平成15年度介護支援専門員実務研修受講試験

 

介護支援分野 問題1〜問題25

 

 

問題1 介護保険制度について、制度施行前の高齢者介護にかかる公的制度と比較して正しいものはどれか。 2つ選べ。

 

 従来、高齢者のための福祉サービスは、老人福祉制度の下、市町村の措置によってサービスが決定されていたが、介護保険のサービスは高齢者自身の選択による契約に基づき利用できる。

 従来、高齢者のための介護サービスは、老人福祉、老人医療といった各制度から別々に提供されていたが、介護保険制度の下では、福祉サービスや保健医療サービスが総合的に提供されている。

 従来、高齢者が福祉サービスを利用する際の負担は、受益に応じた負担であったが、介護保険制度の下では、所得に応じた負担となっている。

 従来どおり、介護保険制度の下においても、サービスの提供主体は市町村や社会福祉協議会等の公的な団体に限られている。

 従来、老人福祉制度の財源は全額公費で賄われていたが、介護保険制度の財源は全額高齢者の保険料によって賄われている。

 

 

問題2 介護保険制度について正しいものはどれか。 3つ選べ。

 

 国民は、自ら要介護状態となることを予防するよう努めることとされている。

 介護保険は、長期保険であり、保険料を支払った期間に応じて受けられる給付の額が変わる。

 国民は、共同連帯の理念に基づき、介護保険事業に要する費用を公平に負担すべきこととされている。

 介護保険は、私保険と同様に個人別に収支均衡を図っているため、多くの給付を受ける人ほど保険料が高くなる。

 社会保険方式である介護保険制度は、公費方式に比べ、受益(給付)と負担(保険料)の対応関係が明確であり、サービスの充実に伴う負担の増加について、国民の理解を得やすいという利点がある。

 

 

問題3 介護保険の保険者・被保険者について正しいものはどれか。 3つ選べ。

 

 40歳以上65歳未満の医療保険の非加入者も、希望すれば第2号被保険者の資格を取得することができる。

 第1号被保険者の保険料は市町村が決定し、第2号被保険者の保険料はその者が加入している健康保険組合等の医療保険者が決定する。

 第2号被保険者は、医療保険加入者でなくなった日から、資格を喪失する。

 生活保護法による救護施設に入所している者は、被保険者とならない。

 特別養護老人ホーム等の介護保険施設に入所することにより、他の市町村から住所を移した者は、その施設の所在する市町村の被保険者となる。

 

 

問題4 介護保険における手続について正しいものはどれか。 3つ選べ。

 

 被保険者は、被保険者証の再交付を受けた後、失った被保険者証を発見した場合には、直ちに、発見した被保険者証を市町村に返還しなければならない。

 40歳になった医療保険加入者は、その旨を市町村に届け出ることによって介護保険の第2号被保険者になる。

 第1号被保険者は、被保険者証に記載されている氏名に変更があった場合には、市町村に届け出なければならない。

 医療保険に加入している外国人は、65歳になった場合には、原則として、市町村に届け出なければならない。

 介護保険の第2号被保険者であった者が、65歳になり第1号被保険者となった場合には、市町村に届け出なければならない。

 

 

問題5 介護保険における特定疾病について正しいものはどれか。 3つ選べ。

 

 第2号被保険者についての保険給付の要件となる疾病である。

 加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病である。

 脳血管疾患が含まれる。

 すべて特定疾患治療研究事業対象疾患(いわゆる難病)に含まれる。

 特定疾病の対象範囲は各都道府県が定める。

 

 

問題6 介護保険の給付の対象について正しいものはどれか。 3つ選べ。

 

 居宅サービス計画を作成せずにサービスを利用した場合には、保険給付を受けることができない。

 居宅サービスの利用において、居宅介護サービス費区分支給限度基準額を超えた分は全額自己負担となる。

 福祉用具購入の利用者負担は、高額介護サービス費の対象にならない。

 介護保険施設の個室に、入所者の状態に合わせた手すりを取り付けた場合には、住宅改修費の対象となる。

 短期入所生活介護の居宅介護サービス費には、入所中に提供される食事の材料費は含まれていない。

 

 

問題7 介護報酬について正しいものはどれか。 3つ選べ。

 

 介護報酬の請求は、サービス提供月ごとに翌月10日までに、その翌月(サービス提供月の翌々月)末に支払を受ける。

 事業者・施設が介護報酬を受ける権利の消滅時効は、10年である。

 生活保護法による介護扶助については、生活保護法による公費負担となるので、事業者・施設は、すべて福祉事務所長に直接請求する。

 国民健康保険団体連合会には、介護給付費請求の審査を行うため、介護給付費等対象サービス担当者、市町村、公益の各代表者からなる介護給付費審査委員会が設置されている。

 事業者・施設が偽りや不正な行為により介護報酬の支払を受けた場合には、市町村は当該事業者・施設に対し、4割加算した額を支払わせることができる。

 

 

問題8 支給限度基準額について正しいものはどれか。 2つ選べ。

 

 福祉用具購入費支給限度基準額は、1品目10万円である。

 住宅改修費支給限度基準額は、年間20万円である。

 痴呆対応型共同生活介護については、居宅介護サービス費区分支給限度基準額が設定されていない。

 市町村は条例により、厚生労働大臣が定める居宅介護サービス費区分支給限度基準額を上回る額を設定することができる。

 月の途中で要介護認定が要介護3から要介護4に変更された場合には、居宅介護サービス費区分支給限度基準額は、翌月から変更される。

 

 

問題9 指定居宅サービスの事業運営について正しいものはどれか。 3つ選べ。

 

 訪問介護事業者は、利用者が居宅サービス計画の変更を希望した場合には、まず保険者である市町村に連絡しなければならない。

 訪問介護事業所のサービス提供責任者が、訪問介護計画を作成したときは、利用者からの申出があった場合に限り、その訪問介護計画を交付しなければならない。

 事業所ごとに満たすべき人員基準が定められており、これを満たせない事業所は、指定を取り消される場合がある。

 事業者は、利用申込者の要介護認定の申請が行われていない場合には、利用申込者の意思を踏まえ、申請が行われるよう必要な援助を行わなければならない。

 福祉用具貸与事業者は、従業者に身分を明らかにする証書や名札等を携帯させなければならない。

 

 

問題10 指定居宅サービス事業者について正しいものはどれか。 3つ選べ。

 

 提供したサービス内容について、利用者からの申出があった場合には、文書の交付や利用者の用意する手帳等に記載するなどの方法により、利用者に対して情報を提供しなければならない。

 事業者を新規開設してから一定の期間など利用者を確保するためにやむを得ない場合には、利用者負担を徴収しなくてもよい。

 市町村から指導や助言を受けた場合には、その内容に従って改善するとともに、市町村から求めがあれば、その改善内容を報告しなければならない。

 利用者が正当な理由なしにサービス利用に関する指示に従わず、要介護状態等の程度を悪化させたと認められる場合には、意見を付して市町村に通知しなければならない。

 利用者から受け取る利用料については、利用者に対する重要事項説明書の交付に代えて、事業所内に掲示すれば個々に説明する必要はない。

 

 

問題11 指定居宅介護支援事業者について正しいものはどれか。 2つ選べ。

 

 事業所ごとに保険者による指定を受ける。

 事業所には、常勤、非常勤を問わず、管理者を置かなければならない。

 管理者は、介護支援専門員に居宅サービス計画の作成業務を担当させる。

 居宅介護支援の提供により事故が発生した場合には、速やかに都道府県の介護保険審査会、市町村、利用者の家族等に連絡しなければならない。

 利用者及びその家族の代表から文章により包括的な同意を得ていれば、サービス担当者会議で、利用者及びその家族の個人情報を用いることができる。

 

 

問題12 基準該当居宅サービスについて正しいものはどれか。 3つ選べ。

 

 基準該当訪問介護事業所については、サービス提供責任者を置く必要はない。

 基準該当訪問入浴介護事業所の従業員や管理者は、常勤である必要はない。

 通所介護の事業については、基準該当居宅サービスが定められていない。

 基準該当短期入所生活介護事業所の利用定員は、20人未満である。

 基準該当福祉用具貸与事業者については、法人である必要はない。

 

 

問題13 正しいものはどれか。 3つ選べ。

 

 公的年金の老齢退職年金給付を年額18万円以上受給する第1号被保険者については、介護保険料は、原則として、当該年金から特別徴収される。

 長期にわたって介護保険料を滞納している第1号被保険者については、現物給付の償還払い化、保険給付の一時差止等の措置が段階的に行われる。

 第1号被保険者の介護保険料については、所得段階別に4段階の設定となっている。

 各都道府県の国民健康保険団体連合会は、市町村から委託を受けて、事業者から介護給付費の請求を受け付け、審査・支払を行っている。

 介護保険の給付や保険料に関する処分の不服については、国民健康保険団体連合会へ審査請求することができる。

 

 

問題14 介護保険事業計画について正しいものはどれか。 3つ選べ。

 

 厚生労働大臣は、基本指針を定め、公表する。

 市町村介護保険事業計画及び都道府県介護保険事業支援計画は、5年を1期とする計画であり、3年ごとに作成される。

 市町村介護保険事業計画では、各年度の介護サービスの量の見込み等を定める。

 都道府県介護保険事業支援計画では、市町村ごとの保険料を定める。

 市町村介護保険事業計画を作成する場合には、あらかじめ都道府県知事の許可を受けなければならない。

 

 

問題15 要介護認定の申請について正しいものはどれか。 2つ選べ。

 

 市町村は、主冶の医師に意見を求める代わりに、申請者に対し主冶の医師の診断書を申請書に添付するよう求めることができる。

 第2号被保険者が認定の申請をする場合には、医療保険の被保険者証を提示しなければならない。

 市町村が申請から30日以内に認定をしない場合には、その申請をした被保険者は、申請が却下されたものとみなすことができる。

 認定の申請を居宅介護支援事業者が代行した場合には、認定結果はその代行者を経由して申請者に通知される。

 市町村は、更新認定の申請があった場合において、申請者の疾病等の状況に変化がないと認めるときは、主冶の医師に意見を求めることを省略することができる。

 

 

問題16 要介護認定について正しいものはどれか。 2つ選べ。

 

 市町村は、介護の必要度が低下したと認める場合には、被保険者から申請がなくても、介護認定審査会の意見を聴いたうえで要介護状態区分を変更することができる。

 市町村は、新規認定の有効期間を12か月までの範囲とすることができる。

 審査及び判定は、原則として、主冶の医師が出席する認定審査会で行われる。

 認定の内容に不服がある場合には、市町村に対し審査請求をすることができる。

 審査及び判定は、国が作成した全国一律の認定基準に従って実施される。

 

 

問題17 認定調査について正しいものはどれか。 2つ選べ。

 

 心身の状況、置かれている環境、病状等について調査を行う。

 市町村は、指定居宅サービス事業者に委託することができる。

 主冶の医師がいない場合には、都道府県の指定する医師の診断を受ける必要がある。

 申請者だけでなく、家族に対する面接も行わなければならない。

 認定調査員は、正当な理由なしに、業務に関して知り得た個人の秘密を漏らしてはならない。

 

 

問題18 介護認定審査会において審査及び判定に用いられる資料として正しいものはどれか。 3つ選べ。

 

 要介護(要支援)認定申請書

 主治医意見書

 一次判定結果

 認定調査における特記事項

 居宅(施設)サービス計画書原案

 

 

問題19 介護支援専門員の基本姿勢について正しいものはどれか。 2つ選べ。

 

 一般に自己主張の少ない要介護者の身近な代弁者であることに留意する。

 要介護者が自立した生活を営むことができるよう、生活全般にわたって管理し、指示する必要がある。

 責任の範囲を明確にするため、介護保険適用以外のサービスにかかる実施担当者間の調整を行ってはならない。

 居宅サービス計画の作成にあたっては、要介護者とともにその家族の意向を尊重する必要がある。

 要介護者に対する援助では、介護支援専門員自身が専門職として適切だと判断する内容のサービスを、優先して提供する。

 

 

問題20 居宅介護支援について正しいものはどれか。 3つ選べ。

 

 解決すべき課題の把握にあたっては、利用者の居宅を訪問し、面接しなければならない。

 必要なサービスが地域で不足している場合には、介護支援専門員は、当該地域におけるサービス提供体制を整備するよう、自治体等に働きかけることが望ましい。

 管理者は、介護支援専門員に対して、特定の事業者を居宅サービス計画に位置付けるよう指示することを禁止されているが、自らの所属する法人が行う事業については差し支えない。

 介護老人福祉施設を退所しようとする要介護者から居宅介護支援の依頼があった場合には、介護支援専門員は、その依頼をした要介護者の施設サービス計画を転用することができる。

 居宅サービス計画には4種類以上のサービスを組み入れた場合には、介護報酬が加算されるが、同一種類のサービスが複数のサービス提供事業者から提供される場合には、1種類として取り扱われる。

 

 

問題21 居宅サービス計画の実施状況の把握(モニタリング)について正しいものはどれか。 3つ選べ。

 

 利用者及びその家族、居宅サービス事業者等との連絡を継続的に行う。

 少なくとも1月に1回利用者の居宅を訪問し、利用者に面接する。

 居宅サービス事業者等との連絡が十分に行われている場合には、利用者との面接に代えてサービス担当者と面接することで差し支えない。

 少なくとも3月に1回、結果を記録する。

 記録は保存し、定期的に保険者に提供することとされている。

 

 

問題22 Aさん(70歳)は、要介護4で、訪問介護と福祉用具貸与による車いすのみ利用している。同居している息子夫婦から「本人は在宅生活の継続を望んでいるのだが、腰痛になるなど家族の介護負担が大変なので特別養護老人ホームに入れようかと悩んでいる」と相談を受けた。介護支援専門員の対応としてより適切なものはどれか。 2つ選べ。

 

 自宅を訪問してAさんが在宅生活の継続を希望していることを確認したが、専ら息子夫婦と話し合いながら居宅サービス計画の見直し内容を決定し、手続を進めた。

 相談に来た息子夫婦に対し、居宅サービス、施設サービスのどちらかを利用するかはAさんに選択の権利がある旨を説明して帰らせ、直接本人から今後のサービス利用に関する相談があるまで待つことにした。

 自宅を訪問して家族の介護内容を再評価したうえで、車いすへの移乗時や入浴時の介護負担の軽減を図るため、移動用リフトや入浴補助用具を利用してみることを提案した。

 相談を受けたその場で地域内にある特別養護老人ホームに連絡をとり、空きベッドがあるホームが見つかったため、息子夫婦と話し合って入所日を決定した。

 家族の介護負担の軽減や社会的な交流を図るため、自宅を訪問し、定期的に通所介護や短期入所生活介護を利用してみることを提案した。

 

 

問題23 要介護認定を受けて、自宅でひとり暮らしをしているAさん(76歳)には身寄りがない。最近、痴呆症状が進み、意思の確認が極めて困難になってきた。Aさんは自宅での生活に執着しているが、徘徊等の問題も出始めている。介護支援専門員の対応としてより適切なものはどれか。 3つ選べ。

 

 成年後見制度の利用について、町役場の担当者と相談を開始する。

 当面の支援として、民生委員に相談し、近隣住民による見守り体制をつくるよう働きかける。

 安全確保のために、町役場に施設への入所を申請する。

 居宅介護支援事業所の管理者に、職権でAさんの金銭管理を行うよう求める。

 当面の支援として、痴呆に関する対応について保健センターの保健師に相談する。

 

 

問題24 ひとり暮らしのAさん(70歳)は、極端に近隣との接触を嫌う性格であるが、近所の食料品店主には唯一気を許している。Aさんは要介護2であるが、居宅サービスの利用は電動ベッドの貸与のみを受け入れている。介護支援専門員は、店主が食材を配達するときに同行し玄関先で声をかける程度である。介護支援専門員の対応としてより適切なものはどれか。 3つ選べ。

 

 さしあたり店主から話を聞き、Aさんが心を開くにはどうしたらよいかを検討した。

 店主より「自分が様子をみるから静観していてほしい」と言われたので、訪問を中止した。

 近隣より「Aさん宅は玄関先までゴミが大量に散乱しており悪臭がする」という苦情が居宅介護支援事業所にあったので、市役所に連絡するとともに、今後の対応について在宅介護支援センターに相談した。

 Aさんは閉じこもりがちなので、民生委員や店主を含む近所のボランティアによる働きかけを検討した。

 店主より「食材の支払が滞っている」との話があったので、検討していた訪問介護の導入について、利用者負担の支払が困難と思われたため、当面、取りやめることにした。

 

 

問題25 Aさんは、63歳のときの交通事故によって四肢麻痺が残り身体障害者手帳1級を取得し、支援費制度のホームヘルプ(居宅介護)のみ利用してきた。Aさんは、65歳になったので、居宅サービスを利用するため要介護認定を受けた。居宅サービス計画の策定にあたり介護支援専門員の対応としてより適切なものはどれか。 3つ選べ。

 

 介護保険制度における訪問介護と、支援費制度におけるホームヘルプ(居宅介護)を組み合わせて居宅サービス計画に位置付けた。

 最初のサービス担当者会議に際して、Aさんの了解も得たうえで、支援費制度の利用の窓口となっていた市役所の障害福祉担当者にも出席を求めた。

 支援費制度におけるホームヘルプ(居宅介護)を利用する場合においても、利用者負担は1割となる旨を説明した。

 身体状況に応じた特別な車いすの製作が必要になった場合には、身体障害者福祉法による補装具の給付について身体障害者更生相談所に相談する。

 支援費制度から提供されるホームヘルプ(居宅介護)は、介護保険制度における居宅介護サービス費区分支給限度基準額に含まれる旨を説明した。

 

 

私の解答

 

 

 

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