「ぶえっくしょい!・・・だれか私の噂してるなー、ちゃんかわいいしぃ?」
「うぜえ」
「ギャボーン!!」
躯の華麗なる回し蹴りがに決まった。
ボコっと尋常じゃない音が聞こえてはきたが、蹴った本人も蹴られた本人もケロリとしている。
青ざめているのはそれを見ていた幽助と蔵馬だけだ。
「お、おい、一応そのネーチャン人間なんだろぉ?やばくねえかぁ?」
「安心しろ、こんなことでコイツは傷一つつかん。むしろちょうどいい憂さ晴らしになるぞ?」
「いやん、ムクロさーん。私をサンドバックにするのは勘弁してほしいな、するならどうぞうちの娘婿をですね」
「いらん」
即答だった。
幽助と蔵馬はこの部屋に案内されてから頭の上に?マークを浮かべ続けている、そもそもこの部屋に呼ばれた時点で「なぜ?」とさえ思ったのだ。
躯が呼んでいる、飛影の言葉に何でオレがと二人揃って思いもした。
飛影も躯も第二回魔界統一トーナメントを無断欠場したことである意味出場者達のチャンスは増えたのだが、やはり強いものは果てしなく強くもうすぐ決勝も終わろうとしている。
誰が王者になろうと恐らく魔界はこの先もいい方向に進むに違いない。
が、この部屋はそんな魔界の未来とは反対にどす黒いものが渦巻いていた。
「人間界に帰るお前たちに頼みがある」
「・・・・オレはお断りしたいんですけど。ものすごく嫌な予感が・・・」
「まあそういわずに聞け。こいつ、というんだが正真正銘人間だ。恐らく誰よりもオレたちに近い人間だが・・・・」
「おまえらにぃ!?だってこのネーチャン、蛍子より多少年上に見える程度で別にフッツーじゃねえか。そりゃまあかなりウタレ強いみたいだけどよぉ」
軽い幽助の言葉に飛影がすっともたれかかっていた柱か体を起こすと馬鹿かお前はと呟いた。
「お前はコイツがこれでも58歳だと聞いても普通だと言うつもりか?」
「・・・・・・は?」
「コイツはお前なんかよりも遥かに長生きしてやがるババアだと言っているんだ」
「嘘だろ?だとしたらこのネーチャン、妖怪だな。人間じゃねえよ、58歳っつったら普通よぼよぼなりかけじゃねえか」
「だからオレたちにある意味近く、けれど疑いようのない人間なんだ。だからな人間界で世話してくれ、人間だから」
意訳:世話したくねえんだ顔もみたくねえんだ頼むぜ雷禅の息子
こうして桑原はスケープゴートに選ばれた、そこには魔界と一部人間界の思惑がどす黒く交じり合っていたが知らないのは選ばれた桑原だけで。
知らぬことは華、蔵馬はの家族自慢に無理矢理つき合わされている仲間を見つめながら微笑んだ。