つつじ

私の推薦する日本のミステリー

私の読んだ推理小説についてのホームページを開いたら、時々メールが入るようになった。
その中に
「これはとご推薦できるものがありましたら、勝手ながら是非お知らせ頂ければ幸いです。」
というのがあった。
本を読むとよく「読者の選ぶ推理小説ベストテン」などという記事がのっかっている。
この伝で選べば良いのだろうけれど、いざとなると難しい。
良い小説は、それぞれに個性があり、たとえて言えば料理のような物。刺身か、ビフテキか、漬け物かといわれてもみんな欲しい!!
それでも無理に5つを選んでみることにした。
むろん私が読んだ作品の中から、好みのままに・・・。

・乱れからくり       泡坂妻夫
・ヴィオロンのため息の    五十嵐均
・漱石と倫敦ミイラ殺人事件  島田荘司
・邪馬台国の秘密       高木彬光

・ロス発第一級殺人の女    和久峻三

「乱れからくり」は死んだ奇術師の仕掛けが、死んだ後働いて、次々に殺人がおこるという着想が面白い。章のタイトルもみなおもちゃの名前で、ものすごくこっている。同じ作者の作品で「亜愛一郎の冒険」という短編集があるが、こちらもご推薦。

「ヴィオロンのため息の」は横溝正史賞を取った作品だが、今は法務大臣夫人となった主人公が、50年前のドイツ将校との恋を実らせるという筋立てに感激。我が身を振り返り、中年の恋なら、去年話題になった「失楽園」よりこっちが先輩だ、と思った。

「漱石と倫敦ミイラ殺人事件」は手品を思わせる入れ替えトリックもさることながら、出だしの漱石とワトソンの出会いが面白い。「漱石日記」を下敷きにしているのだが、当時の日本人と西洋人の出会いを「かくあるなん」と思わせ、抱腹絶倒させること請け合い。

「邪馬台国の秘密」は学術論文に近い。しかし「時の娘」のように、歴史におけるミステリーを解くのも推理小説のひとつの形と考えれば興味ある作品だ。同じ作者の「白昼の死角」「刺青殺人事件」なども面白いし、「成吉思汗の秘密」は同型の作品だけれど、考証の深さが際だっているように感じた。

「ロス発第一級殺人の女」を数ある和久作品の中から選んだ理由は、外国で日本人が裁かれる場合をテーマにしているからだ。本来なら「仮面法廷」かも知れない。

しかしできあがったリストを見てみると、滅茶苦茶で、自分自身の考えがわからない。
私は推理が好きなのか、ストーリーが好きなのか。
江戸川乱歩や横溝正史、あるいは松本清張の作品はなぜ入れないのか。
いったいどういう人間なんだろう。 だから、選んだからといって、それがこの投書の主にご推薦できるかどうかはまるっきりわからない。
しかし、それであるからこそ、自分の気持ちに正直なのだ、という気もちょっとだけどする。