キルアとビスケがばれないようにお互いを時々見ていたのに二人は気付かなかったが、一緒にいたゴンは二人の不審な行動に首をかしげていた。
恐らくクラピカやレオリオのような人間だったならば何か互いに思うことがあるのだろうと遠慮して何があるのか尋ねないか、もしくはそれとなく一人一人に尋ねたに違いないが。
良くも悪くも素直なゴンに、そんな『高等手段』は使えなかった。


「ねえ、キルアもビスケもどうしたの?」
「・・・は?」
「なにがだわさ?」


何も考えてなさそうな顔をして、いや実際ほとんど何も考えてなかったのだろうが、ゴンは素直に二人に尋ねた。

「二人揃って時々お互いチラチラ見てるよね?なんで?」
「なんでって、そりゃ・・・なぁ」
「・・・・・別にたいした理由じゃないわさ、ただちょっと・・・」
「ちょっとなぁに?」

今度はコテンと首を横に倒して聞いてくるゴンにビスケは年下男は範疇外というテロップが頭の中に流れるものの逆光源氏!という言葉が次に流れてきてぐっと心の中で親指をたてた。
にょほほほと顔がすごいことになっているビスケを尻目にキルアが一つため息をつくが、ビスケの愛のある拳で吹っ飛ばされる。

「キルアって名前、どこかで聞いたことがあってね。それで、よ」
「そうなの?じゃあキルアは?」
「んあ?いや、俺もビスケって名前、どこかで聞いたことがあってさ。どこだったかなぁ・・・結構印象的だったはずなんだけど」

今度はビスケとキルアがそれぞれうーんと考え込んでしまう。
そんな二人を見ながらポンと手をならしたゴンは考え込んでいる二人に笑顔で口を開いた。

「二人に共通の知り合いがいて、それで知ってるとかじゃない!?」

なかなかいい提案!とばかりにニコニコ笑っているゴンの顔をキルアとビスケは見てから今度はお互いの顔を見つめあう。
その顔に浮かんでるのは((こんなのと共通の知り合いぃ!?))という思い切り疑いまくっている表情だったが。