「あっ・・・は、はふ・・・」
「はっ・・・・おい、」
「んっんっ・・・な、なに・・・っよ」
「もうちょっと足を絡めてくれ、動きにくい」
ポタリと舐めれば塩辛い雫が自分の胸元に落ちてくる。
体が火照っているだけに少し冷たくて、ブルリと体がふるえる。
落ちてきた塩辛い雫は決して天井から落ちてきたわけではなく、ぶっちゃけ自分を組み敷いて無体な事を強いてくる未成年の整った顎から落ちてきたものだ。
言っておくけれど好きで未成年に襲われてるわけじゃない。
むしろごめんこうむりたいくらいなのだ。
それがなんだ、このファッキン絶倫野郎、足を絡めろだァ?冗談じゃない。
「ふざ・・・・げほっ、げほっ・・・んっ」
「喘いでる最中に大声出そうとしたら咽るだけだぞ」
コ ノ ヤ ロ ウ 、今更だ!
「ムクロさんのせいだ・・・っ、もうやだ・・・ぁんっ」
「だからな、足を」
「無理無理無理無理、お前のせいで尻から下は筋肉痛でピクリとも動かせんわ!!」
正確にいうとお尻の筋肉も痛い、お尻が筋肉痛なんて恥ずかしくて誰にも言えない。
しかもなんだ、シルバの部屋に連れ込まれてから一週間以上、まじでコノヤロウは絶倫だ。
就寝食事以外ほとんどセックスだ、ありえない。
そして誰一人シルバを止めにこないこの状況もありえない。
出産すらしてないのにガバガバになってたらどうしてくれるんだと面と向かってシルバに言ってやりたいのだが、そんなこと言おうものなら「安心して俺に貰われろ」とか言われるに決まってるのだ。
なにをしてもなにを言っても自分の未来は暗い。
「じゃあマグロになってろ、俺は一人で楽しむ」
「ギャーっ!!何その言い方、まるで死姦するみたいな言い方やめてェ!」
「じゃあ気合いれてお前も動け、まあしかしマグロのままでもいいからな?俺は」
「シルバがよくても私がよろしくな・・・・ヒッ、あっあっ・・・も・・・まじで・・・」
あたしの体からそのデカブツ引っこ抜けェェェェェ!!!
「ていうわけでさぁ、助けにきてほしいんだよね」
『無理』
即答で返事が返ってきた。
ようやくシルバに解放されて、かといってもあまりにもひどい筋肉痛のせいでベッドから動くことができずゴロゴロ横になりながらゴトーに頼んで電話を持ってきてもらったあたしは短縮3番で電話をかけている真っ最中だ。
前にあたしが使っていた携帯はシルバに早々に処分されていて、中にあったメモリーもミツヒデをのぞく男は全て消去。
シルバに渡された真新しい携帯のアドレス帳には女の名前だけがズラリ。
しかも勝手に『家族』とかいうカテゴリが作成されていて一番上にシルバが登録されてあったりで、勿論ゼノの名前もあった。
シルバ、ゼノ、ミツヒデ・・・・ものすごくミッチーの名前が浮いている。
「即答だなんてひどい!ひどいわ、それでもあんた、あたしの親友!?」
『っじょーだんじゃないわさ!あんたとあたしがいつ親友になったってのさ?たとえもし親友だったとしてもヤァよ、ゾルディック家だなんて!どんだけ金を積まれても お 断 り !!』
「お願いお願いビスケちゃま!あたしこのままだと、18禁ゲームみたいに孕まされちゃう!」
『孕んじゃいな』
なんかキル・ビルのルーシーのごとくあっさりと、今問題発言を言われた気がする。
「・・・・・・・・ごめ、なんか一瞬電話が遠かった」
『だから、孕んじゃいなって言ってんの』
ブチ。
気付けばあたしの親指は勝手に電源ボタンを押していて、繋がっていたはずの回線は見事に切れている。
この親指さんめ!と自分の親指に向かって怒っていると、傍にいたのをすっかり忘れていたゴトーになんか悲しそうな目で見つめられていることに気付く。
このいたたまれなさはなんだろう。
どこからやってきてどこへいくのか、ハハハと乾いた笑いを音に乗せてあたしは枕に突っ伏した。
渡る世間は鬼ばかり、ピ○子さん、あんたはたくましいよ。
渡る世間は薄情者ばかり、どうしてあたしの周りにはえ○り君がいないのだろう。