、華も恥らう17歳。
将来構造としてはある程度名の知れた大学に入ってある程度名の知れた企業に就職してある程度にこっちが優勢になれる誰かと結婚してある程度に自分が楽しめる生活を送る予定だった。
予定だった、そう過去形。
現在の、ゴミも恥らう17歳。
思い切り名の知れたゴミの島に捨てられて、結婚もしてないのにできてしまった子供に思い切り世話を焼かされて、思い切りこっちが色んな意味で頼らないと生きていけない相手と一緒に暮らし始めて。
なにもかもが思い切りすぎてビックリ仰天な毎日を送っている。
元の世界にあった『ハンター×ハンター』という漫画の世界らしきところに勝手に放り込まれた私はゴミの山の中で赤ん坊を押し付けられた。
ハンター語なんていう日本語しか喋れない私に教会の神父さんが世話係兼言葉の先生ということでミツヒデさんを紹介してくれ、今現在赤ん坊共々とお世話になっている最中。
とにかくハンター語を一番に覚えろと顔に似合わずスパルタなミツヒデさんに只今ハンター語を文字通り叩き込まれ中。
その合間合間に赤ん坊の世話をしたり、外見だけでなく生活態度もダレダレなミツヒデさんに家事を任せられるはずもなく普段やったことない家事を一人でこなし、ついでになんかこっちの世界にやってきた当初からおかしいくらい伸びに伸びた身体的能力を更に伸ばすべく一人で特訓。
漫画を読んでて当たり前だけど『念』の存在を知っていた私は裏の仕事斡旋所を経営しているミツヒデさんに『念教えろや〜さもなきゃ家事と育児を放棄するぜーそしたらミッチーなんて三日もしないうちに夜鳴きで寝不足だぜ〜』と寝るのが趣味ということとわかっていて脅しをかけ、ゆっくりと念の方も修行中である。
つっても、一日や二日や一週間や一ヶ月でそんなにたくさんのことがいっぺんにできるはずもない。
当たり前だけど、どれもこれもゆっくりとこなしていっている。
急ぐ理由がみつからないから、ていうか帰れる方法がとてもじゃないけどみつからないような気がしたから。
さて、そんなこんなで私が主人公の『バキバキメモリアル』、まずは私とミッチー(ミツヒデさんって四文字も呼ぶのは大変だとすぐにあだ名をつけた)、そして我が子も同然になってしまった赤ん坊とのバキバキな生活を楽しんでいってもらえればと思う。