「まっさか、あんたがの孫だとは思わなかったわさ。アイツもすっかりバアさんになっちゃったのねぇ、孫がこんなにでっかくなったってことは」
「まさか体格詐欺女ってのを実際に見る事になるとは思わなかったぜ」
「ちょい待ち、今なんつった!?」

ビスケのストップがキルアにかかる。
ゴンは二人が共通の知り合いを見つけたことでなんだか話しに花を咲かせてしまったので一人でご飯をもくもくと食べ続けている。
ちょっとだけ寂しいという思いがあったものの、キルアのおばあちゃんと喋ったのはほとんどなくて二人のようにいろんな話ができるわけでもない。

「さっきとっても聞き逃せない言葉があったわさ、なんつった、もう一回言ってちょーだい」
「え?何をだよ?」
「まさかってのの後よ!」
「あー・・・体格詐欺とかって奴?あれ、ばあちゃんがずっと言ってたんだぜ?ビスケがあんな卵をばあちゃんによこすから、レストランの人たちにも迷惑かけるわ俺も怖い思いするわで大変だったんだからな!」

またまたズビシっとキルアのフォークがビスケを指す。
その手をパシンと払ってビスケは思い切り顔をひきつらせながらキルアに笑顔で迫った。

「良いこと?お前のオババはあたしの狙ってたサティ君をこともあろうかあたしよりも先にデートにこぎつけて食っちゃったのよ!その前のギル君はあたしがとってやったけど、その前の前のウェルナード君もそのまた前の前の前のハッシュ君もお前のオババがとっていったのよ!よりにもよってあたしが狙ってた美少年をね!!」
「・・・男かよ」
「あたしの獲物を横取りした罪はものすごく重いのよ!わかるかい!?それをちょろっと復讐してやっただけだわさ!なーにが悪いのよ、おほほのほ〜」

一人で笑い出したビスケにキルアはうんざりした顔で「ばあちゃんと同類かよ」と口に出すがギョロン!とビスケの睨みにすぐに両手で口を押さえる。

「あんな平凡女とあたしを一緒にしないでちょうだい!会った時から子連れ狼なあの女と常にかわいいあたしとじゃ比べるまでもないんだからね!だいたいあたしのどこがゴリラで体格詐欺だっつのかしら!!」
「俺に言うなよ・・・ばあちゃんに言ってくれよ・・・」
「それもそうね。ここを出たら一番にあの女に何か仕掛けてやるわ、フフフフ・・・待ってなさい、!30年分の恨み、次で晴らしてくれるわ!!」

一人で拳をつきあげるビスケの横をすり抜けてキルアの横にやってきたゴンは話は終わった?と首をかしげた。
ため息をつきながら一応と答えると、ここにはいない祖母に向かってキルアは思いを馳せた。

―――ばあちゃん、よくこんなのと長い間友達やってられんな・・・