「ふふふ〜ん♪迷うナァ、セクシーなの?キュートなの?どっちが好きなの〜?」
「セクシーってオレ?」
「キュートって僕?」

某標高3722メートルのお山のてっぺんにある家で孫二人を両隣に座らせて、は至極ご機嫌だった。
の手の中と足元には大好きなおせんべいがたんまりと積み上げられてある。

「ていうかなんの歌?」
「んーんー、昔そういう曲があったの。ちなみに私はどっちも好きだけどねー」
「僕もおばあちゃま大好き!」
「んふー、ばあちゃんもカルトのこと大好きだぜー!あーかわいいかわいいかわいい!!」

右隣のカルトをぎゅーっと抱きしめぐりぐりと頬を合わせると、きゅっとカルトの小さい手がの服の裾を掴んだ。
そんな二人を横目で見ながら家族にしかわからないような変化ながらも、少しだけムッとしたイルミが

「オレもおばあさまのこと好きなのに・・・」

と呟く。
もちろん、そんな声をが聞き逃すはずがなく

「うふーん!イルミのことも勿論大好きさー!両手に花ってのは最高だわね!」

左手をイルミの方に伸ばして頭ごと抱え込む。
の肩の骨にゴツンと頭があたったものの、イルミはまあいっかとそのままスリスリと暖かいほうへとにじり寄っていく。


三人とも、これはこれで幸せなのかもしれない。