週刊ダイヤモンド(04.01.29号) 「危ない”共済”」の意味不明な商品比較 ー”安くていい保険”はあるのか?ー |
今回は「週刊ダイヤモンド」です。
共済(認可共済)については、本来疑問を呈すべき「官公庁・労組の天下りの受け皿」としての機能には一切触れていないあたり、今回の企画は無認可共済にだけ辛く当たるための企画だったようにしか見えません。
残念です。
「共済団体は非営利であるがゆえに掛け金も安い」という言い回しも、経営内容(状態)への踏み込みが足りないため、説得力を欠いているように感じます。
また、”掛け金も安い”を裏付けようとして、死亡保障保険と医療保険に分け、民間生保の商品と比較を行っているのですが、これがまた商品ごとの前提条件が異なるというお粗末な比較となっており、共済を安く見せることありきの比較にしかなっていません。
以下は、その商品比較の中から特に、死亡保障保険の中から2商品を取り上げ(共済から1商品、民間生保から1商品)、その前提条件の矛盾を検証してみます。
<死亡保障保険の前提条件>
・死亡保険金額 1,000万円
・30歳、男性
・60歳払
●T共済「生命2型」
・掛け金(月) 2,000円
・保険料の総額 720,000円
・割戻率 32.05%
●A生命「家計保障定期保険」
・死亡保険金 月額20万円
・保険料(月) 6,480円
・払込 57歳払
・保険料の総額 2,099,520円
・無配当
これだけ見たら、圧倒的に共済の方がよく見えます。
共済には、入院の保障(日額1,500円)もセットされて月2,000円の負担で、しかも実質の負担は割り戻しを考えれば3分の2で済むわけですから。
でも、この比較は前提条件が全く違うのです。
なぜなら、T共済の死亡保障は病気で亡くなった場合は、1,000万円ではなく、わずか「400万円」だからです。
1,000万円というのは、交通事故で亡くなった場合の死亡保険金額でしかありません。
一般的には、事故で死亡する確率は非常に低いので、死亡保障を比較する場合には病気で亡くなった場合を比較しなければいけません。
にもかかわらず、共済は交通事故死(事故死よりさらに確率が低い)の死亡保険金で、民間生保は病死の死亡保険金では、正確な比較とは言えません。
さらにその上、民間生保の商品の死亡保障は1,000万円ではなく、最高7,200万円から毎年240万円(毎月20万円)ずつ逓減していく保障内容となっています(これは、J生命「お給料保障プラン」も同様)。
少なくとも、58歳になるまでは、民間生保の死亡保障の方が、400万円を超える死亡保障となっているのです。
加入時点でいえば、18倍も死亡保障の大きさが違うのですから、まともな比較とはとても思えません。
保険料の総額が、3倍であるのも当然であり、むしろ死亡保障として比較するなら、民間生保の方が負担が軽いということになるはずです。
これは、編集者が保険を知らなすぎるのか、意図的に共済を良く見せたかったのか(文中にも「まず”保険料の安さ”では共済に軍配が上がった」と書いてありますが、それって間違ってますよね)。
それにしても、まともな比較とも思えません。
もちろん、400万円の死亡保障で十分なら、T共済で良いわけですし、7,200万円の死亡保障は、通常必要ないと思います。
ただし、この比較で問題なのは、同じ条件で比較したかのように見せかけて、実は全く条件が違っているという点なのです。
少なくとも、”共済は安い”とは、この比較だけでは言い切れません。
また、割戻しについていえば、将来にわたって割戻しがあるのかどうか、についても不確定な要素があることにも言及すべきでしょう。
T共済の商品特性(60歳までは一律の掛け金)から考えれば、高齢化に伴い(リスクの低い若者がどんどん加入しない限り)、割戻率が低下するのは避けられない訳ですから、編集者の見識が足りないということになるでしょう(この辺は、編集者が、共済のうたい文句を鵜呑みにしていませんか)。
経済誌を標榜するには、余りにもお粗末です。
TV−CMを鵜呑みにする、おじいちゃん、おばあちゃんのことは笑えません。編集者は。
繰り返し言いますが、生命保険に”うまい話”はないのです。
取り上げられた他の商品については、条件が合っているのかどうかは、分かりません(ご自分で、週刊ダイヤモンドをご購入ください)。
ただし、商品の比較はとても難しいのです。
比較をする場合、前提条件を決めたら、その条件に合致しないものは、すべて排除するくらいの覚悟でないと、正確さを欠く比較になってしまいます。
皆さんも、このレベルの比較で騙されないように、お気をつけください。
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