つつじ
八甲田山で行軍演習をしていた自衛隊員が、自然にできたと思われる深さ8メートルの穴に降りていったところ、次々と死んでしまった。
事前になぜ調べなかったのか、行程に無理があったのじゃないかなどの議論がかまびすしい。
原因は最初分からなかったが、調べたところ穴の中の炭酸ガス濃度が非常に高くそれで亡くなったのだという。
新聞では炭酸ガス中毒とあるが、炭酸ガスが多くなり、酸素欠乏となった結果だろう。
エッセンシアル法医学(高取健彦編)によれば「空気中の酸素濃度と症状の関係については14.0−15.0%で意識は軽く障害される程度であり、10.5-6.0%では意識混濁から消失にいたり、多幸感あるいは抑鬱感を覚え、避難する意欲と運動能力が消え、循環虚脱が生じる。6.0%以下では意識はすみやかに消失し、痙攣性運動をして倒れて急死する。」とある。火事場から逃げるとき、絶対に排気ガスの通過するところで息をしてはならない、というのはこのようなことを元にして言われているのだろう。
酸素欠乏による死亡の場合、死体には急死のtriasが見られるだけで、酸素濃度などの現場の状況を加えて考えないと、その診断は不可能である。殺人には最適の方法?
酸素欠乏による殺人は(1)不活性なガスによって空気が置換されて酸素濃度が低下する場合と(2)空気中の酸素が消費されてその濃度が低下する場合に分けられる。
前者の例では眠らせておき、部屋でドライアイスを蒸発させて殺すという話がある。炭酸ガスは空気に比べて比重が5割り増し大きいから、下に沈む。そのため被害者が横になって寝ている状態でいるなら、十分その可能性はあるのだと思う。
これを発展させれば、いやになった浮気の相手を「旦那が帰ってきたわよ。」と物置か洋服ダンスにドライアイスと一緒に入れ、あの世に行っていただくなども一方法?
ちなみに1立方メートルの空気の酸素濃度を16%に下げるには、0.32立方メートルの炭酸ガスがいるが、これは煉瓦4分の1個分くらいのドライアイスになりそうだ。
ドライアイスは1キロ200円くらいで氷屋などで販売している。
後者の例ではガスストーブで暖を取っているとき、換気扇をそっと閉めてしまう事が考えられる。もっともこの場合には空気不足で、まずストーブが不完全燃焼し、一酸化炭素を発生し、被害者が中毒になるという方が先のようだ。
自動車の排気ガスで自殺したり、殺したり、という例をよく見かけるが、あれも一酸化炭素による中毒死であるから、酸素欠乏はあてはまらない。
最後にドライアイスと言えばあれを撲殺用に使うと言う話がある。
笹沢左保の「招かれざる客」で、冬、暖かい部屋で犯行におよんだ後、ストーブに投げ入れると、凶器が跡形もなく消えてしまうところがミソである。
ちなみにその書によれば
赤煉瓦の比重 約1.8、1個 2.7kg
ドライアイスの比重 約1.6
で、両者の性状はよく似ているのだそうだ。
1997/07/17