「それで何の話だ?」
「あぁそうそう、さっきの歌を団長とフェイタン見ながら歌ってたってやつなんだけどよ、小さい頃はなんでその二人を見ながら歌ってたのかわかんなかったんだよな」
「まあ明らかに女の子の歌だもんねぇ」

携帯はもう飽きたのか、それとも久しぶりの母親の話のほうが良くなったのかシャルナークは足をぶらぶらさせながらフィンクスたちのほうに顔を向けている。

「まああの頃はセクシーキャラが誰もいなかったといえばいなかったけどよ、パクも普通の女の子って感じだったしな」
「マチもどっちかっていうと・・・キュートには程遠かったな
「でもなぁ、今ならおふくろがなんで団長とフェイタン見ながら歌ってたのかなんとなーくだけどわかるんだよな・・・」

そう言ってフィンクスはちら〜っと視線を本に集中しているクロロのほうに向ける。
同じようにフランクリンとシャルナークもクロロのほうに視線を向け、そしてぷっと吹き出した。

「まあ言われてみれば・・・セクシーなのかもしれねぇな」
「フェイタンもキュートっていえばキュートだよねえ」

ジロジロと三人の視線を受け、尚且つゲラゲラと笑い声。
さすがに気になってクロロが視線をあげると三人とばっちり目があうものの、すぐに逸らされてしまう。
それでいて首を背けても笑い続けている三人になんとなく嫌な予感を覚え、一人ぽつんと座っているシズクに顔を向ける。

「シズク、こいつらは何の話をしていた?」
「んーとね、団長がセクシーでフェイタンがキュートなんだって。あとはみんなのお母さんがぷるぷるしてるって話」

母さんがぷるぷる?
クロロの頭の中にコンニャクのようにぷるぷるになった母親の姿が一瞬思い浮かぶものの、すぐにさっさっさっと抹消していく。
なんて嫌なものを想像してしまったんだ、とばかりに。
そして、近場にあった大きな大きなコンクリートをがっしりと両手で掴み上げると三人の方に向かってブンと放り投げた。
いまいち話がよくわからなかったものの、なんとなく腹は立ったらしい。