミサンと二人だけれど、ある女が好きになっちまったんだ。あいつがいなくなったらなあ。
N:世の中うまくゆかないものだ。
M:・・・・・おい、ものは相談なんだがな。交換殺人というのはどうだ。つまり、おれがおまえの女房を殺す、おまえがおれの女房を殺す・・・。
N:殺してそれから・・・・
M:おれとおまえで海外に飛んで事業を始めないか。幸いおれはオーストラリアにコネクションがあるんだ。おれは少しは資産があるし、おマエさんだってカミサンが死ねばたいそうな金がころがりこむんだろう。
N:その通りだ。なんだか楽しくなってきた。
・・・・・・
二人は人生には急にはりが出てきた。
傍目には二人は疎遠に見えたけれども、新しいプロジェクトだ。どういう殺人方法がいいか。互いのカミサンの行動はどうなっているか。金はどのくらい必要か。オーストラリアに行ったらどういう事をするのか。電話で、メールで二人は綿密に打ち合わせた。そして三ヶ月、いよいよ決行する事になった。
・・・・・・・
信州信濃のひなびた温泉。酌婦をあげての騒ぎもすんで・・・・。
N:ああ、これからが新しい人生のスタートだ。おれが家に帰る、居間には妻の撲殺死体、家の中は物色した後、おれは慌てふためいた亭主の役を演じて警察に届ければいいだけだ。
そうさ、おれはちゃんとやるべき事はやったんだからな。今ごろはMが忙しくたちまわっていることだろうよ。
翌日Nは心も軽く?家路を急ぐ・・・。
さあ、読者諸君!この続きを書いてください。



「答えの一例」
答えの一例を示す。この問題は諸君の豊かな想像力を試すものでこれでなければいけないと言うわけではない。
・・・・・・・
ドアは開いていた。打ち合わせと違うな、と不審げにNは家の中に足を踏み入れる。
「Nだな、Mの妻殺害容疑で逮捕する!」
いつのまにか家には警官が張り込んでいた。警察に連れてゆかれて、Nは妻の置き手紙を見せられた。
・・・・・・・・
長い事お世話になりました。家族みんなでMさんと新しい生活をオーストラリアで始めます。ごめんなさい・・・・。



8)入社試験


高等学校や、大学の時の同窓会と言うのはどうも面白くない。何となくみんな方向が決まっている。突拍子もなく失敗した者もいないが、破天荒に成功した者も少ない。大体はサラリーマンとか教師とか・・・・。
そこに行くと中学校や小学校の同窓会は楽しい。ワルガキが土建屋になって大儲けしたり、市会議員になってみたり、秀才だったいい子がが夜逃げしてみたり、ぱっとしなかった子が有名な画家になっていたり・・・・。
J県山の里中学校中学校の同クラス会、学校でてから四十年、もう髪が白くなり分別くさくなった奴が目立つ。
佐川一郎と橋本泰介は、同クラスでしかも仲が良かった。どちらかというと佐川が指導役でカンニングで協力しあったり、女の子をおいかけ回したり、時には万引きまでした。
その後、佐川は高校を出た後、父の後を次いで佐川工務店に勤務した。佐川工務店は一時バブルが膨らんで大きくなったが、やがて倒産、一家は自分の土地まで売り払って身を隠したが、最近はまた何か新しい仕事を始めているという。
橋本は大学を出て、小さな証券会社に勤めた。これもよいところまで行ったが、最近になって倒産、彼は現在再就職先を探しているけれどもうまく行っていない。
「今度はうまく行っているのかい。」
「しかし、客は沢山いるさ。人々のニーズに合った事業だからな」
「どんな仕事なんだ。」
「一言ではいいにくいな。一種の慈善事業さ。なあ、お前、職が無くて困っているんだろう。そんなに気になるなら、おれの仕事を手伝う気はないかね。」
そう言って話し出した佐川は、試験をさせてもらうが、お前のことだから部長で迎えてやるという。試験を受けるための支度金も出してやるという。
「試験というのはどんなことだ。」
「簡単な読み書きと実地だ。なあに、お前なら大丈夫さ・・・。」
「そうかい。」
「年収は二千万と言うところでどうだ?」
「素晴らしい、やらせてもらうよ。」
さて、佐川が橋本に期待した入社試験のうち、簡単な実地試験とは何だったろうか。読者諸君の想像で考えてほしい。



「答えの一例」
「橋本の告白」より・・・・
佐川の親父は脳梗塞で倒れて、xx病院に入院、寝たきりなんだ。xx病院は私立のあまり大きいとは言えない病院だ。病院は緊急を考えて夜間も玄関脇の小さな入り口が開けっ放しになっているんだ。
親父は二階の201号室。二人用の病室でドアは開いている。親父はもう植物人間で、体中にチューブをつけている。口にゆっくりと酸素を送っているチューブを引き抜いて彼が渡してくれた小さなボンベにつなぎ変え、バルブを開くだけさ。緑色のボンベだから、これは二酸化炭素だな。
おれが渋っていると、佐川が言った。
「似たような仕事が、これからどんどん飛び込んでくるさ。おれの場合はカミサンが親父の面倒を見ているんだが、大変なんだよ。これじゃ、共倒れだ。親父はこの先、生きていたってしょうがないさ。回復の見込みはないんだから。医者や看護婦は、なにもしないけれど、さりとて殺す訳にも行かない。家族も情において忍びなくて出来ないさ。ああ、ばれる心配はないさ。心臓発作の兆候が出たって医者は不思議に思わないだろ。それに疑いをもっても医者は何も言わないさ。自分たちの管理不行き届きでもあるんだからな。な、これ、立派な人助けだろ、慈善事業だろ・・・・。」
読者諸君はどういう答えを作られましたか。



9)ノルマンデイ上陸作戦


昭和18年、すでにしてスターリングラードは過去の物となり、7月には英米軍がシチリアに上陸し、ドイツ軍は各戦線で押されていた。そして各国の関心は、いつ、どこで米国が中心となった連合軍が、フランスに上陸するかが問題になっていた。もはやドイツには、軍を二手に分ける余裕はない、どこかを探り当て、総力をそこに裂き、乾坤一擲の戦いを挑む外はない。またソビエトは上陸に先んじてポーランドを制し、さらには東ヨーロッパから西ヨーロッパに向かい、戦後の有利な体制を作りたい。日本も次第に劣性になってゆく戦局のなかで、ヨーロッパの動きは自軍の作戦を展開する上できわめて重要だ。
そのため各国はスパイを放ち、何とか情報を得んものと必死になっていた。
ところが、日本のスパイ00Hは連合国側に捕まってしまった。しかしキリスト教徒であった彼は捕まる直前、仲間の牧師に愛用の一冊の聖書を渡した。暗号コード表すら奪われた彼が、咄嗟に考えた唯一の情報伝達手段であった。その聖書は、日本の当局にわたり、日本は重要な情報を得ることが出来た。
諸君にその暗号文の一部を解いてもらいたい。通常の旧約聖書だが、鉛筆でいくつかの文字に丸がつけられ、時々=記号が挿入してある。
なお、ややこしいものだから、著者からヒントを与えておこう。これはモールス信号に関係している。原文は以下の通り
:In :the b:eginning :when th:e G:od cr:eated the =:universe,:the earth =w:as
f:ormless a:nd desolate.=:The :raging :ocean that =c:overed :everything w:as
e:ngulfed in =:total :darkness,:and th:e :power of =G:od :was m:oving :over th:e
w:ater.Then =G:od :commanded ,":Let th:ere be =:light"...:and li:ght :appeared.
G:od was =p:leased with wh:at :he s:aw.Then =h:e s:eparated :the li:ght from the
==:darkness,:and :he :named the =:light ":Day" a:nd t:he d:arkness "Night".
=:Evreything :passed :and :morning came....=th:at :was th:e :first d:ay.
Then =G:od :commanded."L:et :there be a do:me t:o :devide the =w:ater a:nd to
=keep it tw:o s:eparate :places"....a:nd it w:as done.So God made a dome,and it
separated the water under it from the water above it.He named the dome "Sky".
Evening passed and morning came....that was the second day.
(:の次の文字に丸がつけてあった。)
モールス符号(日本符号)図表(略)

「答え」
まず最初に=の意味を考えて見たい。モールス符号とあるからこれは文字の区切りであることに気がつく。
次にモールス符号との関連だが、文字の意味を考えても答えにはつながらない。「iteweoe,aon,trocean,......」では意味が通じない。
アルファベットは開いた文字と閉じた文字に分類することが出来る。
開いた文字:c,f,h,i,j,k,l,m,n,r,s,t,u,v,w,x,y,z
閉じた文字:a,b,d,e,g,o,p,q
開いた文字をモールス符号のツー(ー)とし、閉じた文字をトン(・)と認識したものである。結果は以下のようになる。
「ジョウリク六ガツ六ニチ、ノルマンデイ」となる。
同じようにひらがなも開いた文字と閉じた文字に分類することができる。い、う、えなどは開いた文字、あ、お、すなどは閉じた文字である。


10)くずれたアリバイ

S社は丸の内の一角にある、中堅の商社である。
「三枝まどかから今日も連絡がない。」
と、浅川部長に言われて、三神課長は、荻窪から十分位の所にある、まどかの住むメゾンカトレアを訪問することにした。
オレンジ色の屋根だけが特色と言えそうなせせこましい建物。その二階三号室。三枝の表札を確かめ、そっとドアをノックしたが、不用心にも鍵がかかっていなかった。手前に小さな台所とバストイレ、奥に六畳ほどの洋室、典型的な都会の狭いアパート。
彼女はその奥の部屋のベッドの上に、スリップ姿でうつぶせになり、背中にはスリップの上から太いナイフが深々と刺さっていた。右手はベッドの下にたれ、左手は枕の上に置かれ、両足はストッキングをはいたまま半ば開いて投げだされていた。足の方に毛布が丸まっていた。口は半ば半開きで涎がたれていた。眼はそれでも安らかに閉じていた。長い髪が肩を覆っていた。敷布は赤黒くなった血に染まっていた。惨劇を物語るかの様に、床にも壁にも血痕が飛び跳ねていた。
すぐに警察が呼ばれた。その後の調査で死後三日と言われた。室内には物色した後があり、物取りの犯行ではないかととも考えられた。
参考人として彼女と親しくつきあっていたJ大学医学部事務員岩本大介が呼ばれた。二人は学校時代からの知り合いで、調べでは彼女は大介の子をおろしたこともあるという。しかし、最近彼には某社専務の令嬢との結婚話が持ち上がっていた。
しかし彼はこう主張した。
「彼女が殺されたころ、私は友人の浅川敏夫等と山中湖でつりをしていました。そんなこと出来るわけがないじゃないですか。」
そして喜々としてその時の写真を見せた。さらに証言は複数の者によって裏付けられた。確かに山中湖と東京ではかなりの時間がかかるから、彼のアリバイは成立するように思われた。
しかし科学警察研究所の試験結果を見た捜査官は
「私はね、最初からどうも血の散り具合がおかしいと思っていましたよ。彼女はここで殺されたのではなく、余所で殺され、ここに運び込まれたのですよ。だから君のアリバイは成立しない事のなりますね。」
と言った。一体どのような結果がでたというのだろうか。



「答え」
散っている血液の中から蓚酸ナトリウムが検出された。
犯人は余所で彼女を刺殺し、その血をポリタンクに入れて死体と共に部屋に運び込んだ。そして死体をセットした後、飛び散りそうな場所に血をばらまいたのである。
しかし血液は採取しても、そのままでは凝固してしまう。それを防止するには
(1)蓚酸ナトリウムを加える
(2)ガラスの球をいれ攪拌する。
などの方法がある。この場合犯人は(1)の方法を取ったのである。
このような事件は外にも例がないわけではない。大抵は畳ごと持ち込んだ、しかしまわりの壁に血液が飛んでいない、あるいは畳の縁の模様が違っている、さらには血液の飛散の仕方が不自然などの理由で発覚することが多い。この犯人は非常にうまくそこを切り抜けた。しかし科学捜査の眼はごまかせなかった。



11)ルパン危機一髪!

これはルパン傑作集のうち「水晶栓」からとった話。
強盗紳士ルパンは部下のジルベールとボーシュレーの発案で、夜陰にまぎれて孤島のマリー・テレーズ別荘をおそい、財宝を盗み出すことにした。事前の情報では別荘には誰もいないと言うことだった。ところが忍び込むと別荘の下男レオナールが戻っていて、ついに彼を殺すことになってしまった上、ボーシュレーは負傷。
しかもいまわの際にレオナールは配膳室から電話。
「助けてくれ!・・・・人殺しだ!・・・・助けてくれ!・・・・殺されそうだ・・・警察へ知らせてくれ!・・・・」
おかげですぐ警官隊が出動、彼らは包囲されてしまった。
しかしここをルパンだけがうまく逃げ出し、やってきたボートに乗り移った。
「逮捕しろ!」署長が叫んで言った・・・・。「発砲してもよろしい!」
沖合百メートルほどの薄暗がりに、ルパンが手を帽子を大きく振って挨拶している。警察はすぐに追いかけた。
警察にとってかなりらくな追跡だった。それというのが月明かりでルパンの進路は読めたし、右手はすかいにサン・グラチアンの村を目指して進んでいたからだ。署長はまもなく気がついた。自分のボートの方がずっと早い。むしろ不思議なのは異常な早さで距離が縮まることだった。やがて追いつき、署長は叫んだ。
「降参しろ・・・・。武器を捨てろ・・・・。それともいやか?・・・では止むをえん・・・・数えるぞ・・・・。一・・・・。二・・・・。」
そうして発砲したのだが、敵は身動き一つしなかった。それもそのはず、ボートにはルパンはいなかった・・・・。
それではルパンはどのような方法で脱出したのだろうか。



「答え」
第一の別荘からの脱走は管理人を装った。
ルパンは庭木の枝をねらい、二発ぶっ放し、ボージュレーの傷口から流れ出す血で自分の手と顔を染めた。それからジルベールの肩をわしずかみにしてぶっ倒した。
そして窓の下におしよせた人々に向かって叫んだ。
「ここだ。奴らを捕まえたから!手伝ってくれ。」
警察がかけつけ、二人を捕らえ、さて事情を聞こうとしたときにはすでに湖岸に向かっていた。
第二の脱走はボートには積み上げた盗品に上着と山高帽をのせて、それらしく見せ、自身は泳いで脱出したのである。
(この項「水晶栓」(堀口大学訳 新潮文庫)より引用)



12)密の代償

S大学片倉研究室は麻酔学で権威のある研究室である。
片倉教授は来年定年を迎え、引退が予定されている。教授の元に柏木、沢田両助教授がいる。
柏木氏は現在五十歳で大して実力があるとも思われないが、大方は片倉教授退官後、教授になり、研究室を率いて行くものと考えられていた。柏木氏が地味な分、時子夫人はまだ三十ン歳と若く、そのあふれんばかりの色気は男を追い求めて止まないようですらあった。二人の間に、子はなく夫妻はX駅近くの瀟洒なマンションに住んでいる。
沢田助教授は三十五歳、若いときに米国に留学していた秀才で、実力的に言えば彼が教授になるべきかも知れない。彼は未だに独身で医局の女たちのあこがれの的であった。彼はY駅近くのアパートに住んでいる。X駅とY駅の間は結構遠く、車を飛ばしても約60分、電車なら1時間以上と推定された。
柏木夫人と沢田はいつ頃からか、ある種の関係になった。しかし、ここでは本筋に関係ないので詳しくは述べない。おそらく夫人がふがいのない夫に飽きたらず、若いキレモノの沢田にあこがれたのであろう。
「ああ、もう一日だってあの人の側にいるのはいや!・・・・ねえ、あの人から私を奪って・・・。いえ、あの人を殺して頂戴!」
その夫人の一言から事件は始まった。
しかし我々に疑いがかかっては困る。・・・沢田は引っ張られる形で同意はした物の、慎重である。二人は綿密な打ち合わせには言った。
とても夫人に出来ることではないから、沢田が殺すのだが、つっこまれた時にアリバイを成立させるように、夫人は沢田のアパートに来ていることにした。
「あの人の部屋の入口にハンマーを置いておくわ。」
「君は僕がでている間に向かいの花屋で花を買っておいてくれないか。いざという時にアリバイになる。」
「終わったら、ドアは開け放しででてきてね。そうすれば物取りの犯行に見えるわ。部屋も荒らしておいてね。」
それから三日後、柏木夫人は新作の映画を見に行くと言って夕方家を出た。8時ころ、昼間の約束に従って沢田は柏木を訪れた。出されたウイスキーに用意の睡眠薬をまぜ、柏木を眠らせた。朦朧となったところを夫人が部屋の入口に用意してくれてあったハンマーで撲殺した。そのころ、沢田のアパートにいた夫人は向かいの花屋を訪れ、花を買おうとしたが、でてきた店員は「もう閉店である。」と断った。
11時頃自宅に戻った柏木夫人は撲殺された夫を”発見”し、あわてて警察に届けた。
さてこの結末はどうなるのでしょう。



「答えの一例」
夫人は最初映画に言ったと証言したが、つっこまれて実は沢田助教授のアパートに行っていた事を認めた。
夫人の証言:ええ、彼のアパートで一緒に音楽を楽しんでおりました。
沢田助教授の話:彼女とは懇意にしていますが、私のアパートに呼んだことなんかありませんよ。
ハンマーに付着していた指紋が柏木夫人の物であったため、疑いは夫人に向けられた。
夫人:アリバイですか。向かいの花屋さんに花を買いに行きました。店は閉まっていましたが若い女店員がでてきましたから証人になるはずです。
向かいの花屋の女店員:いえ、閉店してからはどなたもお見えになりませんでした。
・・・・・・
1年後、沢田助教授の教授昇任兼結婚披露パーテイが開かれた。新婦は彼が独身時代住んでいたアパートの向かいの花屋の娘と言うことであった。
柏木夫人犯行説について、警察はまだ結論を出していないが、夫人は最近精神に変調を来し、病院への入退院を繰り返しているとのことである。



13)二重密室老女殺人事件


アパートみゆき荘一階一〇五号室は、穴だけの郵便受け付きの様式ドアを開けると、たたきをふくめ、間口、奥行き2、7メートルほどの板の間があり、ユニットバスと流し台と冷蔵庫が押し込まれている。その向こうがふすま1枚隔てて6畳の和室になっている。
死亡者のアキさんは五七歳、年金生活者の様で一人暮らしであった。五日前、近くのスーパーに買い物に行った姿が見かけられたが、その後は姿を見た者がない。その日、午後二時ころ、二週間ぶりで訪れた娘がドアが閉まっていたため、大家に頼んで開けてもらったところ、様子がおかしいことに気づいた。境のふすまが十センチほど開き、アキさんが和室の壁にもたれるようにして、右側を下に、足をくの字に曲げて死んでいた。
部屋の襖よりには座卓が置いてあり、やかんと湯飲み茶碗、それに鍵がおかれていた。鍵は極く普通の回転式の物で、頭のところに紐を通す小さな穴が空いている。部屋の中は物色した様子はない。死亡者の衣服も乱れてはいない。南に面したアルミサッシ戸、雨戸はともに閉まっている。流し台の上に西に面してアルミサッシ窓があるが、これも閉まっている。
「医者は病死と言っているいるんだが、どうも原因が分からない。」
と当局が迷っていると、ある刑事が他殺を主張し出した。
(1)後頚部に、索溝らしい痕跡がある。
(2)舌を噛んでいる。
(3)眼瞼、眼球にはっきりした溢血点がある。
などが彼が他殺を主張する主な理由である。
「しかし、どうしてこの密室が形成されたかを解かない限り、他殺説は出ないだろう。」
と署長の判断だった。
ところが別の刑事が言った。
「やっぱり、他殺です。死体を発見したとき電気が消えていたわけでしょう。一方雨戸は閉まっていた。突然の発作か何かで死んだなら、電気は点いていなければならない!」
そして決定的な瞬間がやってきた。遺留物を懸命に探していた刑事が針とそれにくっついている変わった糸を見つけた時、先述の刑事が叫んだ。
「署長、密室の謎が解けました!」
ではこの密室はどのようにして形成されたのだろうか。



「答え」
この密室は問題を二つに分ける必要がある。
(1)なぜ、鍵を座卓の上に置く事ができたか。
(2)なぜ、境のふすまを閉める事ができたか。
犯人は襖に仕掛けをした後、襖を開けたままにして、ドアを通って外にでて、鍵をかけた。用意した釣り糸を鍵の上部の穴に通し、釣竿に結び付ける。これを郵便受けから挿入し、座卓の上に鍵を置き、釣竿を手前に引く。釣り糸がぬけ、鍵はそのまま残る。
襖の仕掛けは木枠と本体の間に針を使って釣り糸を通す。その両端を流し台上の窓から外に垂らし、窓を閉める。外から窓下にまわり、釣り糸を引けば簡単に閉める事ができる。
犯人は近くの推理ずきの中学生だった。彼らは日ごろ老女から小遣いをせびっていたが、最近しぶりだしたため、殺したものだった。その周到な計画ぶりと、残忍さが世間の親たちの眉をひそめさせた事は言うまでもない。



14)たれこみ記事


「もしもし、私は「週間マンデー」の読者ですが、記者の榊原さんをお願いします。」
「榊原ですが・・・・。」
「はじめて電話させていただきます。私、池田と申しまして、榊原さんというご高名をさる所で知りました。実は私、十六年前に奥多摩で人を殺しました。そのことについてお話したいのですが・・・・。」
途中まで、マンションか相場商品の勧誘だろうくらいに思っていた榊原は、びっくりした。
「何ですって・・・。目的は何ですか。」
「当時は若かったんです。金がほしくて仲間とやったんです。」
「警察はいいんですか。またどうして、私にそんなことを言う気になったのですか。」
「ええ、いづれ、警察に出頭するつもりです。でももう十五年経ちましたから時効です。実を言うと私はもう長くないんです。それで元気な内に私の一生の汚点を誰かに告白し、心の負担を軽くしたいと考えたのです。」
榊原は内心踊り出したい気持ちを押さえながら言った。
「それで、私を・・・・。もっと詳しいお話を伺いたいのですが・・・。」
「はい、それでは今夜私のマンションに、御一人で来ていただけませんか。場所は・・・・。時間は・・・・・。」
夕方までの時間を利用して榊原は当時の新聞記事を調べた。これだろう、と見つけた記事は現金を運んでいた某銀公社員の刺殺死体が見つかった事件である。警察の必死の捜査にも関わらず、その後犯人は見つかっていなかった。
指定されたマンションにいくと男が待っていた。五十過ぎだろう。案内されて応接室のソファーにくつろぐ。
「一人住まいですから何もなくて・・・。」
男はドリップコーヒーをいれ、よろしかったらどうぞとブランデーを薦めた。よい匂いが立ち上る。
男はぼつぼつと事件の概要を語り出した。
「不良仲間二人で女の子を仲間に引き入れましてね。殺したのはあそこではないんです。xxあたりです。あそこには車で運んだんです。」
事前に調べて来た記事に大体一致していた。しかしこのコーヒーは少し苦い気がする。
それでは例によってこの続きを考えてください。



「答えの一例」
「まあ、そんな所です。」
「わ、か、り、ま、し・・・・。」
口が縺れて来た。
「ただ、今までの話しは奥多摩銀行員殺害事件の真相ですが、私が調査したものです。ところで榊原さんは新聞の記事がその関係者に与える影響について考えた事がありますか。現在、あなたがたはxx銀行の不正について調べておられますね。私は実はそのxx銀行の経理担当なんですよ・・・・。今、お話した内容は、あなた自身の告白という形で、ワープロで打っておきましたよ。」
もう腕も口も動かない。目が霞んできた。榊原が立ち上がり、私の背広の内ポケットに封筒らしき物を入れた。
「ああ、このマンションですか。賃貸マンションなんですがね。今、空き家なんですよ。鍵?まあ、そんな細かい事はいいじゃないですか。とにかくあなたをおむかえしなきゃならないんで今日は準備に大変でしたよ。あなたを私のお車にお乗せしたら、すぐ、元通りにしますからご心配なく・・・・・。」
「・・・・・・。」



15)偽装飛び込み自殺


夜十時半に竹芝をでたフリージア号は、三宅島を経て、翌日九時半に八丈島につく。
青木和子が青い顔をして、キャビンに飛び込んできたのは午前四時頃、あと一時間半で三宅島に着く頃だった。
「女の人が海に飛び込んだらしい。」
三栗岩男が駆けつけると、学生風の男が二人、心配そうに暗い海を眺めていた。三人の証言はほぼ一致していて次のような物だった。
「きゃーって言う声がしたんで、駆けつけると、何か落ちていったらしい陰が見え、音がしました。」
「大変なこと。」と早速、三宅島で下船予定の物も含めて、乗船名簿に従い、チェックが行われた結果、北海道のOLで島崎京子三十二歳と判明した。彼女は会社の小切手、手形等を持ち逃げした犯人で、残して行ったバックの中からワープロうちの遺書が見つかった。
「このたびの不始末お許し下さい。」
そしてその半月くらい後、銚子から出航した漁船が、洋上で女の水死体を見つけた。腐食が進行し、柔らかい部分は魚に食われ、二目と見られぬ姿であったが、つけていた指輪から遺族により島崎京子であることが確認された。
あわてて警察で調べると彼女の廻りに不振な男女がいることが分かった。一人は事故を通報した青木和子自身である。もう一人はちんぴらやくざで青木の情人、屋森幸太郎である。いろいろな状況をつかんだ結果、二人が島崎京子に小切手等を持ち出させたのではないか、との疑いがでた。
しかし、屋森幸太郎はフリージア丸には乗っていなかった。青木和子と島崎京子が船の中で接触した様子も認められなかった。けれどもふとしたことで相談を受けた湖南は犯罪プロセスを鮮やかに推定して見せた。そしてその後決定的な証拠が見つかり、二人は逮捕されることとなった。
ではその犯行プロセスは?


 
「答え」
屋森幸太郎が別の場所で、彼女を殺した。一方青木和子はフリージア丸の切符を和子名義、島崎京子名義2枚を購入した。
当日、いったん乗船した後、忘れ物を口実に下船、変装して今度は島崎京子として乗船、船の中でまた青木和子に戻った。そして現場海域近くにさしかかったとき、用意してあった荷物を落とし、叫び声をあげ、船員に飛び込んだ女性がいるむね、報告した物である。
青木は犯行を否認し続けたが、自室ごみ箱から回収されたワープロの使用済みリボンに、遺書が書かれていたために決定的な証拠となった。青木の証言から屋森が逮捕された。





ヒントにした作品


1 ソーンダイク博士(暗号錠)
2 白い僧院の殺人
3 最近の事件、真犯人は誰だ(デザイナー焼死体の謎)
4 ソーンダイク博士(空さわぎ)
5 メグレと老婦人
6 あなたは名刑事(正当防衛殺人事件)
7 交換殺人、悪魔のような女たち
8 危険な童話(茜色の空)
9 掘り出された童話、ヴィオロンのため息の、針の眼
10
11水晶栓
12何十年か前に聞いたテレビドラマ
13完全犯罪と闘う(その病死、待った!)
14最近の事件
15最近の事件、完全犯罪と戦う(この度の不始末、お許し下さい)、致死海流

In the beginning when the God created the universe,the earth was formless and desolate.The raging ocean that covered everything was engulfed in total darkness,and the power of God was moving over the water.Then God commanded ,"Let there be light"...and light appeared.God was pleased with what he saw.Then he separated the light from the darkness,and he named the light "Day" and the darkness "Night".Evreything passed and morning came....that was the first day.
Then God commanded."Let there be a dome to devide the water and to keep it two separate places"....and it was done.So God made a dome,and it separated the water under it from the water above it.He named the dome "Sky".Evening passed and morning came....that was the second day.
Then God commanded."Let the water below the sky come together in one place,so that the land will appear"....and it was done.He named the land "Earth",and the water which had come together he named "Sea".And God was pleased with what he saw.Then he commanded,"Let the earth produce all kinds of plants,those that bear grain and those that bear fruit" and it was done.So the earth produced all kinds of plants,and God was pleased with what he saw.Everything passed and morning came....that was the third day........