ハヤカワ・ポケット・ミステリ DOVER GOES TO POTT 乾 信一郎 訳
小さな町・ポット・ウインクルは家庭衛生陶器で成功したダニエル・ウイブリーの支配する世界、そこで娘のシンシアが自宅で殺された。
シンシアは親の反対を押し切ってウイブリーの会社で働くジョンと結婚し、共同住宅に住んでいた。
夫婦仲はよく、反対した父に認めさせるためにも子を強く望んでいたが、死の直前妊娠したことを告げられていた。
有力者の娘の死とあって責任逃れをしたい地元警察はロンドン警視庁に捜査を依頼、例のデブで自己中心的なドーヴァー主任警部と俊腕のマグレガー部長刑事の登場となる。
「ワイフ殺しの下手人は夫と決まっている。」とするドーヴァーは彼を逮捕し、暴力によってすら白状させようとするが、殺した理由が分からないなど不明な点が多い上、取り調べ中被疑者にのされてしまうというおまけまでつく。
ドーヴァーはどうしようもない、と考えるマグレガーはシンシアが死んだ場合、相続権を得ることになるヘリワードを疑う。
現場に彼の妻の所有と思われる車があった、アリバイが嘘と分かった、などから一時は本当に犯人と思わせるが、詰め切れない。
実はシンシアの妊娠が告げられた日の朝、バートは医者から不能であるとの宣告を受けた。
それで妻の浮気を信じ、かっとなって殺した。
ところが妊娠と不能の二つの検査証明は別の大病院がだしたのだが、係員の女性ミルドレッドがかってのバートの恋人、ふられた腹いせに不能と書き換えたというもの。
作者の相変わらずのユーモア精神に感激!
ただドーヴァーシリーズは作品の結論に「おや?」と思うものが目立つがこの作品もそうだ。
ドーヴァー刑事をいかにも能力がないように書きながら、結局はドーヴァーの「夫が犯人!」という最初の感があたっている点だ。
それから最後のミルドレッドが書き換えたというくだりも、捜査が真実にせまったらしいと誤断して自白した、というスタイルではミステリーファンとしては興をそがれる。
それからドーヴァーは、一般会社のレベルからいえば、この方が標準と、私は思う。