注意事項満載です。


・男主人公です。
・公式設定とは違います。
・主人公は超ナルシストです。
・主人公は超ものぐさです。
・他キャラたちは基本的にマキさんの脳内設定です(つまり阿呆がたくさん)








以上を踏まえて大丈夫よ、というマキさんと同じく阿呆な方は下へスクロール!





















それでは、やっぱりアホウの世界へどうぞ!!





























という少年の朝は慌ただしい。
お抱えの運転手が車を氷帝学園前のロータリーに停めると、ケーキに群がる蟻のごとく女の子の集団が群がってくる。
運転手が女の子の魔の手から四苦八苦しながら後ろの座席のドアを開放し歳若き主を頭を下げてお出迎えすると、いっせいにロータリーはジャニーズばりの黄色い声に包まれてしまう。

キャー!イヤー!さまァ!!素敵ィー!

見事なものである、これはご近所さんでは氷帝名物の一つとして数えられているがそれはどうでもいい。
ハーレムもいいところ、女の子達をまわりにはべらせ笑顔をばら撒きながらゆったりとした歩みで校舎へと向かうは必ず集中下駄箱のところで彼にキラキラした目を向ける女の子達に「ここでお別れだよ、ハニィたち」と投げキッスをところかまわず投げまくり(でも女の子達はその見えない投げキッスをグローブで受け取るべく必死であっちこっちへと散らばっていく)一人そっと自分のクラスに向かわずに中等部校舎の最上階に設置されてある生徒会室へと向かうのである。

―――中等部、生徒会執行部。

まぁ見事に金のかけられている生徒会室はなぜか最上階の4階にある。
最上階といってもだだっ広いこの校舎の最上階、あるのは生徒会室だけである。
3階までは一年から三年までのたくさんの教室が連なっておりそこかしこ生徒で賑わっているが4階だけはまるで「猛獣危険!」の看板があるかのごとく何故か生徒達の頭の中で立ち入り禁止地区に認定されており、滅多な事がない限り一般ピーポーは近づかない。
そんな誰もいない4階へと続く階段をはゼハーゼハーと息をきらしながらのぼっていく。

(校舎の建て直しを早急に検討すべきだ!絶対に5階校舎にしてやる!エレベーター完備の校舎だ!!!)

ご存知の方も多いと思うが建築基準法として。
4階までの建造物は例外を除きエレベーターを設置してはいけないという決まりがある。
勿論、4階までしかない中等部の校舎にエレベーターは勿論エスカレーターもない。あるわけがない。
やっとこさ階段を上りきると目の前にどーんとどでかい扉が現れる。
しかしこれは最早『扉』とあらわしていいものではない、『門』である。
フンと一度自分で気合をいれるとはバーンと気合よく目の前の扉を開け放った。

今すぐ校舎の建て直しをしよう!5階までつくろうではないか!!
「却下」

それはもう、息も絶え絶えに(一瞬ではあの階段で疲れきった体力を取り戻す事はできなかった)言い放った朝一番のの主張は。
生徒会室の右側に設置された大きな机でものすごい量の書類の束とにらめっこしている人物にものの見事に瞬殺された。
しかもその彼は一度ものほうに顔を向ける事もなく、一言言い放った後も黙々と書類にチェックをいれていく。
その書類を捌くスピードはまさしく人間離れしており、本当に書類に目を通しているのかどうか疑わしいものがある。
が、元々ミスのある書類にはしっかりと付箋とチェックが入っており、彼はしっかりと仕事を完璧にこなしているようである。

「毎日毎日、その台詞言って飽きない?以外はあんなたかだが4階分の階段なんてどうってことないんだから。たかがの体力不足の為に払うお金なんて……」


ハッ!!


顔も上げずに小ばかにしたような笑いが静かな生徒会室に響く。
しかしそれはとても小さな音だったにも関わらずドラのようにグワングワングワンとエコーがかかっての耳に入る。
その上、相変わらず彼の視線は書類の上。
やるせないことこの上ない。

「ひどいよ、タッキー。僕はだね、未来のことまで考えて」
「入り口でいつまでもへばってると邪魔だよ。もうすぐ跡部達が……」

と、タッキーと呼ばれた見目麗しい少年がそこまで言った時ぐしゃっと何かが踏み潰されたような音が生徒会室に静かに響き渡った。

「遅かったみたい」

そこでようやく少年は書類から顔をあげ生徒会室の門のようなドアに視線を向けた。
そこには、部屋に入ろうとして足を踏み出していた跡部と樺地。
そして、その二人の踏み出した足に思い切り踏み潰されているの姿があった。








踏まれた背中に樺地がペタリペタリと湿布を貼っていき(そこまでするほどではないのだが湿布でも貼らなければ踏まれた気にならないというのがの言葉だ)、貼られるたびにはビクンビクンと反応している。
ついでにそのの顔というか鼻の頭には氷嚢が押し当てられている。

「あーもう!思い切り踏んでくれたねぇ。すっっっっっごく、痛かったんだけど?」

樺地は気にしないでくれたまえ、とついでにの口から零れる。
まぁそう言えば当たり前の如く

「んだよ!お前が入り口なんかでへばってんのが悪いんだろうが!しかもなんで樺地だけは気にしなくていいんだよ!」

跡部が食らいついてくる。
しかし生徒会室の左側にあるこれまた大きな机に両足を乗っけてソファーでうつ伏せになっているのほうを睨みつけている跡部をは気にすることなく。

「冗談じゃないよ。見たまえ、この背中。僕の綺麗な背中に跡部の靴の跡が……赤くなってるじゃないか!」

ねぇ?とすぐ傍にいる樺地に話しかけている。

「湿布の貼られた背中でどうやって赤くなってる場所が見えるんだ、テメーは!第一絶対にその場所は俺が踏んだところじゃねぇ!樺地だ!」
「責任転嫁してるよ、樺地ぃ」
「ウス」
「サラリとお前が責任転嫁してんじゃねーよ、このクソが!!」

バーンと音を立てて跡部の両手がデスクに降ろされる。
その音にビクンと反応したはチョロっと、ほんの少しだけ跡部に視線を向けるとハァとため息をついた。
それを見て(ため息をつきたいのはお前じゃなくて俺だ)と跡部が心の底から思ったのは最早傍観者に徹していた滝にでもわかることであった。

「樺地はね、別にいいんだ。だって僕と同じ生徒会役員なんだから」

そう、そしてこうしてマキがまた新たに問題さえ起さなければこういう事態に最早慣れている跡部はサラリと生徒会業務にかかっていたはずなのだ。

「ちょっと待て。俺も生徒会役員だ、しかも副会長だっての!!あーん?このへなちょこ生徒会長!!」
「へなちょこって言った!へなちょこって言ったな!僕はわがままプーのほうを推奨する!!
「眞魔国でもどこにでも行ってしまえ、こんのわがままプー!!じゃなくて」

そうして慣れていてものペースに飲まれていく跡部は所詮その程度の人間だと言ってもいいのかもしれない。

「もう!跡部ったら五月蝿いなァ!第一、副会長は君じゃなくて樺地だよ、か・ば・じ!
「は?」
「ねー、樺地?」
「ウス」

タラーリと跡部の顔から冷や汗が流れ落ちていく。
確かにというヤツは阿呆で馬鹿でへなちょこでわがままプーだ、しかも他人が認めるというやつではなく自分でも認めているくらいである。
しかし、この阿呆、決して嘘はつかない。
嘘だけは(どうしても顔に出てしまうため)つけない人間なのだ。

「オイ、滝。氷帝学園中等部生徒会、副会長は俺、だよな?」

ちょうど真正面にある書類のたまったデスクでカリカリと相変わらず書類を裁いているクールビューティ(というかコールドビューティ)滝に跡部は声をかける。
が嘘をつかない。
つまり、樺地が副会長ということは真実。
なら副会長だと思っていた俺は一体何なのか。
この副会長専用の大きなデスクも実は飾り物だったとでもいうのか。
全ての疑問に答えてもらうべく滝に顔を向けた跡部だったが

「副会長はまぎれもなく樺地だよ」

という滝のクールというかコールドなお言葉に、跡部は沈みきった。
俺の四月からのしてきたことは一体なんだったというのだ、全校集会では皆をまとめるべく司会をやったり、生徒会主催の会議では副議長をやったり。
エトセトラエトセトラ、跡部の頭の中を走馬灯がよぎるかのごとく跡部のお仕事姿が流れていく。

「じゃあ、俺は一体なんだったんだ……」

か細い声が沈みきった跡部からボショボショと聞こえてくる。
それには相変わらず顔に氷嚢を押し当てながら

「跡部の役職は副会長(影武者)さ!!」

と無駄にキラキラした笑顔で言いきったのだった。