つつじ

私の推薦する外国のミステリー

私の推薦する日本のミステリーに続いて外国のミステリーも選んでみることにした。
・クロイドン発12時30分 クロフツ
・Yの悲劇 クイーン
・リリアンと悪党たち ケンリック
・ロウフィールド館の悲劇    レンデル
・デイミトリオスの棺     アンブラー

これもまた統一性のない変な選択だ。それでもあえて弁解してみよう。
「クロイドン発12時30分」は倒叙型推理小説の代表作。日本ではこれと「殺意」「伯母殺人事件」を三大倒叙型推理小説としているのだそうだ。この作品で私がもっとも興味を引かれたのは一個人がどのようにして青酸カリを手に入れ、殺そうとしている相手の常用するカプセルに入れるか、という下りである。現在の小説は「青酸カリを飲んで死にました。」というだけでそこから先の追求がない安直な作品ばかりだ。その点この作品は殺人者の努力がにじみでている?

「Yの悲劇」は筋立てがしっかりしており、トリックも新鮮で抜きんでた推理小説と思う。子供が父親の書いた推理小説梗概を読み,INSTRUMENTを楽器と解釈するところ、ストーブの裏の秘密の抜け穴など可愛らしい。

推理小説は犯罪を扱うと言いながら、あくまでお話であるから、そこにはギャグやユーモアがあふれていてかまわないと思う。ユーモア推理小説の代表として「リリアンと悪党たち」をあげる。誘拐小説というと普通はいかに誘拐したか、いかに身代金を取ったかに重点をおくものだが、この作品はいかに誘拐させるか、というのだからふざけている。旅行会社と職業会社掛け持ちの主人公、オハイオから来た二組の夫婦のはちゃめちゃぶりなどの記述も、思わず先を読み急ぐほど迫力があり、素晴らしい。

それから、この作品とはうって変わって考え込ませたのは「ロウフィールド館の惨劇」。知らない隣人の怖さを教えると同時に人間同士が理解する事の難しさを教える。召使いの女が自分が文盲であることを強度におそれ、それがばれたときに自己破壊して行く恐ろしさを誰が予測しえただろうか。私はこの作者の作品をもっと読んでみたくなった。

最後に「デイミトリオスの棺」。この作者のの作品はこのほかに「インターコムの犯罪」「あるスパイの墓碑銘」を読んだが、スパイ小説である半面、それを越えて文学作品の雰囲気を備えている。

ほかにウイリアム・アイリッシュの「幻の女」「死者との結婚」ユーモア推理小説でクレイグライスの「大はずれ殺人事件」なども非常に感動した作品である。
こうして5つを選んだけれど、古典的な作品から現代まで、本格物、スパイ物、ハードボイルド・・・・降る星の如くある作品群の中からわずか5つを選ぶなんて、どだい無理な話だと改めて実感した。