私の名前は
都内にある某女子高に通う高校二年生だ。
まだまだティーンの自称「いい女」だ。
いや、だってよく言うじゃない?
いい女は秘密があるものよ、って。
私にだって秘密なんか一つや二つくらいあるもの。
ちなみにその秘密の一つが、私は越前幽限事務所の正式所員であるということ。
実はこう見えてもこの事務所の中では設立当時からいるので古参者だ。
まだまだ若いけどね!!






そんな私なんだけれども、今日は本気で何もかもが恨めしかった。

「そんなブスっと顔してたら、みんな引いちゃうよ」

誰のせいだと思ってんだ、この隣にいる笑顔魔王は!!
私の休みを返せってんだ!!スミレちゃんの馬鹿ぁぁぁぁ…
(魔王には恐ろしくてそんな事は言えない)

ここ最近は事務所の株もあがっているのか依頼の数が半端ではない。
いくら所員が多くて全国に支部があるといっても、足りないのだ!
そうなると実力主義ってわけではないけれどやはり清算スピードはあげたいらしく(全てを取り仕切る観月サンが)実力者や古参者は結構引っ張りだこである。
本当迷惑な話なんだけどね。
だってキヨなんかはしょっちゅう南君に任せてふらふら何処かに行ってるんだもの。
羨ましい(真似したいけど真似しちゃうと後で観月サンのお仕置きが…)
とにかくだ。
一応古参の私もここのところ毎日仕事が入っていて忙しかったのだが、ようやく、今日!!!
無理やり休日をもぎ取ったというのに!!





なんでよりにもよって魔王と仕事なんですかぁ!?!?




「で。私どもはどこに行くのでしょう?」
「なんでバックに哀愁っていう文字があるの?」

あーそうですか?見えますか?
私の背中に哀愁という文字が。

「いえいえ、気にしないで下さいね。明日の事とか明日の事とか明日の事とか明日の事しか考えてないだけで」
「大変だね。明日弁解頑張ってね?」
「………っ!」

誰のせいだー誰の!!
明日皆に問いただされるんだろうな…
きっと彼氏でもなんでもないって言っても聞いてくれないんだろうな…
だって。
魔王ってば校門出る時皆に向かって

「いつもがお世話になってます」

ニッコリ。
なんて言っちゃってくれたんだものーーーーー!!!
あぁもう駄目だな…
どうしようかな…あははは…

「ところでさ、今日のお仕事なんだけど…」
「あはは…」
「明日の事は明日考えなよ?桃城みたいに」
「あんなのと一緒にしないでーーーーーーーーー!!!」

桃城の顔を思い出そうとするとどうしてもあの臭いまで思い出しちゃうのはどうしてだろう。
というか奴は今どこにいるのだろう(どうも3ヶ月ほど前から見かけなくなった)

「ふふ…それでね、仕事なんだけど今回は皇居の仕事なんだよ」

は?
今、魔王様はなんと仰いましたかね?
こうきょ。
コウキョ。
あぁ、皇居。

「あのさー
「はい、なんでしょう?」
「僕にはちゃんと不二周助って名前があるんだけど」

ぎゃーす!!!
心臓また鷲づかみにされた感じがするのは何故!?
W H Y ??

「あと、僕だけ着メロ違う理由とか」
「すみません、今すぐ変えます」

急いで鞄の中から携帯を取り出して操作する。
選曲の時に「運命」と「天国と地獄」のどちらにしようか悩んでいたのだが横から笑顔で

「僕はその二つよりもまだピアノ協奏曲の方が好きだよ」

と仰られたのでその曲せざるを得なくなった。

「でね、今回は公的依頼で皇居が仕事先なんだけど」
「あーうん」
「宮内庁の方から普通に皇居には入る事はできないんですよ、って言われてねー」
「へー…っておい!!」

じゃあどうしろってんだ!!
車でも駄目!徒歩でも駄目!!
え?もうこうなりゃ忍び込めってこと!?

「いや、私忍者の末裔じゃないから無理」
「は?何言ってるの?」
「忍び込むんじゃないの?」
「無駄に僕は体力使いたくないよ」

ニコっと笑顔で返事を返してきた不二に少し安心する。。

「だからねーやっぱここはサルガタナスの力を借りようと思うんだ」
「………は?」