1166「ハチのムサシは死んだのさ」(511日(土)小雨)

 

覚えていますか。平田隆夫とセルスターズ・・・・。1972年に発売され、紅白出場も果たした大ヒット曲。「真っ赤に燃えてるお日様に試合を挑んで負けたのさ。焼かれて落ちて死んだのさ・・。」

午後、ヤマハから平田さんがピアノの調律にやってきた。調律を終えて少し話す。

「もう40年以上になりますね。あのころは奥様がお元気でしたね。」

そう、このピアノは亡妻が結婚した時に自宅から持ってきたもの。娘たちがピアノのレッスンに使ったが、妻が他界し、娘たちが家を出て行くと使い手が無くなった。

最近娘の一人が孫が使うかもしれぬ、と言っていたが立ち消え。私が詩吟やカラオケを少し始めたから、毎日ドレミを確認してポロン、ポロンと弾くがそれだけである。

それでも平田さんは2年に1回来てくれる。その彼の話、彼は163月だそうである。

「平田隆夫は私の兄でした。3年前に72歳で直腸がんで亡くなりました。癌を示す兆候はあったのですが、仕事が忙しくて医者に行くのが遅れたようでした・・・・。」

私たちもその年齢、元気でいる内が花。

夜、12期の飲み会。毎月一回新宿と高円寺にある小さなスナックに高校同期が集まって行う物である。今日は高円寺路地裏。幹事のA君がメールで「重たいものを持ちあげたところ、腰や尻が痛くなった。現在治療中。」結局来られない。いつもの4人。

「アベノミックス様で財産がどんどん増えて行く、これで老後はばっちり」と恵比須顔なのが、B君。株や外国債券で財産を運用しているらしい。

昨年の国会解散の頃、日経平均は大体9000円、為替は1ドル80円であった。それが14000円を超え、1ドルは100円になった。平均的に見れば株は5割、外貨建て債券は、他国通貨もほぼドルに並行して変わったから25%増、という事になるのか。

しかし今後はわからぬ。しばらくこの円安、株高は米国の景気が良いことと安倍政権の政策が相まって続くように感じるけれども、C君の言うように

「北朝鮮が発狂してミサイルでもぶっ放す、さっきも三文夕刊紙が囁いていたけれど富士山が爆発・・・・そんなことが起これば円は大暴落。そうなればハイパーインフレーションで株どころではなくなる。故に分散投資が必要。」

その北朝鮮を含む国際情勢。中国に怒られた様子で最近少しおとなしい。日本は我我自身はそう感じぬが、諸外国は右傾化と騒ぐとか。再びC君の発言。

「日本はまだ独立国ではないのではないのか。押し付けられた憲法、それを墨守しようとする勢力。

憲法は一度も国民の信任を得ていない。仮に日本人より米国人が頭がいい、素晴らしい憲法という事になるにしても、それを一度国民が投票して納得すべきではないのか。あの韓国ですら自分たちで作った憲法を持っている」

それにしても中国はかなわぬ国だ。沖縄まで日本の領土など言い始めているとか。日中友好など当面かなわぬ。

そして最後行き着くところは身体の話、死後の話。B君は「シュウカツ」を始めたという。就職活動ではない、終末のための活動。我我の周囲にB君以外にも身辺整理等を始めた人は多い。死ななくても老人ホームなどに入れば己の居住空間は極端に少なくなり、忘れられた形になる。一度老人ホームに入り、その後我が家に戻ったという人は聞かない。つまりほぼおしまい・・・。

相続、節税・・・・自分が死んでしまえばそれでおしまい、との考えもあろうが、割り切れぬものも多い。私の場合には一人住まい、子達と同居すれば、住んでいる土地の8割控除が受けられるが、相続税の多少に換算すれば数千万円、そのようにすることがいいのか、悪いのか。それ以前に子達が何というか・・・・。「シュウカツ」はそれから、とりあえずは一日一日を元気にいきたい。

やがてカラオケになった。

皆高校時代から歌が得意であったようだ。B君は音楽の先生に愛されていた、というし、D君は合唱部であった。C君も会社で一人で勤務しなければならなかった時に十分練習したらしい。私だけが自分が不得意、歌う機会がなかった。その差が歴然とし、今となっては追い付けぬ。それでも色々歌いまくり、最後はB君のワインレッドの心、D君のランナウエイ等が飛び出て9時過ぎにお開き。

ママが「あら、もうお帰り。」というのを、品行方正の私はB君と帰った。ところが彼は今から碁を打ちにゆくのだ、という。元気、元気、うらやましい。

夜道を、荻窪から我が家まで2キロ足らず。「ハチのムサシは死んだのさ」は、あのころの学生運動の心を唄った、とも言われる。不可能に見える巨大なものに挑戦し、そして最後は倒れていく・・・・我我の時代の男の子たちがみな夢見ていたことなのかもしれぬ。「ハチのムサシも死んじゃうのさ」・・・・・。

 

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