「うふふ、おめでたいですわね。藍染さんはハンカチ噛み締めながらサヨウナラ、一応崩玉も私のおかげで無事・・・なんだか百年分の仕事をしたような気がいたします。総隊長、これを機に私は十二番隊引退、そして祝二番隊入隊大前田は十二番隊行きということで・・・」
「ぶわっかものぉぉ!!おぬしへの説教は今からじゃあ!!浮竹、京楽、おぬしらを一番隊舎の地下牢に繋いでおけっ!!四深牢でもかまわんわっ!!」






事態は終わったようで終わってはいなかった。
藍染と市丸、東仙の裏切りから始まった一連の事件はほとんどの死神にとって見たこともなければ聞いたこともない一人の死神に登場で幕を閉じたようなものだった。
しかしその死神がとてつもなく厄介な人物で、山本の血圧を上げて上げて上げまくり。
山本の血圧状況上向き矢印はなかなか下向きになることはなかった。






「どうして一番の功労者である私が牢屋に繋がれなくちゃいけないのかしら。適切な答えを求めます、京楽さん。できれば10文字以内で」
「ていうかさぁ、ちゃんが逃げないように四六時中格子の前で見張ってる僕らにこそ適切な説明がほしいよ。ねえ、浮竹?」
「おまえはきけんじんぶつだからだ・・・駄目だ、これだと15文字。なら、のばなしにできないから・・・くそう、11文字・・・ならば、だまってろ・・・これでどうだ!?」
「「・・・どうだも何も答えになってないじゃない(か)」」





今から説教というわりに消えた隊長三人の穴埋めや中央四十六室の崩壊等により山本はに裂ける時間を見つけることができず京楽と浮竹本人達に二十四時間体制でを見張らせることになる。
そこには某一件で自分へ反抗したことへのさりげない嫌がらせも入っているのではと思えるほどで(確実に入っているのだろうけれども)藍染たちが消えてから二日経った今、京楽は勿論のこと浮竹も胃がキリキリと痛み肌もざらざら、目の下の隈もひどいものである。
原因は言うまでもなくひたすら砕蜂へのポエムらしき念仏と山本への恨みつらみを唱える格子越しの女にあるのだが。






「あのう、隊長。涅副隊長の件っすが、結局らしき霊子っぽいのだけは集めてみたことはみたんですけどそこから先はどうしたらいいっすかね?液体にするのがベストですか?自己再製してくれるのを待ちますか?」
「もういっそのことネムさんが副隊長でいいんじゃないかしら・・・マユリさんは二酸化炭素のまま隊長に昇格とかいかが?」
「いかがも何も意思の疎通がはかれませんから、元々はかれない人でしたけど。だいたい何アンタ、牢屋に繋がれてるんっすか?うちの仕事がちっとも進まないんすけど」
「そこの死にかけの色男二人に聞いてちょうだい、私だって梢綾に会えなくて・・・・・・・気が狂いそうよう!!」





そう叫びながらガンガンと頭を壁に打ちつけ始めたを止めるでもなく「そうっすか」とだけ呟いた阿近は格子入り口の椅子で本当に死にそうな京楽と浮竹にささやかながらに手を合わせた。
どうせ十二番隊も技研もがいようがマユリがいようがネムがいようが、彼ら三人に関わることなく今まで動いてきたのだ。
もう俺が仕切っちゃっていいかな、ボリと頭を一度かいた阿近は技研への道すがらこれからどうするかあれやこれやと考えはじめる。
とりあえずの指針としては隊長不在、副隊長自己再製待ち、三席副隊長待ち、これでいいだろう。






「あの・・・」
「あら、朽木ルキアさんだったかしら。うふふ、あの時とまるで逆ね、貴方が外にいて私が中にいる・・・どうして私がここにいるのかしら・・・納得いかないわ」
「その、お礼を言わねばと思って・・・貴方があの日崩玉とやらを私の中から取り出してくださったおかげで藍染隊長たちに奪われることもなくて・・・それで」
「貴方がお礼を言う必要はないの、そもそも貴方が悪いわけでもなんでもないのだもの。貴方に必要なのは後々諸悪の根源に出会ったときに罵ればいい言葉の数々と内蔵破壊できるくらいの威力のパンチよ。ついでに私の分も上乗せして練習してくださると嬉しいわ、うふふ」
「はあ・・・諸悪の根源といいますと、浦原の、ことですか?が、頑張ります・・・」
「ええ、頑張りなさい。そうね、ちょうど良いサンドバックがあるわ、二番隊の大前田というのだけれどアレは私がかれこれ百年使い込んでいるからとても打たれ強くて便利よ?」






お前の隊の子がちゃんの餌食になってるよ、京楽はあまりにも憔悴していて浮竹に教える気力さえなかった。
浮竹はというととうの昔にリタイアしておりとルキアの二度目の接触を後にひどく後悔するはめになる。
栄えあるサンドバック阿散井恋次の誕生の瞬間であった。




























「ええええ!?夜一さんってば、サンに出会ってないんスかぁ!?なんで!?なんでッスか!?」
「ええい、小五月蝿いわ!!には一応お前の伝言をしたためた紙を渡してやったわ。第一あやついまだ四深牢に繋がれておって話すらできんかったんじゃぞ!無茶を言うなッ」
「ちょっと、黒崎サン!アナタはどうなんです!?サンに会いました!?アタシの伝言伝えてくれましたッ!?」
「あー・・・一応さんに会ったことは会ったし喋ったといえば喋った。伝言は伝える時間なかったから言えてねえけど、アンタのことは色々話してくれたぜ」
「なんていってました!?なんていってました!?素敵な人よォとか会いたいわァとかアタシの黒子の位置とか」
「私の名前と三文恋愛小説のような台詞を小蝿のごとくワンワン喚く二度と名前を聞きたくない人のことですね、だってさ。こうとも言ってたぞ、喜助様の存在は私の一生の汚点ですって」
「ああ、確かにそんなことを言いおったなは。そういえば一護、おぬしは腹がパックリいっとるのにゲラゲラ笑いおったのう。馬鹿にもほどがあるぞ?ん?」
「・・・・・・・・ひどい、サン・・・・アタシが向こうに置いていったこと恨んでるんスね・・・やっぱりサンもこっちに連れてくるべきでしたかねェ・・・はぅ、サン」
「多分そういう次元じゃねえと思うぜ、浦原さん」



浦原喜助の恋は次元を超えて一方通行。



「梢綾梢綾梢綾梢綾梢綾梢綾梢綾」
・・・貴様私のその名前を呼ぶなと何度言えば・・・っ!!大体京楽と浮竹がお前の呪詛で倒れたせいで私は夜一様に会いに行くことすらできずにお前の見張りだッ!!いい加減その口を閉じろっ!!」
「梢綾、梢綾!だって梢綾が一日中どころかこれから先もずっと一緒にいてくれるなんて・・・っ、私幸せすぎてこのまま昇天できそうよっ!!」
「そのまま消えてなくなってしまえ、せいせいするわ。京楽と浮竹も不甲斐ない奴らだ、クソッ!ああもう本当にお前は鬱陶しいな、ッ!!」
「ああ、名前で呼んでちょうだい梢綾!今なら私逝ける!逝けるわっ!!
「ええい、いまいましい!!あ、貴様、私の名前を壁に血文字で書くなッ!やめろぉぉぉ!!!
「なら名前で呼んでちょうだい!貴方に統学院で出会って一目惚れしてからもうどれだけ経ったと思っているの!?」
「知るかッ!お前と出会ったことが私にとって一生の汚点だッ!くそ・・ッ、誰か!誰かッ!大前田のやつを呼んで来い!!私と交代だ、こんなところにいてたまるかっ!!」
「ああん!!梢綾!梢綾!私を置いて行かないでーーッ!!」
「夜一様・・・ッ!!お会いしとうございます・・・ッ!!」



の恋も次元を超えて一方通行。



砕蜂の恋はベクトルの大きさに問題ありな少し一方通行。







シカクケイしかくけい、四角形
丸くなんておさまらない
いつでもどこでも、いつまでも
恋はスクエアすくえあ